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【ポエム】・「月は東に日も東」

プリンがものすごい勢いで、サーキットを疾走している

熱狂する観衆たち

プリン同士がくりひろげるデッドヒート

プリンのひとつがクラッシュ!

サーキットの外に飛び出し、埼京線に接触した!

そのときに生まれたのが、おまえなんだよ。

おまえは、生まれたときにはすでに十六歳だった。

酒もたばこも、やっていた。

ただひとつ、おまえが盗んだ自転車を乗り回さないことだけは、
おれたちヤメ検は みどころのあるやつだと思っていたよ。

今日も都会は暑いな。
ヒートアイランドのせいなんかじゃないよ。

秋田犬を飼っている、薄い色の入った中途半端なサングラスを

かけたおっさんが 恐いからだよ

ヤメ検でも 恐いものはあるのさ。

ああいう人ってさあ、ヤクザなの?

それとも妖精?

今の若い人には区別がつくらしい。

つむじの部分にCCDカメラを埋め込む手術が流行っていて、

それによって 世の中を観ているのがイマドキの若者だ。

そういえばキミも十六歳だったな。やはりつむじに?

そうか。つむじにコンビーフ会社の電話番号を タトゥーしているのか。

自分の頭のてっぺんに あるものが、

自分では 見えない……。

この無念さ。

この苦しみ。

そうだよね。

これだ。

これだったんだ。

これが宇宙だったんだ。

いやそうだよ。

宇宙だよ。

何否定してんだよ。

それにしても、おれが頼んだハンバーグセット、遅いな。

「当店では、そのような下劣な料理は受け付けておりません」

なんだこの店ー。
ひでえなー。
カッコつけてんよなー。

なんだかおじさん、泣けてきちゃったよ。

だってそうだろう、
ラブホテルを改造した このレストランで、

ハンバーグセットがない なんてよ

代わりに若鶏のなんとかソテーは いかがでした?

とか言ってきやがった

ああ、おまえが望むなら

そうしてやるよ!

若鶏のなんとかソテーを、豪快に、

豪快に……

(ここで意識が失われる)


「気が付いたときには、おれは真っ白な部屋の中に横たわっていた。周りには何もない。カレンダーも時計もないから、ここがいつ、どこなのかもわからない。だが、いつまでもいつまでも、遠くの方で『東京音頭』が聞こえていた。
どのくらい聞こえていたかというと、半年間くらいは聞こえていたと思う。」

「父さん、ぼくは東京音頭を聞き続けることによって、危険思想を排除し、居間では立派なゲリラです。」

(注:父は彼の手紙を読んで、ゲリラとゴリラを間違えていたという。このエピソードの中で、唯一心あたたまる話であった。)

(主人公の生まれ故郷には、段ボールでつくった現代芸術的モニュメントが建てられたが、二時間後に自然倒壊した。)

(完)

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