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【雑記】・「無償とは何か」

ネットウロウロしていたら、「ワタミで無償労働しているのが美談にならず、女子マネとしておにぎりを二万個握るのが美談になる」という「指摘」が、そう指摘するだけで事足れりとされていた(ように思えた)ので、自分の思うところを書きたい。

・その1
本来、「無償」が「当然」とされてきたのは、サラリーマンのような給与形態が導入される以前の話である。
使用人が、食わせてもらえるだけでありがたく、雨風をしのぐ屋根があればうれしい、といった時代である。
だから、おそらく「徒弟制度」では給与体系などは曖昧だろう。徒弟制度は、まずその仕事に就ける「ギルド」的なものの参加、およびその中で仕事を学習できるというメリットを最大限の売りとしているので、給与に関して残業代がどうの、ボーナスがどうのなどと言ったらたちまちたたき出されてしまうであろう。

私は「ワタミ」の創業者のポリシーはひとつも知らないが、まあ激務に慣れている人の特徴として、こまごました金や休暇について無頓着であることは容易に想像できる(ひどいやつだと思う)。

しかし、人は、景気のいいうちは「無償だった」とか「ギャラがもらえなかった」ということに関し、あまり大声で文句は言わないものだ。
それは、パイ自体が大きく膨らんでくるため、自分の取り分ができることが予感できるからである。
勘だけで書くが、日本の高度成長期~バブル崩壊までの徒弟制度、あるいは少人数のベンチャー企業のようなところでは、無償とはいかないまでも「粗雑な金ばらい」と「パイ自体が大きくなっていく」ことは相互作用で、そのあたりのことは不問だったのである。
つまり「ブラック企業」という発想は、あまりなかった。

話は少しそれるが、1980~81年の「金八先生」第二シリーズで、高校に進学しないことを決めた加藤優が、さまざまな資格を持っていて資格を取ることが趣味のようになっている中小企業の社長みたいな男性にあこがれるシーンが出てくる。
あれは当時、「中卒でも資格をいくつも持っていれば、大卒と渡り合える仕事ができる」という夢があったからである。
こういう時期には、「ブラック」という言葉は定着しにくい。よほどの詐欺行為でもなければ、どんな商売にも芽があるからだ。80年代前半に、ブラック企業と高校の女子マネを比較する発想すら、なかったと言える。

・その2
しかし現在、「ブラック企業」と「高校部活の女子マネ」という対立概念、あるいは類似性が出てきても、この景気の悪さでは仕方がないと思う。
むしろ、どこがどう違うのと思う人もいるかもしれない。

「男女差別ではないか」という「女子マネ問題」はここではひとまずおき、「女子マネはすばらしい仕事」と仮定して話を進めるが(「女子マネ問題」はことあるごとに浮上する面倒なものなのである)、そうなってくるとブラック企業と女子マネを分けるものは何か、といったら「思想(イズム)」しかないではないか。

かつて、オウムの井上は、「千枚チラシを配ってこい」と言われると一瞬のうちに配ってきたそうだが、それだって当然「無償」である。某マンガ家の某アシスタントは、作品内の某アイディアについて、毎回助言をおこなっていたという噂があるが、そこにアシスタント料以外の賃金が乗せられていなければ、無償ということになる。

現在、反原発だとかヘイトスピーチだとかは「思想」の問題として議論がかまびすしい。
ところが一方で、「思想」がまるでないかのように問題が議論される場合がある。「ブラックか女子マネか」といった二者択一的な考えが、それである。
「人間は思想に心酔すれば無償でも働くことがある」のは当然のことであり、では「どんな思想なら無償になれるか」ということこそが、「ブラック」VS「女子マネ」では重要なことのはずだ。
このことは、心にとどめておくべき問題である。

ところで、ブラック企業も女子マネの無償行為も否定した場合、そこで肯定されるのは「正しい労働環境」であり、「正しい賃金の支払い」である。それは間違いないし、サラリーマン的な労使関係においては「無償での労働」の存在の余地などは、ない。

ということはつまり、「無償」部分の悪い部分ではなくいい部分もなくしてしまう、ということは心にとどめておくべきfである。
たとえば、「なんだかわからないが愛嬌のあるやるが現場に出入りしていて、最初は遊びに来るだけかと思ったら黙っていても勝手に手伝ってくれて、見込みがあるので使ってやることにした」みたいなドリームも、またなくなるのである(ちなみにうろおぼえの、スピルバーグが映画業界に入ったきっかけを参考にしました)。

むろん、そういう「夢物語」は「雇ってやることができる」という余裕があるからこそ成立するものなのであるが。

簡単に言えば、厳密なサラリーマン的労使関係は、徒弟制度のロマンをなくす、ということである。

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