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・「黒部秘境物語 破砕帯をぬけ」全1巻 弓一人(1984、集英社)

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1982年頃、週刊少年ジャンプ連載。

昭和三十一年、黒四ダムのためのトンネル掘りに命を賭けた男たちの苦闘を描く。

「主人公の青年が、誤解をもとに自分を恨んでいる、親友の父と作業をする」という基本プロットはフィクションだろうが、内容は「プロジェクトX」的な、日本の高度成長期を象徴する大事業を描いた作品となっている。

こうした社会派的なテーマのマンガは、後に「少年マガジン」で多く描かれたと記憶するが、少年ジャンプではついぞ現在まで、このタイプの作品が継続して描かれた経緯はない、はず(95年頃に、いじめ問題を扱った「元気やでっ」という作品があったが。)

私が本作をいまだに覚えているのは、それが80年代ジャンプという、ものすごい勢いのあったマンガ週刊誌において、正直言って浮いていたからで、さらに「破砕帯をぬけ」というタイトルのインパクトからである。
「破砕帯」と言われても、初見で何のことかサッパリわからないからだ。

他にも、当時最先端を行っているはずのジャンプに子供心に「?」というマンガが何本か掲載されている。ジョージ秋山の一連の連載などがそうだった。何が言いたいかというと、必ずしも時代は何でもかんでも右向け右、にはならないということである。

同時期に、こせきこうじが「スクラム」というラグビーマンガを描いていて、絵の古さにビックリしたものだったが(「ああ一郎」がそれなりの人気作品だったとしても)、後に「山下たろーくん」でブレイクするし、「大自然を舞台にしたマンガ」も、少年誌では「釣りキチ三平」をのぞいて)あまり人気がなかったように思うが、ジャンプでは「銀牙」という特異な作品をつくり上げるにいたった。

そういう「何でもやった」中の作品の一つなのかもしれない、と思う。

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