・「三国志ジョーカー」全5巻(完結) 青木朋(2010~2013、秋田書店)
ううーん、私のような男が読者ターゲットに入っていないからなのかもしれないが(本作はジャンル分けするなら少女マンガ)孔明の目的が明らかになるにつれ、急速にわけがわからなくなってしまった印象。
だいたい、「未来から来た孔明(に扮した未来人)は、三国志の時代の歴史をまったく知らない」、
「タイムパトロールは、その時代の人物である周瑜を、現地のタイムパトロールに選んでいた」
この二点はご都合主義的すぎるので看過しがたい。
まじめに読んでいたが歴史空想ゲームに付き合わされてしまった感は否めない。
またこれも少女マンガの限界かもしれないが、蛮人として描かれ、未来人の孔明に軽蔑されていた劉備が、その後、いわば山賊や海賊のような荒っぽい友情で孔明と結ばれる描写も、少々物足りなかった(そっち方面は、少年マンガでさんざん読んでいるので)。
何より「未来人の孔明」が、三国志の時代を選んだ理由の(物語としての)いい加減さ、自分の宿命のためとはいえ、歴史や戦乱をもて遊んだ罪は消えない。
同じ戦争や殺人でも、同時代人と現代人、未来人のやることではまったく意味あいは違うはずだ。
(まあ、ここはそんなにマジメにつっこむべきところではないのかもしれないが……。違和感は残る。)
絵はかわいく、マンガとしてのレベルは高いが、読後に大きな当惑が残った。
ウィキペディアによると、中国の三国志トランプでは孔明と仲達がジョーカーだというが、それにしても作中で彼ら二人がジョーカーである理由くらいは示すべきであったろう。
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