・「切断王」(1) 鶴岡法斎、榊原瑞紀(2011、メディアファクトリー)
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2XXX年、日本政府から捨てられた犯罪都市・東京。独立自治を謳う「歌舞伎町政府」は、それぞれ異なった特殊能力を持つ「王」と呼ばれる者たちによって形成されていた。
殺された防衛局長「切断王」に代わり、その娘・衣音が二代目「切断王」を襲名。しかし、敵である九頭竜から「完璧な切断王ではない」と言われてしまう。
そんな中でも、歌舞伎町の治安を乱す者たちとの戦いは続いてゆく。
「無法化した歌舞伎町」、「特殊能力を持った犯罪者たち」といった設定は一見、陰惨になりそうだが(おそらく)原作の底流に流れるユーモア感覚や主人公が少女であること、そして端正な作画によって猥雑でありながら美麗、というとても面白いバランスの作品に仕上がっている。
巻末に外伝的な話が乗っていた悪役「棺桶担ぎのダゴン」は確かに面白いキャラ。あまり強くなさそうなので、物語を進める役として今後も要所要所に登場して存在感を示してほしいものだ。
単行本の構成としてはどうにもならなかったとは思うのだが、連載前の読みきりは二本とも掲載した方が、本編の通りもよかっただろうとは思う。こればっかりはしょうがないとは思うのだけど。
「切断王」衣音のテーマとしては「父の観た世界をどうすれば観れるのか」というのがあると思う。それが、読みきり二本を通して読んだ方が、より明確になったと思うのだ。
この巻だけでも面白いが、長く続いてこそ世界設定などが明らかになって面白さが増していくタイプの作品だと思うので、ぜひとも続編が読みたいところだ。
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