ホラー

【雑記】・「笑って何が悪い。オマエのようなシネフィルぶりっ子こそ何様なんだよ!!!」

山口和彦監督、「怪猫トルコ風呂」鑑賞。
於:銀座シネパトス。
1975年の邦画で、赤線が廃止になりトルコ風呂が開業、室田日出男にだまされ続けたけなげなトルコ嬢(谷ナオミ)が、さんざんひどい目に合わされた挙句、化け猫となって復讐する。

2年くらい前に観て、あまりに面白かったのでもう一度観に行った。
で、やっぱり面白かったので大爆笑して帰ってきた。

で、ひと晩経って感想を検索していたら、以下のようなブログにぶち当たって驚愕してしまった。
(文章は適当にまるめてある。)

「観に行ったら劇場に笑い屋が大量発生していてうんざり。殿山泰司(悪徳トルコ風呂経営者)が、室田日出男とその愛人で殿山の妻でもある真山知子(両方悪人)にめった刺しされるシーンにまで馬鹿笑いしていて不愉快だった。
旧作を上からのいびつな目線で観て競い合うように爆笑していた映画秘宝ファンのような観客には心底うんざりした。」

実は、ものわかりのいいオッサンのふりをすれば、「映画館で笑うところではないところで笑う客」という問題は以前からある。

・その1
大槻ケンヂがエッセイで、
「空手バカ一代の映画を観に行ったら、ゲラゲラ笑っていたお客さんが極真の門下生かもしれない男性に一喝されていた。その門下生かもしれない男性にとっては大山倍達は師であり、師の映画を笑われることは非常に不愉快だろう。こういう映画は、笑いたいところをこらえて笑ってはいけないのだ」(大意)
というようなことを書いていたこともある。

私自身も、「明確に『信者』が観るためだけの映画」を観に行ってわざわざ大爆笑するようなことはない。
その会場においては、自分は脇役だから。
主役は信者の方々。

それに、「モノをナナメから観る」という「視点」があまりに定着しすぎてしまったために生じるクリエイター側の不愉快さ、あるいは鑑賞のゆがみ、というものを感じることもある。

というか、こちとらそんなことをもう20年くらい考え続けているのだ。
笑う方だって、伊達や酔狂じゃないんです。

一方で、井口昇監督の「片腕マシンガール」という映画がある。
弟を殺され片腕を切り落とされた女子高生がマシンガンを装着して復讐するという作品だ。

この映画は作品の冒頭に監督自身が登場し、鑑賞法をレクチャーしてくれる。

うろおぼえだが「残虐シーンでは盛り上がりましょう! 笑えるところでは笑いましょう! でも、倫理的に笑ってはまずいようなシーンでは笑うのを慎みましょう」みたいなことを言うのである。

もちろん、「怪猫トルコ風呂」と違って「片腕マシンガール」は、最初から「狙った」映画ではあるのだが、
それにしたって、「笑ってもいい残虐シーン」のある映画は存在する。

くだんのブロガーが不愉快に思ったという「殿山泰司がメッタ刺しにされるシーン」は、悪人同士の欲望がもつれて、悪人が悪人をブチ殺すという場面で……、なんでこんなこと解説しなきゃならないのだ、私は国語の先生か? と思うが(まさに「上から目線」で(笑))、欲にまみれて餓鬼道に堕した人間たちが、醜くともぐいをしあうシーンなのである。

恐ろしくても、やっぱり笑えてしまうシーンなのだ。あるいは笑えてしまうけど恐ろしいシーン。意味は同じだ。

真山知子が谷ナオミを拷問するシーンでも笑っている客がいてブロガー様は不愉快だったらしいが、その場にいた私が感じるかぎり、殿山泰司惨殺シーンよりも笑いは少なかった。
それは観客の倫理観でもある。

もっとも、谷ナオミが「緊縛女優」と言われていたから緊縛シーンを入れたのだろう、と思えばやはり笑ってしまう人はいるだろう。

・その2
「怪猫トルコ風呂」という映画、「化け猫映画とトルコ風呂をプラスして新機軸を狙ったもの」で、何か重大なことを訴えるというたぐいの作品ではない。
鑑賞態度としても、「恐がらせよう」というシーンで笑ってしまうというのは製作者側の意図と違っているといえば違っているが……それにしてもねえ、この映画をリアルタイムで観て恐がっている人がいたとも思えない。

