・「改訂版 マジンガーZ」全4巻 永井豪(2013、講談社)
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週刊少年ジャンプとテレビマガジンに、合わせて1972~74年まで連載されていたものを合成して一本のストーリーにしたもの。
以前に出た単行本が、(私の家の)入れないところにしまってあるので細かい比較ができないが、マジンガーZの顔と、弓さやかの顔が描き直されている。他にもいくつかの修正がなされているようだ。
以下は、メモ程度に。
・その1
アマゾンレビューを見ると、評価はボロカス。ひと言で言って「修正が雑」とのこと。
ジャンプ版・テレマガ版をどのように修正したのかは、アマゾンレビューに細かい比較があるのでそれを参照してほしい。
私個人は、「ドロロンえん魔くん 完全愛蔵版」[amazon]刊行のとき、「なんで直すんだろう?」と思える顔の描き直しがいくつもあったので、今回も「まあこんなもんだろ」という認識。
誤解をおそれずに言えば、そんな話のつじつまを細かく合わせるようなリミックスがなされるとは、正直考えていなかった。
もともと、ダイナミックプロの作品というのは細かいことを気にしない、豪快なものではなかったか?
ネットで古書が比較的容易に入手しやすくなった現在、本作は「永井豪の手による、最新のマジンガーZのマンガ」として認識するべきだろう。
もっとも、編集者のポリシーの違いか手間の問題か、ほぼ同時期に、「連載時の扉絵などをそのまま収録、カラーページもそのまま」というコレクターズ・アイテムに特化した「キューティーハニー The Origin」[amazon]がリリースされたのは不思議な気がする。
私個人は懐古厨のつもりはないが、本書を手に取る大半はリアルタイムの「マジンガーZ」を知るおじさん世代である以上、メモリアルなものにした方がよかったのではないかと思う。
しかし、まったくどうしようもない作品だとも思えない。やはりこの頃のマンガは今と違った荒唐無稽さがあって、それだけでも捨てがたいのである。
なお、個人的にストーリーですごく気になったのは、「ピグマン子爵」が、いちばん最後(確かDr.ヘルの死後)に出てきた点だけである。
ここは、いくらなんでも「つじつま合わせすぎ」だ。
・その2
以下は思いだしたことについて、書いておく。
本作を読むと、あらためて「マジンガーZ」は「デビルマン」のロボット版だったのだなと思えて来る。
同じ作者なので当たり前と言えば当たり前だが、兜博士が善人か悪人か今ひとつわからないように描かれているのはマジンガーZの「悪魔性」を感じさせるし、「マジンガー軍団」は「デビルマン軍団」を容易に連想させる。
このあたりは「魔王ダンテ」と「デビルマン」の類似部分にも言える。
確かに、マンガ版「デビルマン」は奇跡的な構成の作品だった。
当時の作者の多忙さを考えれば、フリージャズが最終的には壮大なストーリーを編み出したというか、そういう執筆状況から言ってもミラクルな作品ではあるのだが、それは永井豪というか「少年マンガ家」特有の才能、つまり「関係ないと思われるアリモノ同士をくっつけて新しいものをつくり出す」ことが最高レベルに達したのだと思う。
逆に、「マジンガー」と「デビルマン」の大きな違いはと言えば、どちらかというと「マジンガー」の方が対象年齢が低く、「デビルマン」のアニメ版、マンガ版双方に見られる恋愛要素がきわめて淡泊であること、兜甲児とボスやシローとの関係性において、コメディ展開も容易にできるということだろう。
要するに、どこか陽性なのである。
今後、他の作家によるなんらかのリメイクがあるなら、「陽気さ」にシフトした、極端に言えばシットコム的な「マジンガーZ」も見てみたい(「マジンガーZIP」があるけどね)。
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