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【映画】・「ブラックパンサー」ネタバレあり

映画「ブラックパンサー」ネタバレあり

すでに町山さんとかが、私が以下に書く観点から言及しているかもしれないが、映画「ブラックパンサー」は、私がここ10年くらいいろいろとスーパーヒーローものの映画を観てきて、「ウォッチメン」とか「スーパー!」みたいなメタ色の強いものを除いては、最も「普通の人々が一般的に考える『革命』を『ヒーローの敵』として描いた映画」として、実にスリリングだった。

どうやって落とし前を付けるのかと思ったら、
・敵(従兄弟)は復讐の鬼と化しているので、成功率が低く犠牲も多い武力革命を、その成否にかかわらず遂行しようとしている。
・従兄弟はもともと、政府を混乱させ破滅させるプロで、父の持っていた大義を体現することよりも、ソッチ寄りの悪人らしい
以上の二点で、主人公の大義に整合性を与えていた。

しかし、実は本作で最も思想的にてごわいのは、いちばん最初に殺されたおじさんだった。だからこそ、だれもがあのおじさんの亡霊に悩まされる。

そして、最後は彼の鎮魂のために主人公は行動する。

そう言った意味で、かなり面白い作品だったのだが、「アメリカっぽいな」と思うところもある。
それは、おじさんも、その息子も、「世界中の抑圧されたアフリカ系民族」のために戦おうと思っていたということ。

つまり彼らは抑圧された白人やアジア人のことはどーでもいいと思っているのである。
というか、かなり無邪気に「白人やアジア人は、すべて救われているじゃないか」と断定している(ように、私には思えた)。

ま、そんなところも面白いっちゃ面白かった。

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・「豪画沙」(下) 永井豪(2017、講談社)

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永井豪画業50周年記念出版だそう。全収録作が初単行本化の短編集。その下巻。
あまり古いものは収録されていない。
「バイオレンスジャック 戦国魔人伝」、「夢幻戦士」、「カイケツ風呂頭巾」、「ワンだ君」が収録作。

本作では長らく宙ぶらりんになっていた「バイオレンスジャック 戦国魔人伝」の収録が大きい。投げっぱなしの尻切れトンボなのだが、100ページも書いて「続く」というのは何か事情があったとしか思えない。どうなのだろうか。

アマゾンレビューでその他の作品に関して「レイプや露出狂の描写が目立ってちょっと辟易しました。」と書いてあったのには驚き。レビュアーはジャックファンらしいが、レイプと露出狂描写がイヤで、よく最後まで読み通せましたね。

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「マーダーライセンス牙&ブラックエンジェルズ」(全13巻)完結、平松伸二(2000~2004年)

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スーパージャンプ連載。板垣元沢入のボディガードであり、政府とか国家間レベルのトラブルを解決する忍者・木場優児(マーダーライセンス牙)と、庶民を食い物にする悪党を抹殺する雪藤洋士(ブラックエンジェルズ)が出合い、き共闘したり、対立したりといった内容。
6巻くらいまでは面白かったが、徐々に失速を始めた、と言わざるを得ない。というのは、社会情勢に対する考え方が、あまりに納得しがたいものだったから。「マーダーライセンス牙」は、社会問題を題材として、簡単に善悪に分けられない世界の中での悪とは何か、を考えて描いていたと思うが、本作の終盤ではいくら娯楽作品といっても、納得できない政治観、善悪の基準が出てきて、個人的にはついていけなくなってしまった。

たとえば「男らしさ、女らしさ」という点について、あるエピソードではそうしたステロタイプに異議を唱えておきながら電車の中で化粧するギャルに「昔の女学生は……」などと言いながら説教するのは完全に矛盾だろう。
また、援助交際を批判するなら、雪藤の同棲相手が風俗嬢であることと矛盾してしまう。

8巻か9巻から死んだはずのブラックエンジェルズの松田が登場してからも、そのあたりの違和感はぬぐえなかった。バトルの技にしても、経絡秘孔を突くとか「発勁」といった90年代くらいに使い古されたものが多く、読んでいて困ってしまった……。