不幸続きで化け猫に変貌する谷ナオミの境遇は確かに悲劇だが、「笑ってはいけない」っていうヤツはそこに感動して涙しろとでもいうわけ?
ブロガーの年齢がいくつかわからなかったのだけど、1975年時点でも、この手の映画はバカバカしいと思われていましたよ。当時の観客で爆笑するような人がいなかったというのは、こういう映画を真剣に観るような人がきわめて少なかったからだというだけのことである。

「映画秘宝の好きそうな客」って書いてあったけど、それをすれっからしの映画マニアだと批判するのなら、「笑ってはいい映画といけない映画」を十把ひとからげにして観客批判をするオマエだって何様なの、と。

そもそもが、「作品の鑑賞態度」というのはある時期まで(70年代初めくらいまで)抑圧的なものだったわけですよ。「こう観るべき」というのが決まってた。マジメなものは笑っちゃいけなかった。

そこに多様な視点を持ち込んだというのは、時代の流れから言えば観客の解放だったとすら言えるわけ。

で、それが広がりすぎちゃって、逆に「マジメな観客」を抑圧するという逆転現象が少し起こっているのかもしれないけれど、こと「怪猫トルコ風呂」の鑑賞態度に関していえば、あらゆる側面から検討して、これを笑わずにどうしろというのよ。

こういう映画こそ、個別具体的に検討しないといけませんよ。

・その3
あ、あとまた別の話を思い出したけど、何年か前に「ポルノの女王 にっぽんSEX旅行」という映画を観に行ったら、主演の荒木一郎が上映前のトークで出てきたんだよ。
知らなくて驚いたけど、トークが終わった後、荒木一郎がお客さんと一緒に鑑賞するって言って。

それで、どうしてもやっぱり笑えてしまうシーンも出てくるんだよね。それもはっきりギャグとはいいがたいシーンが。なにしろ主演の人と一緒に観ているわけだから、どういう態度をとっていいかとまどってしまった。
でも観客は笑ってましたよ。あきらかに荒木一郎ファンとおぼしき人が多かったけどね。
荒木一郎ご本人も、鑑賞後も上機嫌でした。

本来、ポルノとかホラーっていうのは、「笑い」と「驚き」と「恐さ」と「エロさ」っていうものが混然となっているでしょう。
でも、観客はどんなに複雑な感情が浮かんでも、笑ったり悲鳴をあげたりといった単純な態度しか取れないんだよ。
しかも、映画館で悲鳴をあげる人ってあんまりいないですよね。

恐くても、感動しても、本来の意味でのギャグシーンでも、「笑い」がこみあげてくるっていうのは、あるものなんだよ。

まとめ。
この手の「笑っていいかいけないか」っていう議論のときには、「笑うこと」の批判者に「つくり手は自分のどうにもならない心情をフィルムに焼き付けているはずだ」という思い込みが無意識のうちに前提としてあると思う。
いやよしんば監督の山口和彦がものすっごい真剣に、谷ナオミ演じる女性の不幸を描きたかったという可能性はなくはないけれども、しかしまあそういう映画じゃないと思いますよ。

プロレスで「真剣勝負なんですか」と言われて、「真剣にやってるから、真剣勝負だ」っていう話があるけど、映画でもなんでもそれと同じで、つくっている人はそれは真剣ですよね。そう思いたい。

でも真剣につくっているからといって、内容が真剣であるとはかぎらんでしょう。

もちろん、何でもバカにして笑っていいというものではないが、「笑えという明確なメッセージがないものに笑ってしまうとはどういうことかの検討」という歴史的背景をふまえない脊髄反射的な批判には、自分はいつも危機感を覚えている。

確かに「さあ笑ってやろう」っていう、それ以外の視点を持たない困った客というのもいるんだが、今回のエントリでは意図的に、そっち側ではない「マジメな観客」を批判することにした。

もう一度繰り返して書くが、今回のエントリにかぎっては、私は「鑑賞態度の歴史的背景を勉強しようともせず自分は旧作を理解していると思い込み、多様な視点を許さない頑迷な映画ファン」を批判する内容にしたので、文意を誤解しないでほしい。

追記:タイトル少し変えました。

関連エントリ:
【雑記】・「大量につくり飛ばされるものの鑑賞について」

【雑記】・「ホルモン教異聞」

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・「でろでろ」(16)(完結) 押切蓮介(2009、講談社)

