ファンタジー

・「豪画沙」(下) 永井豪(2017、講談社)

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永井豪画業50周年記念出版だそう。全収録作が初単行本化の短編集。その下巻。
あまり古いものは収録されていない。
「バイオレンスジャック 戦国魔人伝」、「夢幻戦士」、「カイケツ風呂頭巾」、「ワンだ君」が収録作。

本作では長らく宙ぶらりんになっていた「バイオレンスジャック 戦国魔人伝」の収録が大きい。投げっぱなしの尻切れトンボなのだが、100ページも書いて「続く」というのは何か事情があったとしか思えない。どうなのだろうか。

アマゾンレビューでその他の作品に関して「レイプや露出狂の描写が目立ってちょっと辟易しました。」と書いてあったのには驚き。レビュアーはジャックファンらしいが、レイプと露出狂描写がイヤで、よく最後まで読み通せましたね。

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・「豪画沙」(上) 永井豪(2017、講談社)

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永井豪画業50周年記念出版だそう。全収録作が初単行本化の短編集。
あまり古いものは収録されていない。
収録作は「悪魔騎士 Demon Knight」、「娘中天」、「シレーヌちゃん」、「霊界ドアー」、「ヴァンパイアコップ」、「ハレンチママさん」
「悪魔騎士 Demon Knght」は、「デビルマンサーガ」のプロトタイプだろうか?

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・「本秀康の描く4ページ」 本秀康(2004、太田出版)

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タイトルどおりの短編集。
カワイイ絵柄に、とっぴょうしもないオチ(ブラック成分多め)。
どれも短いだけに、「オシャレさ」がきわだっているかも。

それこそヴィレバンで平積みになっていたとしてもおかしくはなく、実際、平積みになっていただろう。
それにしても、ネットで「ヴィレバン女(なぜか女子)」が批判されているのがいまだに意味がわからん。

マンガの良さは、アーティスティックな作品だろうが、oh!透明人間だろうが同列に語れるところにある。
というより、「アートVSエンターテインメント」という対立構造がいつ頃できたかを調べるべきであって、陣営に分かれてヤイヤイやるのはバカげているよね。
と、本作と関係ない話で埋めてしまってすみません。

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・「本秀康名作劇場」 本秀康(2003、小学館)

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短編集。中野の人気ラーメン屋(2016年の今でも大人気)「若葉」で観た光景を描いた「若葉の頃」、自分の母親そっくりのロボットをつくった天才少年の話「あふれる愛」などは、名作ではないでしょうか。
社長に牛丼弁当を買いに行かされる女性秘書の話(本当にそういう話です)「愛する社長」も、哀しいながらナンセンスで面白い。

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・「君の友だち」 本秀康(1999、青林工藝舎)

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40ページくらいのマンガ「アーノルド」収録。
主に90年代後半の「ガロ」に収録された作品群。
本秀康の作品、カワイイ絵柄で「えーっ、そうなっちゃうの!?」っていうブラックなオチがつくことが多いんだけど、私はそれで「どんよりした気持ち」になったりはしない。
それは「わざと人をイヤな気分にさせてやろう」という感じがないからだと思う。
そこにあるのは、「ブラック」というよりは、「ペーソス」だと思うんですよね。
人間そのものの哀愁というか。

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・「アリオン」全5巻 安彦良和(1980~1984、徳間書店)

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「リュウ」連載。
少年アリオンは、母デメテルと平和に暮らしていたが、ある日訪ねてきた男・ハデスにさらわれ、王であるゼウス暗殺の刺客として育てられる。
だがその暗殺に失敗し、いろいろあって父・ポセイドンの軍に加わる。
そこでもとりかえしのつかないことをしてしまい、自身の「呪われた血」に絶望しかけたとき、謎の男・黒の獅子王が現れる。

もう30年以上前の作品だと考えるとしみじみするが、半可通ながら解説してみよう。

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・「第三世界の長井」(1)~(2) ながいけん(2013、小学館)

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ゲッサン連載。
あらすじ、作品の雰囲気については、過去参照。

ながいけん閣下『第三世界の長井』に絶句(エキサイトレビュー)

ここがわからないよ。『第三世界の長井』10の謎を考える(たまごまごごはん)

「あの」神聖モテモテ王国の作者の最新作とあって、期待する人々も多いようだ。

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・「PUNK]全4巻 長尾謙一郎(2010~2012、白泉社)

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ヤングアニマル連載。
妻子がいる、平凡な生活を送っていたと思われるマンガ家・長尾の自宅に、ある日ファンを自称する巨大な黒人女が訪れる。
それが、長尾の運命を大きく変えるきっかけとなった。彼は世界を裏であやつる「バビロン」の関係者を抹殺せよと、指令を下されるのだ。

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・「ボアザン」 高遠るい(2011、講談社)

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外見は幼女である「魔女」のからかいに翻弄される、歴史上の「ひどいことをしたのに『天罰』も受けずに生き伸びた人物」にスポットをあてる試み。

着想は面白いし、「外部の人間が現代の価値観から、人々を倫理的に裁こうとする」旧来の作品へのアンチテーゼ、ということも頭では理解できる。
それすなわち、ぶっちゃければ「業の肯定」ということにもなろう。

しかし、「業」を描くにしては洗練されすぎている、とも感じてしまうのだ。

ギャグマンガ「モスマン」も同時収録。

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・「どろろんえん魔くん 完全愛蔵版」 永井豪(2011、角川書店)

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1973~1974年、少年サンデー連載。

閻魔大王の甥っ子・えん魔くんが、人間界にやってきて雪女族の幼なじみ・雪子姫、河童の妖怪・カパエルとともに妖怪退治をする。

アニメ版の方は、70年代独特のドロドロ感があるが、マンガ版の本作は基本、ギャグノリ。しかし意外とと言っては失礼だが、今回再読しても面白かった。超多忙の中で、手クセ感は少なくギャグは生き生きとしている。一部では有名な妖怪怒黒のエピソードも、単なるスカシ以上の楽しさがある。
「ドロロンえん魔くん メ~ラめら」は、このマンガ版のノリをもとにつくられたのだろう。

今回、「完全愛蔵版」と銘打ち顔などを多少描き直している。逆に、過去の単行本には収録されていた大人になったえん魔くんの読み切りはカットされてしまっている。残念だ。

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