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【評論とは】・「永遠に繰り返さなければならないのか話」

「パシフィック・リム」をやっと観た。
ツイッターだけ観るかぎり賛否両論だが、あまりに大作として公開されたため、
特撮映画、怪獣映画にありがちな論争がまたここでも繰り広げられている。
さらには、関係ない人まで素朴な感想を言って混乱を招いている。

この項では、大きな問題点である、
「怪獣は何かのメタファーか問題」と、
「女性パイロットの描写」という二点について、
思ったことを書く。

・メタファー問題
怪獣映画が公開されるたびに論争になる、それが「メタファー問題」である。
「怪獣は何かの社会性を反映していなければならないのか?」という問題とも言える。
結論から言えば、「パシフィック・リム」には、私が観るかぎり、そのような象徴性は皆無であった。
ロボットはロボットで、怪獣は怪獣だった。

で、ここで必ず「深読みする人」、「深読みできない、と文句を言う人」、「そうした人たちを批判する人」が出て来るのがお約束である。
確かに、深読みできないものを深読みするのは愚かだし、何も考えないで楽しめる作品を、わざわざ深読みする必要はない。
しかし、初代「ゴジラ」が、「反戦がメイン」の映画ではないにしろ、「反戦」の要素が入っていることはだれにも否定できないのではないか?

「自分たちが観ているものを崇高に見せたいから、『反戦』などのテーマを全面に出している評者がいる」というのは過去何回も聞かされたが、崇高に見せたかろうが見せたくなかろうが、なんらかのメタファーというのは映画の中で多かれ少なかれ、存在するのではないだろうか?

これは映画の「深読み」、「深いと思う感覚」とも関係してくる。
確かに、「映画の表層ををこそ楽しむべき」という考えが、「映画を深読みする」ことのアンチテーゼとして機能することはわかるが、なんで今さら、私より10歳以上若い人の間でもこの「対立」が持ちこされているのか、不思議でしょうがない。
この件が、最近ショックを受けたことのひとつである。

・女性パイロット描写問題
樋口真嗣 @higuchishinji

いいかギレルモ!仲間と信じてこっそり教えてやる!健全な日本男子はピンチにおちいった女子パイロットをローアングルで撮るんだよ!衰えぬ闘志は前のめりのポーズで‼利き目を設定して顔の向きを捻じりつつ目線は真っ直ぐに!背骨は絶えずS字を描け!注視点は太腿だ!異論は認めん!GO!
2013年7月9日 3:57 PM

この発言にかなりの反発があって、驚いた。
だって冗談でしょ、この発言。
一人の映画監督が、すごいものを見せられて、「おれも撮りてぇーっ!!」って興奮気味につぶやいただけでしょ。
そもそも、樋口真嗣監督の映画はぜんぶ観てるけど、「ああ、あからさまにお色気要員としてだけ、女性を扱っているな」と思った映画って、観たことないよ。
で、この発言に反発を持っている人は、以下のデルトロ監督の発言、

菊地凛子とギレルモ・デル・トロ、「パシフィック・リム」について語る

普通、若い日本人女性が出ると聞くと、超色っぽいすらりとした露出の多い女の子が5分おきに濡れたTシャツで登場するようなことを想像すると思うけど、

……とかここら辺の発言と比較しているんだろうと思うけど、
これはデルトロ監督が、巨額の予算を持った映画だから女性も見に来るんで気を遣ったんじゃないかと思う。
普通、こんな設定の映画、女性はまず見ないからね。
そもそも、若い日本人女性が出ると、それほどまでにお色気要員かね?(邦画、洋画問わず)
デルトロ監督もミスリードしていると思うよ。

GD: とにかくセックス対象か男みたいな女性のどちらにもしたくなかったです。アクション映画に出てくる女性はみんなそうなってしまいますからね。ファイト・シーンでも、ダンスのようにやってもらいました。

フェミニストの人に言いたいのは、ほとんどの人は「男みたいな女性」描写で満足しているわけでしょ。
「セックス対象」みたいな女性は男の観客の欲望の表れだけど、「男みたいな女性」が映画で増えたのは、確実に女性の観客の要望でしょう?
だから、デルトロ監督は「ベタな男観客にも、女観客にも媚びない女性描写」を試みた、ということで、それは彼の判断としては「第三の道」だったことは、忘れてはならないと思う。

そして、そのような描写をしても、アクションシーンでは菊地凛子の胸の谷間は半分くらい見えてたし、彼女を「性的にかわいいキャラクター」だと思う男も出て来るだろう。

問題の本質はそこにあると思うんだけどね。

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