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・「幻魔大戦 Ribirth」(1)~(2) 七月鏡一、早瀬マサト(2015、小学館)

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【雑記】・「もうひとつの80年代追記 幻魔大戦」で、「幻魔大戦がまとも(?)な方向に行っていた幻の80年代」について書いたが、このとき、もちろん本作がウェブ連載されていたことは知っていた。
だが、実はきちんと中身を読んでいなかった。
一読して、驚愕した。
以下は、多量にネタバレを含む。

なんと本作は、1967年に未完のまま終わったマンガ版「幻魔大戦」の正式な、公式な続編なのである。
しかも、それだけではない。
本作は、平井・石森版「旧」幻魔大戦を基調とし、80年代に描かれた「石森版」、そして平井和正の小説版「幻魔」、「真・幻魔」、「新・幻魔」がすべて融合されているのだ。
平井和正の作品の権利をだれが持っているのかどう管理されているのか知らないが、それと、石森プロとの協力、さらには両社の作品に精通している原作者がいないと実現できないシロモノである。
平井和正と石ノ森章太郎が、生前ケンカ別れしたわけではないとは言え、それぞれ独自の道を歩んだのは事実である。それが融合されようとしているのだから、両者にある時期まで目配りしていた者としてはワクワクがおさえきれない。

それと、時代的にも大きな課題がいくつかある。
大きな問題としては「いつか地球上でハルマゲドンが起こる」という、「幻魔大戦」の根底にある概念がもはや陳腐なものになっている点だ。
今の日本人は、オウム事件という「ハルマゲドンの自作自演」という、フィクションを現実が先取りしてしまう奇妙な事件を体験している。
この事件以降、すべての架空のハルマゲドンの物語は、結果的にオウムを模倣する存在となってしまうこととなった。だから、ハルマゲドンを描くには、常に何らかのエクスキューズが必要となった。
たとえば、「まどかマギカ」では「魔法少女」がテーマになっていたように。
あるいは阪神大震災、911の同時多発テロ、そして東日本大震災と、具体的に大きな事件、災害も起きている。
「ノストラダムスの大予言」の大ブームの影には「せまりくる大破滅」に対する「不安」をも楽しむ、とでもいうような不謹慎な愉悦がまといついていたことを否定できる者は少ないだろう。
しかし、もはや我々は「ガチに大変な状況」を「体験」してしまっているのであり、今、「幻魔大戦」が描かれるということは、そうしたことに斟酌しなければいけないということでもある。

テクニカルな面としては、登場人物がやたらと多くなり、交通整理がむずかしくなるということもある。

「幻魔大戦」のファンなら、だれでも「ありうべき幻魔大戦」を夢想したことがあると思う。
それが実現するかどうか、今後も注目して行きたい。

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