【アニメ】・「Angelbeats!」
全寮制の、一見するとごく普通の生徒らが生活を送っている学園。
記憶を失った少年・音無結弦は気が付いたらそこにおり、仲村ゆり率いる「死んだ世界戦線」と「天使」との戦いに、半ば強制的に参加させられる。
ゆりたちの話によれば、この学園は死後の世界であり、理不尽な死を迎えた者たちが現世への未練を断ち切って成仏するための場であるという。
「死んだ世界戦線」は、普通の学園生活だけでは自分たちの死の理不尽さに納得することができない者たちだった。
彼らは、この世界をつくった「神」にあらがい続ける。
これ、実にひさしぶりに最終話まで観たアニメだった。
おっさんの私の、本作の評価は高い。理由は以下の点による。
・「ゲームの世界」を「いつまでも終わらない楽しい世界」の基盤に使ったというアイディア
・世界観と、キャラクターたちがその世界の根源にアクセスする方法がわりとよく描かれている
・回を追うごとの世界の謎が少しずつ明らかになっていく過程、および視聴者がこの世界のシステムを理解したうえでの意外性を持ってきて、うまく興味を引っ張っている
本作は、学校生活における「卒業」が、ある種の人々にとっては学業におけるそれと「人間的成長」の「二重構造」になっていることを可視化させている。
「NPCと戦線」というふうに分け、NPCや彼らとなじんで学生生活を送っている生徒たちと、それだけでは納得できない者たちとを明確に分けるというアイディアも秀逸。
確かに、実際の学園でも「何も考えてないでただ幸福そうなヤツ」というのはいるものだ。
要するに「いかに楽しい学園生活を送るか」、「楽しい学園生活って何だ?」ということをテーマにしているという点では「メタ学園祭もの」とでも言える内容で、たとえば「ビューティフル・ドリーマー」などと見比べても面白いかもしれない。
あるいは、「既存の社会へ適応すること」を「人間的成長」とイコールで結ばない、という点においては「キック・アス」などとも通じるものがある。
ただ、惜しいのは「戦線」メンバーの過去が次第に明らかになっていくが、どれもがあまりにも陳腐で視聴者の想像の範囲を出ないこと。キャラクターの過去が語られて、それをじゅうぶん面白くできるのはジャンプのバトルマンガでも証明済みなので、もう少しひねっていれば大傑作になっていただろう。
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