その後、2011年頃の松田を主人公とした「ザ・松田」は、完全に「荒唐無稽」の方に針が降りきれていて面白いんですけどね。

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【アニメ映画】・「サイボーグ009VSデビルマン」

時代的には「サイボーグ009」は「ミュートスサイボーグ編」の直後、「デビルマン」は「ジンメン編」の直後という設定で、双方が共通する巨悪に立ち向かう。

お祭り映画として、とんでもなく良い出来。主要人物全員の見せ場をまんべんなくつくり、なおかつストーリーもそれなりに工夫されたものになっている。
このような企画で、これ以上のクォリティを求めるのはちょっと無理なんじゃないかと思えるほどである。

事前の宣伝としては、なんとなくどうしても原作者本人のコメントが聞ける「デビルマン」の方がまさっているような気がした。石ノ森プロが探すべきは、「アメトーーク」にも出られるような、石ノ森作品をすばやく説明でき、なおかつタレント性のある人なのではないか、などと思った。

なお、同じ話が繰り返し描かれていると言える「デビルマン」と、そうではない「009」とはちょっと違うので、「009」については章を改めて解説したい。

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・「特命係長 只野仁ファイナル」モテ過ぎる男編 柳沢きみお(2014、ぶんか社)

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広告代理店・電王堂の平社員でありながら、裏で社長の「特命」を受けトラブルを処理する男・只野仁の活躍を描いた作品。
大藪春彦など往年の「サラリーマン憂さ晴らしアクションもの」と言ってしまえばそれまでだが、本作も時間が経つごとに、違う様相を呈してきた。

それが、只野のトラブルシューティングとはほとんど交錯しない、只野の上司・佐川と、その親友・入江の中高年哀歌の描写である。

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・「特命係長 只野仁ファイナル」天国からの電話編 柳沢きみお(2014、ぶんか社)

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巨大広告代理店・電王堂内での表沙汰にしたくない事件を解決する社員・只野仁が活躍するサラリーマンアクションもの。

さすがに種切れ感は否めないが、あいかわらず中高年のぼやきを書かせれば天下一品である。
絶望の中に、どこかユーモアがあるのだ。

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【映画】・「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」

監督・脚本:ジェス・ウェドン

スタークのつくった「ウルトロン」が暴走し、世界を滅ぼそうとする。
そして「アベンジャーズ」たちが戦う。
まあ、いたってシンプルな話だが、初見で2時間ちょっとの映画の半分近くも爆睡してしまった。
二度目の視聴で最後まで観て、それなりに最後まで観れたが、同じ監督とは思えないほど前作に比べると満足度は低かった。

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・「バキ外伝 疵面-スカーフェイス-」(1)~(6) 板垣恵介、 山内雪奈生(2005~2015、秋田書店)

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チャンピオンRED連載。「バキ」シリーズに登場する人気キャラクター「花山薫」を主人公としたスピンアウト作品。
花山薫は、暴力団花山組の二代目であり、超人的なステゴロ(武器を使わないケンカ)の強さを持つ。だが、「鍛えることは女々しい」というポリシーのもと、いっさいのトレーニングなどは行わない。
序盤は一話完結ものだったが、「グランドマスター」と呼ばれる、世界最強の暗殺術を持つ男が登場してから、花山と彼との対決を主軸に置くストーリーとなっている。

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・「男坂」 1~3巻 車田正美(1984~1985、集英社)、4巻(2014、集英社)

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ケンカを通して、世の中に必要とされる人間になろうとする少年・菊川仁義と、彼を慕う不良少年たち、さらには国際的な不良少年組織との戦いを描く。
時期的には「風魔の小次郎」の後で、「聖闘士聖矢」の前であり、作者の強い思い入れとは裏腹に、当初の構想を昇華しきれずに打ち切りになってしまった作品である(そして、30年後に続編が描かれ第4巻が刊行された)。
本作は「壮大な構想にも関わらず打ち切りとなった」ということばかりがクローズアップされ、「ネタ」扱いされてきたが、今回の「続編」刊行を機会に、その魅力と80年代当時の敗因について考えてみたい。
(2014年10月20日 (月) )

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【映画】・「ヘラクレス」

監督:ブレッド・ラトナー

ゼウスと人間の子、ヘラクレスが大昔に大暴れ。
以下、ネタバレあり。

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