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【アニメ映画】・「ねらわれた学園」

公式ページ

原作:眉村卓
監督:中村亮介、脚本:内藤裕子、中村亮介

「ねらわれた学園」といえば、1977年に「少年ドラマシリーズ」で「未来からの挑戦」としてドラマ化、1981年に薬師丸ひろ子主演で映画化され、82年には原田知世主演でドラマ化されているSFジュブナイル。
ウィキペディアでみると、さらに87年に新田恵理主演でドラマ化(月曜ドラマランド。どんなのだ???)、97年には村田和美主演でドラマ化、映画化されているそうだ。

同じような「アイドル主演の鉄板原作」としての「時をかける少女」より忘れ去られてしまっている理由は、本作が「ファシズムの恐怖」という、もはや古びてしまったテーマを扱っているからだろう。

普通に考えれば、今さらの「ねらわれた学園」アニメ化は、「時かけ」のアニメ化が当たったから、としか思えない。だが「ファシズム」や「超能力バトル」という「古いテーマ、展開」のせいで、「ねら学」アニメ化には時代的にクリアしなければならないハードルが、かなり高いのである。

で、本作。
気の優しそうな少年・ケンジ、活発な幼なじみの女の子・ナツキ、生徒会長書記・カホリ、そして転校生・京極リョウイチなどを主な登場人物として、京極リョウイチの学園支配と、ケンジ、ナツキ、カホリ、そして(すべてを俯瞰で見ているはずの)リョウイチの恋愛模様を描くのが本作の主旨。
で、恋愛パートの方はわりとしっかり描かれているのだが、学園支配方面の描き方(つまりSF的なプロットの部分)が、今ひとつよくわからないんだよな。

正直、「なんで京極が学園を支配しようとしているのか」が1回通して観ただけではよくわからないんですよ。
もっと言ってしまえば、学園支配パートは恋愛パートに比べて、比較的どうでもいいように描かれている気がするんですよね。

それと、ナツキがケンジにやきもちをやいているシーンで、ナツキがかなりマジでどつくんですよ。
おれは、これはよくないと思ったね。

たとえば「うる星」で、しのぶがあたるをどつくとき、どんどん記号化していって、学校の机がないところでも学校の机でどついていたり、
それと「シティハンター」の「100t」って書いてあるトンカチね。
ああいうものはあくまで記号。「腹を立てている」ってことがわかればいい。
でも、本作では他の動作と同じトーンで描かれちゃっているから、演出にメリハリがない。

そのわりには、肝心のシーンで「タメ」が少ない。ケンジがカホリを好きだとわかって、ナツキが泣き出してしまうシーンとか、「えっ、いきなり!?」って思ってしまう。
手が震えているところが写って、顔が写ると泣いてる……とかそういうタメがないから。

だからこう、全体のトーンとしては書き込み過剰なマンガを読んでいるような印象。
緩急がないんですよ。

テーマも描き不足。
本作のテーマのひとつは、「形成されていく空気」がどんどん同調圧力と化していく恐さ。ファシズムは「これはファシズムですよ」って看板ぶらさげてくるわけではない、っていうのは、「空気」を気にする中学生たちの感じとあいまってなかなかよくできてたと思う。
それに、「情報を共有していることが『わかりあっている』ことと言えるのか?」っていうナツキの生徒会に対する反論は、そこらの超能力ものに対するアンチテーゼでもあって、すごく面白いと思うんだけど、いかんせん、物語(プロット?)がどっかギクシャクしてるんですよね。

超能力バトルを意図的にはずす展開は、こういうのむずかしいと思うんだけど、「むしろそっちの方が当然だろ」って思わせてくれる。これはもう、恋愛パートのおかげだよね。
でも、繰り返しになるけど恋愛パートの「本心が言えない、わからない」っていうのと、学園生活での「空気の形成(心にもないことにしたがってしまう)」っていうのが、ギリギリ、テーマとして噛み合いそうで、私は噛み合ってないと思った。
ここがカッチリしてれば、かなりの傑作になったと思うんですよ。

だから、結論を言ってしまうと本作は「壮大な失敗作」だと思うんだよね。
でも、いろいろとチャレンジしてるから憎めない。
「観てよかった」とは思えます。
本作以降、また「ねら学」がつくられるかもしれない的な、古い作品を新しく仕立てた的な意欲は感じるからね。

なお、まゆゆは予想上のうまさ。エンドロールが流れて来るまで彼女と気づかなかったし、実際、うまかった。

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