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2012年1月

【アニメ】・「魔法の天使クリィミーマミ」第10話「ハロー キャサリン」

マミの使い魔的存在であるネコのネガと、アメリカからやってきた少女・キャサリンが出会い、彼女が幼い頃に日本の昔住んでいた家の庭に埋めた「夢の小箱」を探すために二人は奔走する。主人公のマミはほとんどからまない回だ。
その小箱は、キャサリンが4歳の頃、留守がちな父からもらったもので、その箱を覗くと世界のさまざまな場所を観ることができる。だが、キャサリンとネガがやっとの思いで見つけた箱は、ただの空箱だった。

ネガはキャサリンがかつて箱の中に観ていた光景は、幼い頃の彼女がつくりだした幻だと判断。マミの魔法を使って、小箱の中から「小箱に自分の夢を閉じ込めていてはいけない」と説教して彼女のもとを去る。
もともと熱があったキャサリンは、魔法で出現した人間の言葉をしゃべるネガを高熱で観た夢かとも思うが、小箱の中にはネガに与えたリボンが入っていた……。

検索すると「魔法は夢を実現するさまたげになる場合がある」というテーマのように解釈されていて、それはそのとおりなのだが、本作はむしろ、「幼い頃の思い出」を必死に探す少女とネコ、という、もうバクハツ的に80年代な設定に酔うべき話のように思う。
舞台はおそらく横浜で、港に泊まった船や高級住宅地などがロマンチックに描かれる。すなわち、オチは「現実を観ろ」なのだが、展開は「淡い夢」を探しまわるものだ。

こうした「ピュアではかない、壊れそうな何かを探す、守る」というエピソードはアニメなどで80年代にとくに目立った。
私の独断と偏見によれば、80年代の「守るべき何か」とは、70年代とそれ以前に打ち捨てられてきたもの、価値がないとされてきたもの。
それを拾い上げていこう、というのが「ピュアではかない、壊れそうな何かを探す、守る」のがテーマの作品群だと思うのだ。

この落差は微妙かつ決定的だ。別の言い方をすれば、80年代のオタクとは70年代に打ち捨てられてきたものに価値を与えようとする存在だった。
やや話が飛躍するが、「まどマギ」は、長い時間を経て「はかないものを守る」ことがデフォルト化したフィクション世界の少女たちが、インキュベーターによっていじめ抜かれる作品ということになる。

もっとも、80年代中盤までにすでに「はかないものを愛でる」という行為からの脱却(大人への成長)が、魔法少女ものでも検討されていたことは指摘されなければならないが。
そうしたアンビバレンツな心境がないまぜになったのが、「ハローキャサリン」というエピソードだと私は考える。

なお、前にも書いたが「はかなくも美しい、純粋なものを愛でる」系譜は、現在の「けいおん」まで面々と続いている。「日常系」というのは、要するに、「日常のはかなく美しい何か」を愛でるということだからだ。

そして、そこに「成長の問題」が含まれていることも同じなのである。

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【イベント】・「イラスト・トーク・コメディライブ『マガジンRJ Vol.3』」

Rj03
リタ・ジェイさんのイベントに出させていただきます。
私はぶっとんだマンガを紹介する係(?)です。
以下、リタさんのブログから概要をコピペします。

(通常更新はこのエントリの下です)

2012年01月27日Fri イラスト・トーク・コメディライブ「マガジンRJ」

イラスト・トーク・コメディライブ「マガジンRJ」の第3弾です!

ネタとトークとゲストによる面白漫画紹介コーナー・・・・という

いつもの構成に加え、今回は28日までの

個展「SWEETS AND MONSTERS」のクロージングパーティーも兼ねます!

個展会場で販売中のグッズをお持ちいただいた方には

もれなくプレゼントを進呈させていただきます。

他、今回のために企画も用意。

クロージングということで他のゲストも調整中です。

(念のため、個展は渋谷、ライブ会場は会場は経堂「さばの湯」ですよ)

詳細は以下で!

