・「009 RE:CYBORG」(1) 原作:石ノ森章太郎、ストーリー:神山健治、作画:麻生我等(2012、スクウェア・エニックス)
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謎の同時多発テロ事件を追うため、ひさしぶりにゼロゼロナンバーサイボーグが、ギルモア博士のもとへ集う、というアニメ映画のコミカライズ。
ざっと読むかぎり、今のところ映画に忠実すぎるくらい忠実なコミカライズで、マンガ独自の「味」を堪能するというよりは、映画の追体験をするために描かれたような印象だ。
さて、本作とは直接関係ないことを書かせていただく。
「サイボーグ009」は、「神々との戦い」に、呪縛されすぎていると思う。
本来の(というか正確には「地下帝国ヨミ編」以前の、というべきか)「009」というマンガは、「あまたの国際紛争の影に、ゼロゼロナンバーサイボーグと黒い幽霊団との死闘があった」という、陰謀論ギリギリではありながら、多少なりとも現実との接点を持った作品だった。
「天使編」や「神々との戦い」は、そんな流れをいったん断ち切った(あるいは、オカルト・超常現象方面に極端に針の振れた)構想であって、本来の「サイボーグ009」という作品とは雰囲気が少し違うと思うのだ。
このご時世、「009」を復活させるとするなら「神々」を推し出すしかないとも思うのだが、なんだか「番外編」ばかりがクローズアップされる違和感があることは、長年のファンとして書かせていただく。
なお、「神と戦う」というテーマは、「デビルマン」を筆頭に、70年代によく描かれたもので、そうした時代背景を抜きに21世紀になってまで引っ張るようなものでもないと思わざるをえないのだが……。
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