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長期連載となったホラーギャグマンガも、ついに完結。
12巻から15巻あたりまでを読んだ感想では、それまでと多少作風が異なってきていることに違和感を表明したが、そうしたらこの巻で終わりということで、ちょうどキリがよかったのかもしれない、とは思う。

正直、1巻を読んだ頃には私個人としては時代の変化のせいか新人マンガ家の作風にほとんどついていけなくなっているような状態で、そんな中、素直に楽しめるいい作品だった。

作者自身も、社会に出よう、一人前になろうというあがきの中からできた作品ということで、そういう作者の境遇が(この表現、あんまり好きじゃないが流行りだから使っておくと)作品全体の「童貞感」とシンクロする部分があった。
が、それが「ドラマ」として読者側にまで敷衍できないのが現代という時代なのだろう。
(この後、ニート、ひきこもり、長期不況などのゴタクはすべて省いて)
それにしても、やっぱりこういうマンガがないと世の中終わりだと思うのである。その作風は、ちょっと藤子不二雄に通じるところがある。
心の底から楽しませてくれたマンガだよなあ、と思う。

12~15巻の感想

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【映画】・「口裂け女0 ~ビギニング~」

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監督・脚本:児玉和士

幼い頃に両親を亡くした姉妹、姉の弥生と妹の美里。美里の顔には幼い頃の火傷の後があり、精神を病んでいたが顔の手術は成功。しかし、美里は自分の手術の成功を信じようとはせず、火傷の原因となった姉をなじるのであった。

山奥で二人は白骨死体を発見、それは老心理学者の妻・サチコのものであった。
で、なんだかんだあってある夫婦が殺害される事件が起きる。弥生は美里がやったのではないか? と疑惑を抱く。はずである、確か(くわしいことは忘れた)。

過去の「口裂け女」シリーズと関係あるのかないのかわからんが、とにかく現時点でコレがいちばんひどいと思った。
しかし、他のブログで書かれているようにまったくどうしようもない、ということでもない。
まずは「いいところ」から書く(若干ネタバレあり)。

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【映画】・「口裂け女」

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結論から言えば、お話のつじつまがあっていなさすぎる。
ホラーだから多少の飛躍はいいと思うが、「えっ、これってどうなの?」と観ている途中で引っかかってしまい、鑑賞していて集中力をそがれてしまう。

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【映画】・「フィースト2/怪物復活」&「フィースト3/最終決戦」

公式ページ

監督:ジョン・ギャラガー
脚本:パトリック・メルトン、マーカス・ダンスタン

実は一作目を観てない。
で、結論から言えば、2、3と合わせてもうーん……という感じ。

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・「プピポー!」(1)~(2) 押切蓮介(2008~2009、ソフトバンククリエイティブ)

Pupipo01
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霊的なモノが見えてしまう女子小学生、姫路若葉は孤独な日々を送っていたが、「ポーちゃん」という謎の生物を拾ってから状況は少しずつ変わってゆく。

まだ2巻の段階で「ポーちゃん」の正体は見えてこないが、藤子不二雄の作品に出てくるようなキャラ「ポーちゃん」を通して、人間の心に通じている異界を描く作品らしい。

「でろでろ」など、現在連載中のマンガと比べて他の作品群もいろいろ趣向を変えており、作品の幅や仕事量としては、いまどき珍しいマンガ家かもしれない。押切蓮介は。

それと、想像以上に才能のある人なのかもしれない。

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・「でろでろ」(12)~(15) 押切蓮介(2008~2009、講談社)

Derodero15
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ヤングマガジン連載。んん~なんだか10巻くらいまでのパターンと違ってきていて違和感が……。最近、シリアスな作品も描いているから心境の変化だろうか。
あるいは、幅広い作品の描ける作家に脱皮するための過程か、それとも単に連載が長期化しすぎたか……。
謎。

11巻の感想

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・「怪奇短編集2 ススムちゃん大ショック」 永井豪(2003、嶋中書店)

ススムちゃん大ショック
くずれる
霧の扉
鏡の中の宇宙

DON!
鬼婚式

コンビニコミック。
初出掲載誌一覧もちゃんと付いてる。
「ススムちゃん大ショック」は1971年、週刊少年マガジン掲載なんですね。
なかなかイイラインナップ。掲載作品が未読で、なおかつ古書店で100円とかで売られていたらぜったい買い。

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・「永井豪自選集 SF怪奇編」 永井豪(1992、朝日ソノラマ)

