【映画】・「HK 変態仮面」
監督・脚本:福田雄一
SM嬢の母と正義感あふれる刑事の父のもとに生まれた色丞 狂介(鈴木亮平)は、拳法部所属だがふだんは弱虫な少年。
だが、女性のパンティを頭からかぶると、スーパーヒーロー「変態仮面」に変身し、悪を倒すのだった。
なんでも大ヒットしているということで、まことにめでたい。でも大ヒットの理由はよく理解できません(笑)。確かに絶妙な原作チョイスではあったとは思うが。
プロットは基本的に、近年のアメコミヒーロー映画のフォーマットをごく単純に踏襲している。
ただし、スーパーヒーロー映画ファンとして見た場合、「ちょっとヒーローものに対して愛情が足りないかな」と思ってしまった。
本作に出て来る「スパイダーマン」のパロディなんて、もっと大胆にやってもよかったと思うし、ニセ変態仮面に傷つけられた変態仮面の名誉も、最後まで回復されないままなのだ。
ただし、変態仮面の肉体、動きの再現度はハンパない。主演の鈴木亮平は、このために身体をつくったとも聞く。
要するに、本作は「変態」を追究した映画であって、「仮面」の部分はまあ添え物なのだろう。
ギャグに関しては、福田雄一のノリを理解していればより楽しめると思う。
しかし、どういうわけだか、日本のコメディ映画の多くはしゃぎすぎというか、はりきみすぎた「おもしろ」を提示してしまうのだが、本作もなぜかそうなっている。ギャグの部分で、サービス過剰なのだ。
それと、脚本のやや雑なところも目についた。「変態仮面」連載時の少年ジャンプでは、「ホモ」とはギャグ的にだれでも引いてしまうような印象で、それを前提にしないと実は変態仮面の股間を押しつけて来る攻撃などは成立しない。
それなのに、本作では「モーホー仮面」をどう倒したかが描かれないのは、おおいに不満である。
このため、ただでさえややアナクロな物語が、完全に90年代的なものになってしまっている。
まあでもこういう映画に目くじら立てるのも、おとなげないと思いますよ。
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