【雑記】・「『絆』問題」
その前に、気になったところを、長いけど引用。
「絆」という考え方は、今の40歳以下の人たちの強烈な特徴だと私は思います。私なんかの年代(50代)だと、ちょっと気味が悪い。「仲間が第一」というのは任侠の世界の哲学で、彼らは親兄弟より、法律より、正義より、何より仲間が大切。仲間との絆があらゆる徳目に優先する。そういう友情原理主義が、今の若者の心をつかんでいる。企業は「うちの会社のために命を懸けろ」とはなかなか教育できないし、何の説得力もないから、仲間と助け合うことを教育しているのでしょう。彼らも「自分の勤めている居酒屋のために命を張るぜ」とは言っていない。仲間のために頑張っているのです。
──その純粋さを企業は利用している。
「絆」周辺はものすごく警戒してかからないといけない。震災のときも盛んに言われたでしょう。「絆」「絆」ということで、復興特別税もほとんど議論なしにありになった。もちろん、それはいいことですよ。でも、「絆」というのは道徳律ですから、逆らうことができない。まったく反論できない空気になることが恐ろしいわけです。反論しようものなら、「お前、仲間を見捨てるのか」となりますから。
「仲間との絆」が何より大事な任侠の世界では、仲間を裏切ったやつは殺してもいいことになっている。男の世界の「マッチョ道徳」って、まるっきりポエムですよ。そういう意味で、私はEXILEを強く警戒しているんですけど。
引用終わり。
まあ言いたいことはわかるんだが、逆にインタビューを受けている小田嶋氏の立ち位置、そして世代を感じます。
たぶん彼は、80年代的な「個人主義」を、「よいもの」だと思っているんじゃないか。
それを前提に、この後のテキストも書いてしまいますが、80年代的な個人主義というのは確かに輝かしかったけれど、それでみんなどんどん孤独になった。
80年代的個人主義を補完するものとして「恋愛至上主義」や「ニューファミリー思想」があった、と私は考えています。「恋愛至上主義」は、つきあいベタな人たちにとってはキツかった。それより、体育会系の人だったら一緒に汗を流して、同じ釜のメシを食った方が(運動はきついけど)ラクなわけです。
またさらに、80年代後半はよりそうべき巨大な「善」も、立ち向かうべき巨大な「悪」もなくなる(正確に言えば見えなくなる)時代でもあり、それは90年代半ばに「巨大なる善を演じようとして、対外的には巨大なる悪となった」オウムの出現によって、決定的なものとなった。
最後に残されたのは「仲間」しかなかった、と私は考えています。
確かに「仲間」、あるいは「絆」というものは、特定のコミュニティ内でしか通用しないルールで動いています。
その「コミュニティ内ルール」は、外の世界の何者が保障するものではない、という問題があるのですが、だからこそ、私としては「カルト化しないコミュニティ」(外部の常識と常に照らした行動を取るコミュニティ)rとなるように不断に監視、修正し続けなければならない、と考えています。
おそらく、小田嶋氏はそうした自浄作用が、「ポエム的な曖昧さ」によってごまかされ、機能しなくなることを恐れているのでしょう。それは確かにそうかもしれません。
しかし大家族も、子どもをつくらないことによってニューファミリーさえも解体されてゆく流れで、若者が「絆」を求めることは、私にはごく自然のなりゆきのように思えます。
それと、これは楽観的な見方かもしれませんが、70~80年代と違って、今の40歳以下の人々の人間関係は、もう少し多重的なのではないかとも思っています。
つまり、「ナントカグループ」みたいな絶対的に帰依すべき集団にひとつだけ、所属するのではなく、広く浅く複数のコミュニティに所属するような、そういう感じなんじゃないかと。
まあどちらにしろ、私は「絆」そのものが道徳たりうるのではなく、「絆」の上位概念として何らかの道徳とか倫理とかいったものが君臨する、と考えています。
これが西欧の場合は、究極的にはたぶん「神」になります。日本はそれに代わるものがない。やや手垢のついたりくつで言えば、「仲間のルール」がたやすく社会的なルールとイコールになってしまう。
これを超えるには、「日本人なりの上位概念としての倫理、道徳」を強く打ち出すか、逆に「個人主義のおれルール」を打ち出していくしかないと思いますね。
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