90年代

【サブカル】・「鬼畜系とは何だったか」

ロマン優光氏の論考に、ほぼ違和感はない。
雨宮かりん氏に対する考察も、同意できる。
しかし、「鬼畜系90年代サブカル」は、80年代や70年代にはさかのぼれないのだろうか?
むろんさかのぼることができる。90年代の「悪趣味ブーム」には各ジャンルに立役者がおり、その人たちの業績を否定するものではないが、同じようなものは80年代にも70年代にも60年代にもあった。

たとえば80年代のスプラッタムービーのブーム。あるいは平岡正明は映画「フリークス」を(彼流に、カクメイの一端として)持ち上げていたようだし、団鬼六や山田風太郎、刺青、少年愛などについての評論を、文章で行った。

「残酷時代劇」(「駿河城御前試合」のような)の流行も、かなり前の話だ。「ウルトラマン」で怪獣がスパスパとコマ切れにされ、流血する描写は残酷時代劇映画の影響と言われている。

いや別に「過去にも似たようなものがあったよね」と、「似たようなもの思い出し合戦」をしたいのではない。

これらの「似たようなもの」は、80年代でも70年代でも60年代でも、その存在意義はみんな同じだったと思うから、ここにわざわざ書くのである。

ちなみにポリティカルコレクトネスだって今に始まったわけではなく、私が勉強した範囲では60年代後半からある。

60年代後半からあるということは、そのカウンターもあり、そのカウンターの一部が、同時代の「悪趣味系」だったのだと思う。

すなわち、いつの時代でも「悪趣味なもの」は、ロマン優光氏が言うように、「だれかが勝手に決めた『普通という基準』への反逆」という要素があった、ということである。

繰り返しになってしまうが、「(鬼畜系を内包する)悪趣味」が内包する問題意識自体は、私の知るかぎり、60年代終わりから始まっているのではないかと思う。この辺の流れを見ない限り、90年代の「鬼畜ブーム」も浮かばれないだろう。

村崎百郎氏が生きていれば、もっとずっと明確に解説してくれたのではないかと思うが……。残念だ。本当に。

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【映画】・「いつかギラギラする日」

1992年
監督:深作欣二、脚本:丸山昇一

2012年に見た1992年の「いつギラ」
「いつかギラギラする日」は、プロの銀行ギャング(ショーケン、チバちゃん、石橋蓮司)に1億円を積んだ現金輸送車を襲うというおいしい仕事を持ち込んだ若者(木村一八)と、チバちゃんの若い愛人(荻野目慶子)が強奪した5000万円をめぐって裏切り、裏切られるアクション大作である。
当時はどんな評価だったかサッパリ覚えていないが、現状の日本映画では考えられないほどの予算を(おそらく)投入し、スタッフもすごい人をそろえ、観始めたら2時間の長さをまったく感じさせない傑作であることは間違いない。

ただし、公開された92年という年は微妙である。すでに80年代的価値観は古いとされつつ、翌年にはバブル崩壊、長期不況が決定的だと人々は確信し、三年後にはオウム事件が起こり、エヴァンゲリオンが放送される。時代が変わるのだ。

ウィキペディアによると、深作監督は本作の企画を持ち込まれたとき、「女性の観客が中心になりつつあった当時、果たしてアクションを撮る必要があるのか」と疑問を呈したという。
そんな時代の映画なのだ。

そこで、毎度おなじみ後だしじゃんけんで、この作品がどのように新しく、どのように古かったのかについて考えてみたい。

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【雑記】・「自分の低エネルギーな80年代後半~90年代初頭回顧」

『ロスジェネ』第4号 大澤・杉田対談の1(我々少数派)

『ロスジェネ』第4号 大澤・杉田対談の1(の2)(我々少数派)

『ロスジェネ』第4号 大澤・杉田対談の1(の3)(我々少数派)

この文章の「1」の後半に、80年代後半から90年代初頭くらいまでの浅羽通明の影響力について書いてある。
全体通して興味深い文章だが、個人的には私が社会評論とか思想系の本に強い興味を持っていたのって90年代初頭までだから、その頃のことに個人的に思いをはせてしまうのだ。

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【映画】・「バットマン フォーエヴァー」

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1995年
監督:ジョエル・シュマッカー

いろいろあって悪人トゥーフェイスとリドラーが登場。バットマンを苦しめる。
なお、バットマンの相棒であるロビンがどのような経緯で加わったのか、も見どころのひとつ。

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【映画】食神

1996年、香港
監督:チャウ・シンチー
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「食神」と自ら名乗るほどの天才料理人がライバルの陰謀にハマり、おちぶれて再起するまでを描いたコメディ。
「少林サッカー」が超人的に面白いので、同じ監督の作品を見てみた。
が、主人公は「傲慢で人を人とも思わない天才料理人」という設定で、序盤30分は部下や商売相手を愚弄しまくり、
陥れられておちぶれてからもあまり反省の色ナシ、

本当に反省するのはクライマックスシーンに入ってからという展開で、主人公のイヤミさばかりが先に立って個人的にはほとんど笑えなかった。
また、彼を陥れる敵もそうとうイヤラシイ人物たちで悪人すぎて笑えないし、
主人公が路地裏で屋台もなしに料理をつくって売る「泪橋」の住人みたいな人々に救われるシーンも、あまりにもとってつけた感じ。
さらに、主人公とヒロインとの関係もとおりいっぺんだった。

「傲慢な人間を笑う」という意味では、徹底されていないと思う。
また、料理の設定もギャグの材料の域を出ておらず、
同じテーマならツイ・ハークの「金玉満堂」[amazon]の方を勧めるなあ、私は。

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