ミステリ

・「外天楼」全1巻 石黒正数(2011、講談社)

[amazon]
メフィスト連載の、SFミステリ。
何を書いてもネタバレになってしまうが、とにかく非常にうまい。
うますぎて、ニクいくらいである。
で、以下はネタバレ感想。

続きを読む "・「外天楼」全1巻 石黒正数(2011、講談社)"

|

【特集上映】・「美女と探偵 ~日本ミステリ映画の世界~(神保町シアター)」

「美女と探偵 ~日本ミステリ映画の世界~」

  「探偵はみんな集めてさてと言い」――巨匠・横溝正史氏の作と伝えられる川柳です。ミステリ読者にはおなじみの、待ってましたと声をかけたくなるシーンですが、みなさんはこの一句に象徴されるトリックたっぷり、謎解きどっさりの物語が、わが国のスクリーン上でも展開されていたことをご存じでしょうか。
決して相性はよくないとされてきた本格推理と映像、とりわけ日本映画にも、探せばこんなにもたくさんの秀作があったのです。
 このジャンルに病みつきの連中ばかりが集まった本格ミステリ作家クラブの十周年を記念し、映画ファンと推理ファンの両方にお届けする特別企画。颯爽と登場する名探偵たちにどうか盛大な拍手を!

上映作品
◆6月4日(土)~6月10日(金)
1.『三本指の男』 監督:松田定次 原作:横溝正史「本陣殺人事件」昭和22年
2.『獄門島 [総集編]』 監督:松田定次 原作:横溝正史 昭和24年
3.『悪魔が来りて笛を吹く』 監督:斎藤光正 原作:横溝正史 昭和54年
4.『三つ首塔』 監督:小林恒夫、小沢茂弘 原作:横溝正史 昭和31年
5.『悪魔の手毬唄』 監督:渡辺邦男 原作:横溝正史 昭和36年
6.『吸血蛾』 監督:中川信夫 原作:横溝正史 昭和31年
7.『本陣殺人事件』 監督:高林陽一 原作:横溝正史 昭和50年

◆6月11日(土)~6月17日(金)
8.『死の十字路』 監督:井上梅次 原作:江戸川乱歩「十字路」 昭和31年
9.『蜘蛛男』 監督:山本弘之 原作:江戸川乱歩 昭和33年
10.『影の爪』 監督:貞永方久 原作:シャーロット・アームストロング 昭和47年
11.『誘拐』 監督:田中徳三 原作:高木彬光 昭和37年
12.『最後の審判』 監督:堀川弘通 原作:W・P・マッギヴァーン 昭和40年
13.『南郷次郎探偵帳 影なき殺人者』 監督:石川義寛 原作:島田一男 昭和36年
14.『猫は知っていた』 監督:島耕二 原作:仁木悦子 昭和33年

◆6月18日(土)~6月24日(金)
15.『悪魔の囁き』 監督:内川清一郎 原案:植草甚一 昭和30年
16.『四万人の目撃者』 監督:堀内真直 原作:有馬頼義 昭和35年
17.『わたしを深く埋めて』 監督:井上梅次 原作:ハロルド・Q・マスル 昭和38年
18.『猟人日記』 監督:中平康 原作:戸川昌子 昭和39年
19.『真昼の罠』 監督:富本壮吉 原作:黒岩重吾 昭和37年
20.『肌色の月』 監督:杉江敏男 原作:久生十蘭 昭和32年
21.『「空白の起点」より 女は復讐する』 監督:長谷和夫/原作:笹沢左保「空白の起点」 昭和41年

◆6月25日(土)~7月1日(金)
22.『多羅尾伴内 十三の魔王』 監督:松田定次 昭和33年
23.『死者との結婚』 監督:高橋治 原作:ウィリアム・アイリッシュ 昭和35年
24.『奴が殺人者だ』 監督:丸林久信 原作:樫原一郎「汚れた刑事」 昭和33年
25.『二十一の指紋』 監督:松田定次 昭和23年
26.『乱れからくり ねじ屋敷連続殺人事件』[テレビドラマ版]  監督:佐藤肇 原作:泡坂妻夫「乱れからくり」 昭和57年
27.『恐怖の時間』 監督:岩内克己 原作:エド・マクベイン「殺意の楔」 昭和39年
28.『姿なき目撃者』 監督:日高繁明 原作:渡辺啓助「浴室殺人事件」 昭和30年

トークイベント
6月4日(土) 芦辺拓、唐沢俊一 17:45~『三本指の男』上映終了後
6月11日(土) 芦辺拓、辻真先 17:45~『死の十字路』上映終了後
6月19日(日) 芦辺拓、有栖川有栖、北村薫 17:45~『「空白の起点」より女は復讐する』上映終了後
6月25日(土) 芦辺拓、京極夏彦 17:45~『死者との結婚』上映終了後 )

