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【小説】・「アムネジア」 稲生平太郎(2006、角川書店)

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編集プロダクションに勤める青年・島津伶は、戸籍上、数十年前に死亡した(ことになっている)男・徳部の死の謎に興味をひかれる。
小さな新聞社の記者・澤本と知り合った島津は、それが出所のあやしげな超巨額の融資ばなしに関係があると聞かされる。一方、徳部は「いかにも永久機関的なもの」の開発にも携わっていた経緯があった。

島津は、日常にぱっくり口を開けている「異世界」の奇妙な出来事に、やがて取りこまれていく……。

「すべての伏線めいたものをチグハグに配置し、その不協和音こそを全面に出していく」という手法は面白いことは面白いが……。前半が整然とし過ぎているために、謎が解かれないという意味でのだまされ感覚は否めない、かなあ。謎解き小説ではないと承知してても。

私が本書を読んで連想したのは、根本敬が「人生解毒波止場」などで主張している「因果」という概念だ。というか、私は本作の著者と根本敬氏の主張は、元となる教養の質はまったく異なるが、本質的には非常に近しいと思う。
現在、「稲生平太郎 根本敬」で検索してもこの二人を比較した論考は観られない。
二人のファンが、その背景となる教養の違いを大きな理由に、完全に別個のクラスタに分かれてしまっている、そのことこそが実は問題だと、私は思っている。

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