吸血鬼狩り
野牛のさすらう国にて
ススムちゃん大ショック
きつね
アフリカの血
シャンケル画伯
くずれる
白い世界の怪物
霧の扉
鏡の中の宇宙

夜に来た鬼
宇宙怪物園
魔人戦車バルドス
都市M1
鬼--2889年の反乱
邪神戦記
DON

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【映画】・「13日の金曜日」

公式ページ

製作:マイケル・ベイ
監督:マーカス・ニスペル

クリスタル・レイクに遊びに来た青年たちが、ジェイソンに追いかけ回されるというおなじみ血みどろ映画のリメイク版。

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【映画】・「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」

公式ページ

監督・脚本 : ジョージ・A・ロメロ

ゾンビがいっぱい出てくるが、主要マスコミが崩壊してしまったんでだれもが個人個人で主観による情報をネットにアップしまくり、「情報は満ち溢れているのに真実はわからない」という状態になってしまうという映画。

ヒライさんの感想そのまま、ほぼ同意するんで感想書かなくていいかと思ったんですが、正直、「デス・レース」のグダっぷりを早く忘れたいんで、感想を書きます。

そういえばヒライさんのブログで初めて「POV(主観撮影)映画」っていう言葉を知った。こういう言葉を知っているとカッコいいな。
で、私としてはこの映画は、POVにこだわるよりも観やすさにこだわった親切設計だと思います。
内容は、「おじいちゃん(監督)のネット・個人情報化社会批評」といった体で、私にはすごくわかりやすく、また同意できるものでした。
ただ、言葉で説明しすぎだね。

それと、プロットそのものが「どこかに行けばぜったいに助かる」という流れになっていないため、登場人物が車で移動してはゾンビに遭遇、というのを繰り返しているとしか思えないのが辛いところかな。
もっとも、「どこに行けば助かるのかわからない」という情報多様社会がテーマになっているから仕方ない面もあるんですが。

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・「サタニスター」(4)~(5)(完結) 三家本礼(2008、ぶんか社)

Satanister05
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ホラーM連載。だいたいのあらすじは前に書いたテキストを読んでいただくとして。

正直な感想は「4巻はイマイチだったけど、5巻はすごく面白かった。」

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・「殺し屋カプセル」 古賀新一(1979、秋田書店)

Korosiya
週刊少年キング掲載。大きさ3~4センチくらいの小さい人間が、薬を入れる「カプセル」に入っている。それを飲んだ者は、体内で訓練を積んだその「小さい人間」によって殺される……。

最近はあまり使われなくなった表現に「こりゃマンガだね」というのがある。「マンガみたいにバカバカしい話」という意味だが、表現に幅が出てきた現在、「マンガイコールバカバカしい」ということはなくなった。
しかし、そんな「いい意味でのバカバカしさ」を残した面白さに満ちているのが本作である。

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・「幽霊クラスメート(悪魔のおとし子)」 大内清子(1984、ひばり書房)

Yureikurasu
夜中に突如、かわいい妹・神(しん)から「おまえを殺す!」と言われた兄・良は、神(しん)が悪魔ではないかと疑い始める。その疑惑はどんどん真実ではないかと思われるようになっていく……。

「まんだらけ」などの古本ホラーコーナーに、今のところほぼ必ず、200円くらいで入っている本作。実はものすごく変なストーリーなのだが、説明が面倒なのでそれほどカルト的に話題になったわけでもない。
しかし、どこかあらがいがたい魅力があるのも確かで、ネットで作者について検索してみた。

すると、貸本時代から学園ものなどを書いてきた人らしい。そしてこの人の「赤いリボンの歌」という作品についての、まんだらけの紹介ページを見てハタと膝を打った。

この近所に住んでいたミミちゃん(本名=美紀子)のちょっとドキドキするくらいの距離感に踏み込んでくる娘という性格設定と、小学2年生から中学2年生に成長する様が妙なキラキラ感を持って描かれているところが素晴らしくいやらしい。

この作者=大内清子が男か女か?論点はそこに尽きる名作。


なるほどそうだったのか! ……どういうことかというと、「幽霊クラスメート」でいちばんの魅力は「悪魔かもしれない」妹の神(しん)にあるからである。

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・「恐怖劇場 へび少女」 楳図かずお(1999、小学館)