2012年1月27日

イラスト・トーク・コメディライブ「マガジンRJ」vol.3

会場:経堂 さばの湯

開場:18:30 開演:19:30

料金:1500円

出演:リタ・ジェイ ジャンボ仲根jr.もっち[おかえりママ] コーナーゲスト:新田五郎

他、ゲスト予定

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【アニメ】・「装甲騎兵ボトムズ ペールゼンファイルズ」OVA

2007~2008年
監督:高橋良輔
シリーズ構成:吉川惣司

時代設定はOVA「 レッドショルダードキュメント 野望のルーツ」とテレビ本編第1話との間だそうだ。

私は、本作はかなりの傑作だと感じる。
巨大ロボットアニメの続編とかスピンアウト作品とか、ましてや「過去の話」だと、オールドファンサービスに徹するのみで、何も新しいことが語られなかったり、つじつま合わせに終始して新しい要素が何も出てこないといったことが予想で来てしまうのだが、本作はそうではなかった。

いろいろと、以下にネタバレ全開で説明する。

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【映画】・「いつかギラギラする日」

1992年
監督:深作欣二、脚本:丸山昇一

2012年に見た1992年の「いつギラ」
「いつかギラギラする日」は、プロの銀行ギャング(ショーケン、チバちゃん、石橋蓮司)に1億円を積んだ現金輸送車を襲うというおいしい仕事を持ち込んだ若者(木村一八)と、チバちゃんの若い愛人(荻野目慶子)が強奪した5000万円をめぐって裏切り、裏切られるアクション大作である。
当時はどんな評価だったかサッパリ覚えていないが、現状の日本映画では考えられないほどの予算を(おそらく)投入し、スタッフもすごい人をそろえ、観始めたら2時間の長さをまったく感じさせない傑作であることは間違いない。

ただし、公開された92年という年は微妙である。すでに80年代的価値観は古いとされつつ、翌年にはバブル崩壊、長期不況が決定的だと人々は確信し、三年後にはオウム事件が起こり、エヴァンゲリオンが放送される。時代が変わるのだ。

ウィキペディアによると、深作監督は本作の企画を持ち込まれたとき、「女性の観客が中心になりつつあった当時、果たしてアクションを撮る必要があるのか」と疑問を呈したという。
そんな時代の映画なのだ。

そこで、毎度おなじみ後だしじゃんけんで、この作品がどのように新しく、どのように古かったのかについて考えてみたい。

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【ポエム】・「徳川織田信長の 戦国一周シミュレーション」

私が以前、頻繁に更新していたはてなダイアリー「ゾミ夫」の2009年5月29日の書き込み。
さすがの私も、読んでいてまったく意味がわからないのでここに再録する。

2009-05-29

徳川織田信長の 戦国一周シミュレーション

用意するもの:

バーコード

どくろ

バンドエイド

浅田飴

方位磁石

ルール:

一周すると2点

二周すると5点

三週すると、マイナス3点で最初からやりなおし

ルーレットで天候を決める

晴れ:ピラミッド

雨:天守閣

曇り:五重塔

最終的に同点の場合

自殺ポイント:雨、風、晴れ、アスファルト

陣中見舞い:方眼紙

以上をふまえて、50回繰り返した平均値を競う。

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【雑記】・「『ぶっとびマンガ大作戦Vol.17』(昨年夏コミ刊)、やっと通販開始!!」

「ぶっとびマンガ大作戦Vol.17」の通販を、COMIC ZINさんから開始します。
630円です。
バックナンバーも取り扱っています。
よろしくお願いいたします。

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【ポエム】・「コロッケ太郎の珍道中」

むかし、「女」という名前の男がいた
彼は、意外にも女性に間違われることはなかった

「鈴木女」
「田中女」
「斎藤女」

そんな名前だったら、だれもがいぶかしむ。
そして調べる。

だから、意外にも誤解されることは少なかった。

だが、ある日、
彼は、西郷隆盛に間違えられた

顔が西郷隆盛にソックリだったからだ

そのため、彼はショックで

顔が竜馬になってしまった

日本を変えるぜよ!

