【書籍】・「サブカル・ニッポンの新自由主義」 鈴木謙介(2008、ちくま新書)
[amazon]
現在の日本は「新自由主義」の流れににあり、それはよくないことで、それを脱するにはどうしたらよいかを考察した本。
本書に繰り返し出てくるのは、「既得権益批判をし、それを剥奪して自分のものとすることは、結局後続の世代から『おまえが既得権益者だ』と言われてそれを剥奪される、という連鎖が続いてしまう。さらに、既得権益批判は、結果的に新自由主義を補完することになる」という主張である。
アマゾンレビューを見たら、なんだかどれも微妙な評価なんだが、「いい大学に行けばいい会社に入れて人生安泰」みたいな高度成長期以降のシステムが、じょじょに崩壊していった、という解説は勉強になりましたよ。
また、「労働の人間疎外」も、昔のように単純な工場労働だけが人間疎外の元というわけではなく、
「人間しかできない仕事だが、だれにでもできる仕事」
が人間を疎外するようになる、というのはなるほどと思いましたね。
ただ、サブカルへのもって行き方が強引で、ちょっとよくわかりませんでした。
2008年の著作ですが、この段階でもまだ「いつでも帰ってこれるジモト」の象徴として「木更津キャッツアイ」くらいしか出てこないのは、問題だと思います。
しかも、「帰ってこれるジモト」があるのは、ヤンキーもしくはヤンキー的な人だけなんじゃないかな?
ちょっと結論が弱かったと思います。
| 固定リンク
「オタク」カテゴリの記事
- 8月1日(木)「かに三匹&新田五郎のアニメとマンガのマニアックな話をユルく語る会Vol.14」(2019.07.08)
- 6月14日(金)「かに三匹&新田五郎のアニメとマンガのマニアックな話をユルく語る会Vol.13」(2019.07.08)
- 「冷笑系」という雑なくくりはよくない(2019.07.01)
- 4月12日(金)「かに三匹&新田五郎のアニメとマンガのマニアックな話をユルく語る会Vol.12」(2019.04.11)
- 【イベント】・「2月15日(金)「かに三匹&新田五郎のアニメとマンガのマニアックな話をユルく語る会Vol.11」(2019.02.12)
「書籍」カテゴリの記事
- 【テレビお笑い史】・「1989年のテレビっ子」 戸部田誠(2016、双葉社)(2018.02.02)
- 【書籍】・「グラビアアイドル『幻想』論 その栄光と衰退の歴史」 織田祐二(2011、双葉新書)(2016.11.25)
- 【書籍】・「ネット右翼の終わり ヘイトスピーチはなぜ無くならないのか」 古谷経衡(2015、晶文社)(2015.10.02)
- 【書籍】・「宇宙戦艦ヤマトをつくった男 西崎義展の狂気」 牧村康正、山田哲久(2015、講談社)(2015.09.15)
- 【書籍】・「サブカル・ニッポンの新自由主義」 鈴木謙介(2008、ちくま新書)(2014.11.10)
「評論とは」カテゴリの記事
- 【サブカル】・「鬼畜系とは何だったか」(2018.06.02)
- 精神(2018.04.19)
- 【映画】・「ブラックパンサー」ネタバレあり(2018.03.09)
- ・「豪画沙」(下) 永井豪(2017、講談社)(2018.02.23)
「社会全般」カテゴリの記事
- 【お笑い】・「ウーマン THE MANZAIでの漫才問題」(2017.12.23)
- 【騒音】・「園児の声問題」(2017.12.23)
- 【社会全般】・「生の果ての死をつくることは罪か」(2017.12.07)
- 【アイドル】・「アイドルが何かの代替物だったら、応援する必要ないだろうが」(2017.11.30)
- 【アイドル】・「まだまだ続くダイエット騒動の感想~こんな考えがひとつくらいあってもいいだろう」(2017.09.29)
「サブカルチャー的希望」カテゴリの記事
- 4月12日(金)「かに三匹&新田五郎のアニメとマンガのマニアックな話をユルく語る会Vol.12」(2019.04.11)
- 精神(2018.04.19)
- 【雑記】・「入門編が必要かどうかは、ジャンルによる」(2014.12.01)
- 【書籍】・「サブカル・ニッポンの新自由主義」 鈴木謙介(2008、ちくま新書)(2014.11.10)
- 【書籍】・「10年代文化論」 さやわか(2014、星海社新書」(2014.11.08)