場所:
神保町シアター
東京都千代田区神田神保町1-23
電話 03-5281-5132
都営新宿線・都営三田線 東京メトロ半蔵門線
地下鉄 神保町駅3分
JR お茶の水駅8分
神保町駅からはA7出口より、すずらん通りを三省堂方面に進んで浅草厨房の角入る

入場料金(当日券のみ):一般 ¥1,200 / シニア ¥1,000 / 学生 ¥800

|

 ・「ももえのひっぷ」(1)~(2) コージィ城倉(2010、日本文芸社)

[amazon]
漫画ゴラク連載。
ある山村で、町長選挙が行われる。争点はダム建設だ。現町長・大刀根雅人は続行派で、地元の土建会社・かいの建設も支援している。
ダム建設中止派の立場で立候補したのが、大小中(だいしょう・あたる)、その妻が桃肢(ももえ)(旧姓・上杉)。夫のアタルをかいがいしく応援する、実は高校時代には地元のアイドル的存在だった美人である。

ある晩、酔っ払ったダム続行派にからまれたアタルは、かいの建設社長の息子に投げ飛ばされ打ちどころが悪くて死んでしまう。
ダム続行派であるかいの建設社長は、息子をかばうためにアタルにそっくりな男・矢沢勘次をアタルの影武者として、町長にすることを提案、周囲もそれを受け入れる。

夫が事故死させられ、アカの他人である谷沢と(表面上だけ)夫婦になることを、ももえは巻き込まれつつも了承せざるを得なかった。しかし、謎の男から「ダムが建設されないと大変なことになる」と告げられる。
そして、ももえ自身も事故の裏には何らかの陰謀があることを察知しはじめる……。

コージィ城倉は連載のヒキが非常にうまく、なおかつ読者を不快にならない程度(「どうでもいい」と思えてくるほどの振れ幅にはならないという意味)に振りまわす技術に長けている。
本作も、単なる美人の未亡人であるももえが、どうやってダム建設騒動の裏にある陰謀を突き止めることができるのか、という興味で飽きさせない。

たまたま連載を読んでいるので一つつけくわえると、本作が「漫画ゴラク」に連載されているという意味も、連載時に読んでいると面白さの理由として一つ加わる。大味(褒め言葉)の他の作品とのバランスが絶妙なのだ。

本作がビッグコミックとかヤンマガのような、集中して読まないと理解できない作品が多数掲載されている雑誌に載っていたら、印象はまた違ったものになっていただろう。

|

【映画】・「ロストクライム -閃光-」

公式ページ

監督:伊藤俊也
脚本:長坂秀佳、伊藤俊也

2002年。あるラーメン屋の主人が殺される。これがあの「三億円事件」と関係していると感じた老刑事は独自に捜査を開始。やがて警察の暗部をえぐり出すことに……。

必ずしも大傑作というわけではなく、なぜか少々タルい感じがするのは否めない。さらに、とにかく設定から展開から、この映画が「1978年製作」だと言われてもまったく疑問が浮かばない(もちろん演じている役者は現在の人だが)。
しかし、この作品の「古臭さ」はぜったいに買える。

たぶん若い人は観ないだろう。この映画を若い人が観る理由が、まったく思い浮かばない。出演している渡辺大か川村ゆきえのファンくらいか?
しかし、いつかテレビでやるかDVDが出てレンタルされたとき、若い人が観るかもしれない。
そのときに、この映画がテーマとしていることは、実は基本ラインとしては現代にも通じる難問であることに、だれか気づいてくれればいいが。

「ああ、特捜最前線だね」で終わったら、それこそつまんないんだよ。わかる? この気持ち。

|

【雑記】・「告白」感想・追記

監督・脚本:中島哲也。

ここの続き

ある評論家が、評論の際に「映画を好き嫌いで語ってはいけない」と言っていたので迷ったが、まあ私は評論家ではないのでいいとさせてください。
また「テーマの良しあしについても慎重に」ということだったが、やはりこの映画に関しては私はテーマというか「描きたいこと」に関して批判せざるを得ないので、そうすることにする。

盛大にネタばれすると思うので、そのつもりで。
繰り返すが原作は読んでいないので、あくまで「監督・脚本を手がけた人の作品」として論じることにする。


続きを読む "【雑記】・「告白」感想・追記"

|

【映画】・「告白」

監督・脚本:中島哲也

中学教師・森口悠子(松たか子)が、自分の幼い娘を殺した二人の生徒に対し、復讐を開始する。

まず、私は原作は読んでません。
その上での感想。

「映像」としてはある段階までよくできていると思うが、映画全体の評価としては私は積極的に低い。
以下、かなり大っぴらにネタばれあり。

続きを読む "【映画】・「告白」"

|