コンビニコミック。「へび少女」、「絶食」、「うばわれた心臓」を収録。
「へび少女」の結末はスゴイな。まあ余計なことは書かないでおきましょう。野暮だから。

それにしても絵が独特。設定でどうのこうのというより、絵で持っていくところが一流の証かなあ。

本書を読むかぎり、楳図かずおは怪異の説得力にオカルトや民俗的知識はあまり使わず、あくまでも「こわい」とか「気になる」という人間心理の方に重きを置いているように感じますね。

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・「恐怖劇場 ママがこわい」 楳図かずお(1999、小学館)

Umezu
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コンビニコミック。夏だし、楳図作品が次々映画化されるということでの重版か。
「ママがこわい」、「蛇」、「ねがい」を収録。

実は私、楳図作品ってほとんど読んだことがないんだよね……。
だって恐いから!!(笑)
日野日出志作品を、少年時代に「あまりの怖さに捨てた」という人の話をたまに聞くが、楳図かずおもまた、あまりにもあまりにも恐くて、ちょっとエンターテインメントとして楽しめなかったんだよね。子供時代。
しかしあらためて読んでみると、楳図かずおというのは天才なんだなということがわかりますね。

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【映画】・「片腕マシンガール」

公式ページ

監督・脚本:井口昇

忍者の末裔にして暴力団の組長の息子に弟をいじめ殺された女子高生が、復讐のために切り落とされた片腕の代わりにマシンガンを付け、人をとにかく殺しまくる血みどろ復讐映画。

サービス精神旺盛でけっこう面白かったですが、どうもベースとなっているジャンル映画としてのおとしどころがよくわからない。というのは、私がマカロニ・ウェスタンとか日本の残酷時代劇とかをたくさん観てきたわけではないから、だと思います。私の知識不足ですね。

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・「貸本怪談まんが傑作選」 怪の巻 菊地秀行:編(1991、立風書房)

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菊地秀行が選んだ資本怪談劇画を収録したものの下巻。

この巻では巻末の小島剛夕「いまひとたびの」がなかなかの傑作で、これは読む価値がある。

他には水木しげる「へびの神」、楳図かずお「ばけもの」、浜慎二「北へ行った男」、いばら美喜「印画紙」、北風三平「今朝早く」、谷川きよし「怪奇焼死体」、とみ新蔵「首」、影丸譲也「呪人形」を収録。

「北へ行った男」みたいな、地味だが渋めの掌編、といった作品や、ギャングものと怪奇ものの折衷的な「印画紙」などをチョイスするのがいかにも菊地秀行、と行ったところかな。
「今朝早く」は怪奇というより物悲しい話。

以下は余談。

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・「貸本怪談まんが傑作選」 妖の巻 菊地秀行:編(1991、立風書房)

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菊地秀行が選んだ資本怪談劇画を収録したもの。

まず楳図かずお「蝶の森」は文句なしの傑作。
いばら美喜「焦熱地獄」、モンキー・パンチ「復讐」は、当時多かったと思われるギャングもののテイストが入っている作品。菊地秀行は、怪奇ものとアクションを融合させた作品で名を売った人だが、こういう折衷的な作品が原点だとしたら興味深い。
巌太郎「幽霊館の鬼女」は、「アッシャー家の崩壊」を時代劇風にアレンジした作品。絵はヘタだし、これ単体ではまったく評価のしようがないという印象だが、菊地秀行の怪奇趣味(完全にキッチュとも言いきれない怪奇趣味)のフィルターを通すと、また「味」を感じるのが面白いところ。

他に小島剛夕「月に背く者」、浜慎二「人間蒸発」、古賀新一「健啖家」、水木しげる「壁ぬけ男」を収録。

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・「心霊物件2008」(2008、講談社)

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コンビニコミック。怪談もの。
体験と創作の中間的なエピソードが多い。が、これも恐さ、プロットの面白さという点ではちょっと……。

ただし、最後に載っている「怪覧(3) 吊り橋から見た」は、こんなハイストレンジネス事例をよくマンガ化したな、という意味では貴重かもしれない。
マイク・ダッシュの「ボーダーランド」や妖怪ファン寄りのUMA好きにはおすすめしておきます。

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・「実録 心霊現象目撃地帯」(2008、宙出版)

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コンビニコミック。
実在の心霊スポットと思われる場所を伏字で表記し(なかにはフェイクもあるかもしれませんが)、そこで起こった心霊現象についてマンガ化したもの。中には記憶に新しい殺人事件現場などもあり、なかなか不謹慎な内容のものもあったりします。

