・「外天楼」全1巻 石黒正数(2011、講談社)
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メフィスト連載の、SFミステリ。
何を書いてもネタバレになってしまうが、とにかく非常にうまい。
うますぎて、ニクいくらいである。
で、以下はネタバレ感想。
といっても、トリックには言及しない。
「幼女姦」、あるいは「幼女姦妄想」が本作の裏テーマだと思う。なぜなら、「亜人間に性欲を感じさせるとすれば幼女形態である必要がある」ということに、何の説明もないからだ。オタク読者が多そうなメフィスト連載だったからだろうか?
作中の議論で、「亜人間に性的欲求を持つことの是非」は、賛成派、反対派公平に描かれているが、博士が偶然生み出したヒューマノイドを犯してしまったことには何の説明もない。この辺がなかなか不気味で、作品全体の不穏な感じをよく表している。
軽めのエピソードも、いわゆる「トホホな感じ」で終わっており、謎が解けても登場人物たちの現状は何ら変わらないことが多い。
同じ作者の「木曜日のフルット」でも、似たようなペーソスを感じることがある。実は自分は、このノリが苦手だ。
自分は、「謎の解明が人間の『よきこと』に向かって作用しなければならない」というかなり頑迷なシュギ者なのだ。
だから、最近のミステリにはあまり興味がなくなってしまった。
ただし、本作は「ミステリマンガ」としての幅を広げていることや読者側のリテラシー向上の指標でもあるので、必読である、と言っておく。
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