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・「変身忍者嵐」全2巻 石ノ森章太郎(1997、大都社)

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1972年、少年マガジン連載。
江戸時代、謎の忍者集団・血車党はハヤテの父から動物の力を我が物にできる「化身忍者」に変身する秘法を手に入れ、日本支配をもくろむ。
父によって化身忍者に改造されていたハヤテは、刀のツバを鳴らすことによって「変身忍者嵐」に変身し、化身忍者を残らず倒すために立ち上がった。

子供の頃、慣れ親しんだ「嵐」だが、内容はほとんど忘れてしまっていた。今読むと、いろいろと興味深い要素がある。
70年代前半というと、忍者もの、伝奇時代劇が新作として視聴者に普通に受け入れられる、ギリギリの年代だったのではと思う(同時期に「快傑ライオン丸」とかもやってたが)。

もともと子供向けだったせいか、このマンガ版では伝奇ものとしての要素はほとんどなく、実在の人物がからむということもない。
何しろ、「なぜ変身できるのか」の理由さえ描かれない。ただひたすらにストイックに、ハヤテが化身忍者を倒していく過程が、石森独特の情感あふれる時代劇描写で描かれる。ヒロインもほとんど物語にからまない。

化身忍者は首を切り落とさないと死なない、という設定になっており、全体的に残虐風味。ちなみに、同時期のマガジンには永井豪が「デビルマン」を連載していた。

ラストも「忍者もの」の終わり方にふさわしい、荒涼とした感じで終わる。
本作はヒーローものというより、忍者ものの文脈で語られるべき作品だろうと思う。

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