が、怪談としては正直観るべきものは希薄……。あるエピソードでアンガールズが出てくるのだけがちょっと面白かった。

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・「桜金造の背筋の凍る話 ~倫敦の怪~」(2008、リイド社)

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コンビニコミック。
桜金造の場合、稲川淳二と違って話の因果関係がそれほど明確ではない場合のものに彼なりの怪談の意義があると思っている(パクリ説なんかも当然出るが、それでも彼がその話をセレクトしたという意志は残る)。

この単行本では、「彼女の別れた理由」、「大きな黒い影」あたりにとくにそんな印象を受ける。

それと、桜金造はどこか怪談を語るときでも、非常に人間を突き放した、「恐いのはアンタ自身の感性じゃないのか」というところがコワイという場合もあって、それはこの単行本に入ってる文章での怪談話に感じたことです。ハイ。

なお、表紙は受けを狙っているんだろうが、ブックオフで見つけたときなどにはこの表紙だけでもマストバイです。おやまゆうえんち~。

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・「稲川淳二のすごーく恐い話 ~樹海の廃車~」(2008、リイド社)

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コンビニコミック。
まあ正直、観るべきところは風忍とダイナミック・プロの「東京大空襲」のエピソードくらいか。稲川さんの場合、「語り」の比重が大きすぎて、文章やマンガにすると個人的にはイマイチ。

それと、「事件の影に……」というエピソードは原作もらって描いてる作画の人に罪はないんだろうけど、ちょっといただけない内容だった。

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・「恐怖! マリア学園の地下室に……」 浅井まさのぶ(1980、立風書房)

Mariagakuen
少女向け恐怖・怪奇マンガを多く出していたレーベル「レモンコミックス」の1冊。

厳格な全寮制の女子高・マリア学園に入学してきた生徒たち。顔のアザにコンプレックスのある生徒・君枝が朝礼で倒れ、そのまま重病に。そして、その後飛び降り自殺してしまう。

君枝が倒れてから、彼女の幻を観たというものが続出。死の責任を取らされて医務の先生はクビに。代わりに雇われた青山先生がやってきてから、学園はさらなる怪異に襲われることに……。

君枝の親友・桂子は、怪異の真相をつきとめるためにいろいろと探り始めるのだが……。

ネットで検索したら、まともな論評がほとんどなかったので書いてみる。
結論から言うと、佳作であると私は思う。
(以下、ネタバレあり。)

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・「サタニスター」(2)~(3) 三家本礼(2007、ぶんか社)

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月刊ホラーM連載。
「世界最強殺人鬼決定戦」に、さまざまな思惑で参加する殺人鬼とそうでない人たちを描く。

まあ、面白いことは面白いんだけど、まだ主人公のサタニスターが大活躍しているわけではないので、準備段階な感じが、ちょっとする。

こういうホラーをベースにした作品は、ホラーのお約束を破ろうとするものだけど、いわゆるジョジョみたいな「ファンタジーバトルもの」のお約束までをも裏切ろうとして、ギリギリのところで踏みとどまっている感じがする。

どういうことかというと、普通ファンタジーバトルものでは「一見弱そうなやつが強い」とか「戦いの中で成長をとげていく」とか、あるいは「人間はルサンチマンによって強くなる」などの法則がある。
が、それすらも裏切ろうとすると、最終的には「だれがどう戦って勝ってもどうでもよくなる」領域にまで行ってしまう。

本作はそこまでは言っていないけど、たとえばトラウマキャラを茶化すようなことを1巻でやっちゃっているから、2巻で殺人鬼・バルキリーの過去のトラウマが描かれても「えっ、こっちは茶化さないんだ……」とつい思ってしまうんですよね。
まあ3巻でわかった墓井田の過去は、ぶっとびすぎてて面白かったけど。

1巻の感想

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・「サタニスター」(1) 三家本礼(2006、ぶんか社)

Satanister
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月刊ホラーM連載。「悪魔に魂を貸した」シスター、サタニスターが凶悪な殺人鬼をブチ殺すスプラッター・アクション。
もう3巻くらいまで出てるけど、1巻の話。

