« ・「エスパー魔美」(3)  藤子・F・不二雄(2010、小学館) | トップページ | ・「新オバケのQ太郎」全4巻 藤子・F・不二雄(2011、小学館) »

・「チンタラ神ちゃん」全1巻  藤子・F・不二雄、藤子不二雄A(2012、小学館)

[amazon]
1967年、「少年ブック」連載。1976年、単行本化。

神様であるところのチンタラ神ちゃん、貧乏神、福の神のトリオが、ジローくんが山奥につくった「秘密基地」に居候する、というギャグマンガ。

76年に単行本化されたとき、本屋で観たこともない藤子マンガを見つけて、なんとも禍々しい気分になったことを覚えている。
それがこの「チンタラ神ちゃん」だ。当時すでに「オバケ」、「怪物」、「宇宙人」、そしてネコ型ロボットといったように、さまざまなものと少年を同居させてきた藤子不二雄だが、ついに「神」が登場した、そのことに自分は少しビビったのである。
しかも、Aの筆が入るとなぜか禍々しくなるのだ。おそらく主人公の「神ちゃん」はFだろうが、喪黒福造にソックリな「福の神」はAの手になるものだろう。

実際、じっくり読んでみても私の感じた「禍々しさ」は晴れることがない(笑)。神ちゃんたち神さまトリオは、ジローくんの「秘密基地」に住んでいるわけだから、ドラえもんやオバQのように「親公認の居候」ではない。
そもそも、藤子不二雄も最初っから「異形の者との同居」というシチュエーションを確立したわけではなく、「オバQ」連載時は放浪ものにしようというアイディアもあったらしい。放浪ものにすると、キャラクターも天涯孤独な感じが強まり、たとえば赤塚不二夫の「チビ太」のように、どちらかというと野生味が出て来る。

本作「神ちゃん」の設定はきわめていいかげんで、たとえば諸星大二郎的な深読みをする必要はいっさい、ない。
だが、そのデザインといいかげんさこそが、「日本に古くから住むまつろわぬ神々」という感じで、どうしても余計な設定を想像してしまうのである。

神ちゃんは、自分をあがめる宗教「チンタラ教」を広めようとしている。貧乏神と福の神は、友人としてそれにつきあってやっている。彼らは仏教やキリスト教の輸入で、すっかり忘れ去られた古い神かと思いきや、神ちゃんはイエスやブッダを「先輩」だという。かと思えばクリスマスの隆盛に嫉妬したりもする。

オバQにはもともと「オバケは地上に住んでいたが、ひとがよすぎて人間たちに駆逐され、雲の上の世界に行った」という設定がある。
水木しげるが「日本の妖怪たち」を復活させようとしていたのは間違ないと思うが、藤子不二雄の描く「異形」にもそれに近い出自があったら面白い、と考えてしまう作品なのである。

|

« ・「エスパー魔美」(3)  藤子・F・不二雄(2010、小学館) | トップページ | ・「新オバケのQ太郎」全4巻 藤子・F・不二雄(2011、小学館) »

ギャグマンガ」カテゴリの記事

マンガ単行本」カテゴリの記事