そう言ってみたが

カラスがカアと 鳴いただけだった

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【雑記】・「だから『あやまんJAPAN』はすごいんだって!!」

もう「デビュー」してから1年以上は経つ、謎のパフォーマンス集団「あやまんJAPAN」。
ここ数年で、お笑い専業以外のタレントでは、個人的にもっとも衝撃を受けた三人だ。
彼女たちは「好き」という人と「嫌い」という人の差が大きく、お笑い芸人ではないのでまともな論評の対象になったこともない。
だが、この「まともな論評の対象になったことがない」ことこそ、彼女たちのすごさを表しているのだ。
以下、あやまんJAPANのすごさについて箇条書きしていく。

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【テレビアニメ】・「急いで書いた『輪るピングドラム』感想」

やっと、年末年始に録画を溜めていた「輪るピングドラム」をすべて観終わえることができた。
以下は、急いで書いた感想である。
急いでいるので、間違っているかもしれない。
しかし、観終わってネットなどであまり調べないで(多少は調べたけど)書く最初の感想というのも、残しておいてもいいんじゃないかと思う。

というわけで、私が感じたことを書く。
ちなみに、ネタばれありです。

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・【イベント】・「アニメの事が分からない40代オヤジに最近のアニメについて教えて!」

イベント「アニメの事が分からない40代オヤジに最近のアニメについて教えて!」

最近のアニメはさっぱりわかんない。アニメは好きなんだけど、知ってるアニメといえば、ヤマトにガンダムにセーラームーンにエヴァンゲリオンくらい? そんな40代オヤジ、古株だけど新作アニメを殆ど追いかけていないアニメファンに対し、若手のアニメ詳しい人が最新アニメについてレクチャー! 今のアニメってなんでラノベ 原作ばっかりなの? ロボットアニメって最近は何で少ないの? 今流行っているアニメってどんなの? 何が面白いの? そもそも40代オヤジでも楽しめるアニメって何かあるの?

■日時:2012/1/9(月)昼11:30開場12:00開演

■場所:ネイキッドロフト〈1500円(予約1200円)+1Drink以上〉

●予約はネイキッドロフトweb&電話で受付中

電話→03-3205-1556(16:30~24:00)

web→ http://www.loft-prj.co.jp/naked/reservation/

<出演(アイウエオ順)>
●あぱらちゃのもげ太 会社員(ワンマン管理職)アニメファン歴45年くらい、好きなアニメ:太陽の王子ホルスの大冒険、ハッスルパンチ、クラック

●岡本敦史:ライター。雑誌「映画秘宝」「TRASH-UP!!」などで韓国映画関連の記事を多く執筆。『テコンV』劇場用パンフレッ トにも寄稿。

●かに三匹 40代、好きなアニメは「装甲騎兵ボトムズ」など80年代ロボットアニメあたり。

●カメコロ(大学生)某大学アニメ同好会所属

●屑山屑男:トラッシュ・カルチャー・マガジン「TRASH-UP!!」編集長。

●想田充、アニメーション研究者。自己紹介、1984生まれ。同人サークル萌学協会主催。とあるマンガの専門図書館で働いています。数年前にアニメを見なくても死なないことに気づいてしまいました。

●新田五郎(ふぬけ共和国) 一般的評価の対象外となっている最近のマンガを収集している(収集しているだけ、研究はしてない)。もともとアニメはよく知らない。人物を切りぬいて裏に棒をつけ、動かしているのだと思っていた。ミッキーマウスとミッキー安川を混同していた。80年代のロボットアニメは好きだった。「ガンダム」はファーストまで、宮崎アニメはトトロまでしか知らない。「少女革命ウテナ」くらいはまではまだ追いかける気があった。最近最後まで観たテレビアニメは「俺妹」、「まどマギ」。「けいおん」にこれといったストーリーがないことにカルチャーショックを受ける。たまに「劇場版なんとか」を観に行っては疎外感を感じて、帰りにスタ丼やけ食いして大声で泣いている迷える四十代。

●前田久(アニメライター)

●和智永妙 (わちなが たえ) 編集・ライター。宝島社の「このマンガがすごい!」「このアニメがすごい!」 や、「オトナアニメ」(洋泉社)および別冊ムック、「オタク語事典」(美術出版社)などに寄稿、ときには制作も。アニメの守備範囲は雑食でありつつ、偏りがあるような気がいたします。

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