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【アイドル】・「まだ続く坊主問題」

アケカスが語る、峯岸みなみが坊主にした理由(いつまでも子どものままで)
ちょっと気になるところがあったので、言及。

「問題視すべきは恋愛禁止ではない」の「(3)アイドルの恋愛禁止という風潮」のところ。

 調べてみる限りでは、1970年代ごろからのアイドルの歴史において、アイドルが恋愛を報じられたからといって、グループを脱退したり、芸能活動を引退することはめったに見られなかった。

モノの本によると、現在以上に芸能マスコミが芸能事務所とズブズブの関係にあって、まず「滅多に恋愛報道が出なかった」ということは、当時の状況としておさえておくべきだと思う。
アイドルが男女交際を厳しく制限されていた、というのは80年代に活躍した元アイドルからも、よく聞く話。
「報道された」事例はほとんど聞かないが、いざ出てしまっても「アイドル自身が責任を取らされる」ことは少なかった(最大の事件として、高部知子ニャンニャン写真事件、岡田有希子の自殺、の件があるが)。

これは、当時のアイドルが「もって3年」くらいの短い寿命であったこととも無関係ではない。AKBは2005年から発足しているとすると、7、8年は経過している。5年以上ともなると、「恋愛禁止」も辛いだろうと思われる。
なお、モーニング娘。に関しては「ハロカスが語る、矢口真里が坊主にしなかった理由」(小娘のつれづれ)を参照のこと。

さて、

 2005年。「電車男」のブームを皮切りに、「秋葉原的なもの」が世間に広く認知されはじめた年である。インターネットの広がり、特に当時は2ちゃんねるの広まりによって、匿名の大衆がことある問題に対して一言物申すという時代が現代まで続いている。また、秋葉原の文化、とりわけメイドカフェの広まりもちょうどこの頃であり、生身の人間に対しての恋愛感情と、虚構に萌えることが合流し始めてきた時期である。その意味では、アイドルに対して処女性という虚構を強要する空気が、いままで以上に大衆の間に広まっていた可能性が伺える。

この辺は「どうなのかな」と思う。
むしろ、「大衆」の場合、「処女かどうか」なんてグズグズになしくずしになって現在に至るのでは?
結婚式で、バージンロードを歩いている花嫁が、処女であるなんて「大衆」は思っていないだろう。
ネットで観るかぎり、「ルールを守れ(だから坊主は当然)」と言っている人たちは、単に「ルールだから守って当然」と言っているだけで、「処女を守ること」に特別な意味を持っていないのではないかと思う。
むしろ、「ルールなら守れよ(おれたちだって、守りたくもないルールを守っているのだから)」という主張が可視化している、と考えるべきだろう。

前後するが、「(2)それ以外のアイドルの場合」のところで、

 とすると、AKB48の恋愛禁止というルールがひどく特徴的で問題があるわけではない。AKBとそれ以外のグループの違いは、恋愛禁止を明文化しているかしないかの違いでしかなく、AKB48の恋愛禁止を問題視するのであれば、アイドル全体の恋愛禁止という風潮を問題視するべきである。

ここは確実に私と考えが違う。
AKBの最大の問題点は、「明文化」したから。

明文化してしまったから、「なんらかの措置」が求められるようになり、それがエスカレートしたのが今回の結果だろう。
明文化しなければ、こんなもの、いくらでもごまかせるのだから。

むしろ、運営側はゴシップを逆手にとって宣伝に利用しようという意図が見える。世間へのアピールという点では、はっきり言って、今回の坊主事件は成功か、成功しなくても「無」だと思う。AKBグループ自体に、ダメージはない。

もともと、AKBは「本当にキラキラした『アイドル』というものを表現したいのか?」と疑問に思うようなことをやり続けてきたが、あくまでもそれは「作品」の範囲内だった(中島哲也監督を起用して、ザンコクなMVを撮るなど……って話に聞いただけなんだが。今、観られないのね)。

それが「作品」を越えて、「事件」として表出したのが今回の坊主事件だ。
問題は確かに「恋愛禁止かどうか」ではない。それに対する措置を、見世物にする、という運営側の「新機軸」にある。
おれは、表現行為としてこの「路線」をぜったいに認めない。
これは「作品としてのAKB」に対する批判と受け取ってもらってかまわない。

もちろん、常に100点がたたき出せるわけではないにしても、この路線はないわ。

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