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・「特命係長 只野仁ファイナル」モテ過ぎる男編 柳沢きみお(2014、ぶんか社)

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広告代理店・電王堂の平社員でありながら、裏で社長の「特命」を受けトラブルを処理する男・只野仁の活躍を描いた作品。
大藪春彦など往年の「サラリーマン憂さ晴らしアクションもの」と言ってしまえばそれまでだが、本作も時間が経つごとに、違う様相を呈してきた。

それが、只野のトラブルシューティングとはほとんど交錯しない、只野の上司・佐川と、その親友・入江の中高年哀歌の描写である。

佐川も当初は、「マイペースな部下・只野に振り回される中間管理職」という役割しかなかったのが、いつしか妻に家を追い出され、安アパートを借り、そこにとんでもないエロ熟女が転がり込んできて、佐川は意外な才能(?)である絶倫の勢力を持ってして、新たな人生を始めるのだ。
一方で、佐川の憧れの対象だった出世した親友・入江はインポになってしまい、若い頃から耽溺してきた性の快楽にもあき果てて、現在はわざとすごいブスの女性と付き合ってあてどのない生活を送っている。

佐川にしろ入江にしろ、人生に変転はあり楽しいことがないとは言わないが、中高年として将来の不安を感じつつ、酒を飲みながらいつもぼやいているのだ。それが面白い。

また、このコンビニコミックでは「近所の奥さん」というエピソードが、柳沢きみお中高年哀歌のひとつの典型だろう。
ある電王堂の男性社員が上司にミスをかぶせられ、怒りでぶん殴ってしまう。「もう終わりだ」と絶望した彼は、夫のDVから逃げてきた近所の美人妻をかくまう。彼にとっては、「美人妻をかくまう」ということだけが生の証しであった。いろいろあり、妻は男の元から出て行こうとするが、「お礼に」と自分の身体を提供する。
女性から身体を提供された男は、相手が嫌がっているのに気付きながら結局セックスしてしまい、後には虚しさだけが残る。

とにかく、中年男の悲哀を味わいたかったら、柳沢きみおを読むことだ。

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