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【テレビお笑い】・「今さらジュニアについて」

今さら千原ジュニアを賞賛しても仕方がないと思われるかもしれないが、やはり第一線の人は第一線の人だな、と思わされるのは、彼が「素人にムカついた話」がものすごく興味深いということだ。

覚えているだけ列挙する。


・おばちゃんに「握手して! ファンなんです!」と言われ、握手するとドヤ顔で「おにいちゃんの。」と言われた。

・ボクシング会場で、おっさんから「握手して!」と言われて握手したら、「ぜんぜんうれしそうじゃない!」と言われる。

・よく行く石垣島の地元民の若い女性で、「芸能人と仲良くすること自体が屈辱」というような、謎の対抗意識を持った人がいる。

これらについて、ジュニアは、「不快だ」ということが言いたいのではなく、「こっちがどんな反応をしたら正解なのか?」と当惑しているのだ。

これらのエピソードに共通するのは、一般人の芸能人に対する嫉妬心だ。

「なんとかして芸能人をぎゃふんと言わせてやろう」という意識がかいまみえるのである。

昔は、「芸能人が嫌いな一般人」は、わざわざ芸能人に近づいてくることはなかった。無視するか、ひどい場合は罵声を浴びせるというようなことがあったかもしれないが、とにかく態度としてはストレートだったように思う。

それが、最近の一般人は芸能人に近づくことにあまり緊張感がない。なめているとも言えるし、こじらせているとも言える。

私が「ジュニアは一流だな」と思うのは、彼が「芸能人をぎゃふんを言わせてやろう」と思っている人たちを、「絶対的に芸人に勝てない素人がイキってきて不愉快」という文脈におさめているのではない、ということだ。

それなら、ただの芸人の自慢話である(こういう人は、けっこういる)。

そうではなく、「芸能人に悪意を持って近づいてくる素人」に対して、当惑している、というふうに、中空に放り投げるから感心するのである。

そうすることで、一般人の虚無感みたいなものが浮かび上がってくる、と私は思うのだ。

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