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【雑記】・「石原のブキミさ」

ゆうきまさみ氏のつぶやき

純真無垢だった石原少年は、きっと1945年の8月15日を境に心のどこかが壊れて、ほとんどの日本人が嫌いになっちゃったんだよ。「だから、みんないなくなってしまえ」って、いつも思ってるの。だけど彼の嫌いなほとんどの日本人がいなくなるわけがないので我慢できないの。もう休んだほうがいいよ

これを読んで、自分はポンと膝を打った。

最近になってやっとわかった私もマヌケだが、石原は普通の右翼とかいわゆるタカ派の政治家とは違うのである。
右翼は、一般庶民にもどかしい思いをすることもあるかもしれないが、「積極的に憎む」ということはないはずだ。
政治家にしても、わっるいヤツで、「一般庶民に無関心」とか「票田としか考えていない」っていう人はいても、有権者を「憎んでいる」という人はおそらくほとんどいないだろう。

だが、たぶん石原は現在の日本人全体を憎んでいるのである。
憎んでいるから、弄ぶ。
特攻隊がどうの、決死の思いで行動した消防士や自衛隊がどうのと言ったところで、たぶん石原にとっては「戦前の残滓、幻影」にすぎないのだろう。

簡単に暴言を吐き、すぐに撤回するのも、心の奥底ではどうでもいいと思っているからだ。
彼の「天罰発言」は、彼の知性の限界と品格のなさと、そして現・日本人へのルサンチマンを表現しているが、もともと彼は日本人に絶望しているので、別に「天罰が起こったから反省して生きていこう」とか思っているわけでもない。だから簡単にひるがえす。

何もかもを「どうでもいい」と思っていて、いちばん大切なのは自尊心。
そういう意味では、私利私欲に走る政治家や、「売国」的な政治家よりよっぽど恐い。

なお、こうした心性(戦前教育と現在とのズレに対する違和感)は、とくに珍しい、というわけでもない(石原の表明の仕方が下品すぎるだけだ)。
戦前教育を受け、「兵隊さん」に憧れたものの、敗戦によって大人たちの主義主張がひっくり返った、そんな世代は大きな(頭の中の)絶望感を抱えている。

似たところでは、大藪春彦や梶原一騎がそうだろう。
大藪春彦のつくった「伊達邦彦」というキャラクターの犯罪の原動力は、敗戦体験であるらしいことがほのめかされているし、梶原一騎の作品に、理由は不明だが非常に虚無的なキャラクターが出てくることも有名だ(矢吹ジョー、空手バカ一代の有明省吾、「愛と誠」の太賀誠など)。

(いちおう断っておくが、大藪春彦も梶原一騎も、すばらしい作家であり、彼らの虚無感の表明は戦後の歴史でも必然であったと言える。彼らの作品が、60年代、70年代の「ワリを食った人々」の虚しさと共鳴したことは、本稿の趣旨とは関係ないが指摘しておく。)

実際に従軍した世代も、戦後に虚無感を持ってはいただろうが、「死から生還した」という感覚の方が強い人が多く、また生活を立て直すのに必死で絶望などしているヒマなどなかったのだと思う。
ところが、それより下の世代はそうではない。とくに作家のような感受性で勝負している人たちならなおさらだろう。
だから、石原の小説を読んだことはないが、作家としてなら「そういう人はいるよね」程度の話なのだが。

こういう人が都民のリーダーだと思うと、都政がどうのという以前に、単に不快である。

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