同じ作者の作品「ゾンビ屋れい子」では、凶悪殺人犯「百合川」ってのが出てきてれい子と対決するが、本作でも「バルキリー」という美女殺人鬼が、サタニスター登場前に出ている。
たぶん、読みきりの形式で載ったものからだんだんお話を転がしているので、最初に殺人鬼・バルキリーの恐怖を描いた読みきりが載り、その後「サタニスター」が載ったんじゃないかと想像する。きちんと確かめてなくてすいません。

で、「百合川」も、確か少女専門の殺人鬼で、少女専門に狙ってるやつがなんでこんなに強いんだよ、というのはうまくごまかしていた。
けれけど、「バルキリー」って最初から相手の武器とかを奪っておいて殺人ゲームをする、っていう趣向の持ち主。それって自分が圧倒的有利な条件でないとゲームを楽しめないというサディストと見ていいと思うんだけど、
「そういうタイプの殺人鬼が、自分と対等に戦える相手と果たして戦うかなあ……?」という疑問が1巻の最後まで頭から離れなかった。

それに、そういうタイプの人間が、他の殺人鬼と(理由はあれど)仲良くしているというのも変だしなあ……と思った。

ここんところ、「殺人鬼同士を戦わせる」趣向のホラーでは本作に限らず出てきちゃう矛盾なんだけど。

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・「ゆうやみ特攻隊」(一) 押切蓮介(2007、講談社)

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月刊少年シリウス連載。
姉を殺した悪霊に復讐するため、臆病な性格ながらも「心霊探偵部」に入部した辻翔平は、「霊を素手で殴ることができる」部長・弥依(やより)と部員・かえでとともに心霊探偵をやることになるが……という話。

「自分に自信があってワンマンで、銭もうけのことしか考えてない」弥依、「ちゃっかり」という言葉がふさわしい性格のかえで、そしてヘタレな主人公、というキャラクターの図式は昨今のオタクマンガの定番とも言うべきもので最初は正直うんざりしたが、キャラクターが動き出すに連れて面白くなっていく。

単行本の終盤ではついに強力な霊能者である弥依と翔平の姉を殺した悪霊とが出会い、悪霊のすごさを弥依が認識するシーンがあるが、これがなかなか燃える。

「でろでろ」よりも人の死がからんでいるぶん、もう一枚シリアス度が上の印象。

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・「おばけのおやつ」 押切蓮介(2007、大田出版)

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短編集。本書では噴火した山の火山弾の雨あられの中、突如出現した地獄の魔王・ペサメノスに戦いを挑む一匹の犬の話「Beautiful」がすごい。
描き下ろし44ページの作品からほとばしり出る、誤解を恐れずに言えば「中二病」的とも思える思春期的な悩みと終末観、そして最後に訪れる救い。それらが原稿用紙にたたきつけられてる。

マンガとしての完成度とか何だとか、そういうことをいっさい不問にする迫力。自分はこういうのが読みたくてマンガを読み続けているのだと言っていい。

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・「でろでろ」(11) 押切蓮介(2007、講談社)

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週刊ヤングマガジン連載。霊感体質である少年・耳雄が遭遇する怪奇現象もろもろを描いたギャグマンガ。

本編も面白いが、この巻では巻末の「蓮介漫画日記」が面白い。
アニヲタのアシスタントたちとのコミニュケーションギャップを描いているので。

10巻の感想

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・「でろでろ」(10) 押切蓮介(2007、講談社)

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週刊ヤングマガジン連載。「人の振り見てわが振り直す」とか、アイドルファンの話とか、フリーズしたパソコンに打ち込んだ文字が本当にパソコンの中で氷漬けになっていたりとか、そういうのが面白いですね。

9巻の感想

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・「でろでろ」(9) 押切蓮介(2007、講談社)

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週刊ヤングマガジン連載。
奇っ怪の145「ワゴムコワイ」に出てくる「ピンポコ界からやってきたプクプク君」って、なんだかすごく恐くないですか!? 「輪ゴム」に関するアイディアもすばらしい。
奇っ怪の146「手を振る楽しい人々」は、電車の中の乗客と外で楽しく手を振る人々との精神状態のギャップがもう1回ねじれてさらなる断絶を表現しているところがいい。
奇っ怪の147「夜20時の丑の刻参り」は、単純な話だが魂が震えましたよ。出てくる女の子が妙にカワイイ。
奇っ怪の150「百億光街」は、耳雄たちが異界へ迷い込んでしまう。この作品としてはめずらしいパターンか?

個人的には心に響く話が多かったなあ。

8巻の感想

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