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【映画】・「劇場版テレクラキャノンボール2013」

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監督:カンパニー松尾

内容は、【Review】AVを利用しつつ映画やTVを超える広い世界 ~『劇場版テレクラキャノンボール2013』~ text 佐藤健人にほとんど説明され尽くしている。
これは劇場で見た方がいい。率直に衝撃を受けた。
でも、私はほとんどAVを見てこなかったので、通常自分が使用している「ここ20~30年のジャンル内の流れを見つつ感想を書く」という方法が本作では使えないので、以下に書くことはただの自分史、自分語りです。

監督のカンパニー松尾、また本作に出演しているバクシーシ山下といった人たちはほぼ同世代で、90年代あたりから常に、本当に常に男性誌を開くと出てくる名前だった。もう何千回、目にしたかしれない。
でも、私が彼らの作品を見ることはほとんどなかった。それはほんっとうに私の個人史に過ぎないのだが、「ガッチガチに構築した、まったくの虚構としてのエロ」に自分が二十数年間、傾倒していたという理由からである。
だから、ドキュメンタリータッチのエロ作品にはまったく興味がなかったのだ。

だが、たまたまの自分の「気分のめぐりあわせ」(ヘンな表現だが、自分にとってはヘンではない)で本作を見たのは、私個人からすれば「偶然」だし、映画館で上映することを決めた監督側からすれば私のような観客が増えることに関しては「してやったり!」という気分だろうと思う。

話はすっとぶが、日本の「ガッチガチの虚構エロス」は、どういうわけか70年代後半を境に、ロリコンとは切っても切れなくなった。現在、エロマンガ界をゆるがせているのは、根本的には「ロリコン的性表現」の問題である。
念のため表明しておくと、私は手続き論はともかく、カッコ付きの「児童ポルノ規制」は表現の自由の問題からも、実際の児童虐待を防止する面からも無意味だと思っている。
で、それを前提としても、(それが悪い、と言っているわけではない)「架空の少女への性衝動の表現」というものが、なぜか日本の「完全虚構エロ」と密接に結びついているのである。

犯罪としてのチャイルド・ポルノは論外だし、繰り返すが私はAVをあまり見たことはないのだが、AVが「偏向した嗜好」として「ロリコン」を宿命的に抱えている、ということはおそらくないだろう(もちろん、ジャンルとしてはあるだろうが)。

そういう意味では、同じエロを扱っていても本作のようなものは、エロマンガのもっとも弱い部分であると思う。
すなわち、ドキュメンタリーであったりゲーム性を基調としていたりするという点で。
そして、作中で中高年ががんばっているという点でも。

「中高年ががんばる感動モノ」は数多いが、まあ普通はがんばってるもんですよ。たいていは妻子がいるし、働き盛りとも言われているし。
でも本作はそういうのとは関係なく、ここ数年で「中高年ががんばる作品」としていちばん感動したかもしれない。

それと最後に、本作を評する言葉として「修学旅行みたい」、「部活みたい」、「部室みたい」という、ホモソーシャルな側面を(半ば無意識に)強調されることが多いのだが、それだけでは片手落ちだ。
出演女性の人生にまで気持ちがいたらなければ、本作は観客の心の中で完結しないのではないか。

もちろん、観客が男性か女性かで観点も変わるだろう。そういう面も、本作のスリリングな一面である。

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