【アニメ映画】・「星を追う子ども」
監督・脚本:新海誠
母子家庭の少女・アスナは、不思議な少年・シュンと出会う。彼に淡い恋心を抱いたのもつかのま、その少年は死んでしまう。アスナは、新任教師・モリサキの言う死者が蘇るという地下世界「アガルタ」に興味を持ち始めるが……。
力作なのは間違いなし。
「ジブリに寄せすぎている」とはだれもが思うだろう。だが、オリジナルの劇場公開アニメは当たりづらい、と言われているらしく、製作者サイドが「当てに行っている」としたら、この程度は責められないのではないかと個人的には思う。
それより気になったのは、扱っているテーマの本気度だ。
「親しい人の死を受け入れて生きていかなければならない」というテーマが、どれほど真剣に描かれているのか。
妻を蘇らせるという妄執に取りつかれた男・モリサキはいいとして、アスナの冒険の動機が弱すぎる。
(逆に言えば、ここまで弱い動機で引っ張るのはスゴイとも言えるが。)
地下世界「アガルタ」の描写も、かなり及び腰、というか明確なイメージがないのではないか? と感じざるを得ない。
すなわち、ジブリほど厚顔無恥に、こういう「懐かしい理想的な村社会」をユートピアとして描ききるずうずうしさは、たぶん新海監督は持ち合わせていないだろう、ということだ。
アガルタの存在にブレがあるから、その存在に悩むシン(シュンの弟)の描き方も曖昧になってしまう。
思うに、本来、シュン、モリサキ、シンは一つの人物にするべきではなかったのか?
逆に言えば、「ジブリ臭さ」を排除するために三人に分裂させたのではないか? と勘繰ってしまう。
「死者を蘇らせる」という話が出てきた段階で、「死者は反倫理的だという理由で蘇らないのだろうな」という察しはつく。それはそれでいい。ではそれをどう、だれもが納得する方向に持っていくか、が少々弱いように感じるのである。
| 固定リンク
「映画」カテゴリの記事
- 【映画】・「ブラックパンサー」ネタバレあり(2018.03.09)
- 【社会全般】・「童貞。をプロデュース問題」(2017.08.30)
- 【映画】・「パンツの穴」(1984年)(2017.01.30)
- 【アニメ映画】・「ルパン三世 ルパンVS複製人間」(2016.05.26)
「アニメ」カテゴリの記事
- 【アニメ】・「ミスター味っ子」(2017.06.24)
- 戦争はイデオロギーで起こるかもしれないが、庶民は必ずしもイデオロギーで生きているわけではない(2017.01.20)
- 【アニメ】・「一九七三年あたりのアニメ「ルパン三世」と、その後(2016.12.12)
- 【テレビアニメ】・「ルパン三世 第二シリーズ 第108話 1979年11月5日 『哀しみの斬鉄剣』」(2016.09.22)
- 【アニメ映画】・「ルパン三世 ルパンVS複製人間」(2016.05.26)



