【映画】・「パンツの穴」(1984年)
鈴木則文監督。
雑誌のエッチな投稿欄が「原作」の、アイドル映画。
山本陽一、菊池桃子主演。
恋愛に、セックスに興味津々の少年(山本陽一)とその仲間たちが起こす騒動を、甘酸っぱい青春の思い出と、なぜかしつこいくらいに出てくる「ウンコネタ」でコーティングするという、知る人ぞ知る怪作である。
前に一度観ていたが、映画館でもう一度観る。
「パンツの穴」(1984年)を再見して「あっ」と思ったのは、80年代の男子向けなちょいエロシーンとして、男子が女子のプールを覗くところがあるのは当然として、主人公の少年が夜中に部屋で全裸でポーズを取っているところを、隣家の女性二人が偶然見てしまい、そのまま眺めているシーンが入っていること。
いわゆる「ポリコレ棒」的な意味での「ポリコレ」においては、男性が女性の風呂を覗くシーンを削除するとともに、女性が男性の風呂を覗くシーンも削除しよう、ということなのがこれでわかる。
……とこんなこと書くと「男性と女性、どういうことで性欲を喚起されるかは非対称なので、正反対のことを書いても仕方ない」とか、男性が自分の欲望を正当化するために「女だってそうだろ」と言いたいだけなのではないかとか、反論が山ほど帰ってきそうだが(たとえば女性側からの男性への痴漢、などはどう考えても少ないだろう。あ、痴漢って性欲じゃなくて征服欲からするんだっけ。でもSMもサド側からすれば征服欲ですよね? ややこしくなって気が狂う)。
でも鈴木則文の映画は、他の同時代の東映の監督に比べると、エロい映画でも、男性優位に描いてないことは確か。
処女とセックスすることしか考えていない佐藤まさあきの「堕靡泥の星」の映画化「堕靡泥の星 美少女狩り」にしても、いちおう原作がそんな感じだから嗜虐的なシーンはあるものの、「別の人に監督やらせれば、もっと殺伐としただろうに」と思ったし、
「温泉みみず芸者」は、セリフとして女性が男性優位社会に抗してきたことが描かれていた、はず(ヒロインのお母さんのセリフで。その内容は忘れた)。
話を戻すと、たとえ男性と女性の性欲が非対称なものだとしても、結局は合体(釣りバカ日誌)しなければならない、とはどういうことか、を考えないとわたし的には面白くならないんですよ。
男の二次元ヲタや腐女子が自分の存在をアピールするのもそれなりに大切ですが、そればかり言っていると、昔のおとーちゃんが「奥さんとセックスするとき、由美かおるのことを考えてます」とか、そんな小沢昭一 の小沢昭一的こころに落ち着いてしまうのです。
これでは、人間の霊的進化には程遠いのです。
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