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【評論とは】・「『受容史』はあっという間に風化する、『なんとなく』のカテゴリ」

基本的に、文化系のクラブというのはセンパイをリスペクトしないように思う。
ま、私もろくでもない先輩におべっかを使うのがイヤでサークルをやめた経験があるのだが、それにしてもあんまりだろ、という仕打ちのテキストを読むことがある。

たまたま、若いオタク(三十代前半?)と話をしていたら、こういうことを言われた。
「好きだからオタク的な趣味に身を染めている、嫌いだとか義務だとか思ったことはない」
と。

自分は、溜息が出た。

その1
現在、特撮やアニメ、あるいは「クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!」さえも、(あくまでもオタクの仲間うちで)激しい嫌悪感を抱かれずに楽しんで観られるのは、それまでのオタク・サブカル世代が製作者に回っているから、ということにその青年は気づいていないのだ。

現在のテレビ番組の中には、バラエティでさえ、「これはオタクを何もわかっていない人がつくっているんだろう」というものが観られなくなった。
ある時期までは違っていた。何度か書いているが、以前(20年くらい前か?)、久米宏司会の番組を観ていたら、「各ジャンルの映画の楽しみ方」という企画をやっていた。
「時代劇映画の楽しみ方」、「恋愛映画の楽しみ方」などジャンル別にやっていてその詳細は忘れてしまったが、驚いたのは「アニメ映画の楽しみ方」。
なんと、「ひと晩寝ないで、映画館で(上映されるアニメを観ないで)眠ろう!」とやっていたのである。

要するに、80年代後半でも、一般人にとっては「アニメ映画はまともな大人が観るに値しないもの」として見られていたのだ。
ジブリや、「クレヨンしんちゃん」で大人も子供も感動する、などということは考えられなかった時代なのである。

あるいは、今でもやっている人がいるとは思うが、特撮番組の情報をいち早くゲットするためには、社会人になってからも「TVマガジン」などの幼年誌を買ったりした。
本当に単なる幼児向けの作品でも、着ぐるみの怪獣が出てくるといったらいちおうはチェックする……そしてチェックしてみたら本当に三歳児くらいしか楽しめない番組だった……さらに怪獣の造形も最悪だった……などという時代があった。

そういう時代には「好きだからやってます」と言うだけでは説明がつかないくらい、周囲の圧力はキツかったと考えられる。
周囲のサベツ的な視線を乗り越えるには、本当に単なる「空気を読まない人」になるか、あるいはそれなりの決意や求道精神が必要だっただろう。

その道筋があっての、現在である、そのことを忘れてしまうと、……まあ別にどうにもならないけどね(笑)。

ただ検索ひとつでポンと作品名やだれがつくったかなんてことが出てくるのとは、違う心境や事実が過去には存在していて、そういうものははかなくも消えて行ってしまうものなんだよ。
自分は、それは忘れてはならないと思うのだ。

その2
こっちは、わりと重要なことのはずだ。
オタク文化というのは、ある時期まで……私見では95年のエヴァまで、ほぼ(保留つきで「ほぼ」)一枚岩だったと考えている。
この場合の一枚岩というのは、だいたいどんな作品が好きで、どういう行動をして、どんな音楽を聞いて、どうアニメや特撮以外のことに興味を持って……というようなことである。

それらは、本当に「ただ、なんとなく」決まっているにすぎなかった。
たとえば、一時期、オタクはアニソン以外にプログレや中島みゆきを好むと言われた。しかし、なぜプログレや中島みゆきなのか? 簡単には答えは出ない。
もうちょっとはっきりした理由があることと言えば、ある時期までオタクは活字SFやミステリの概略を抑えておくくらいは、普通だった。
だが、今はそんな決まりはないと思う。

たとえば「SFファン」というジャンル分けなら、活字SFは当然読んでいるだろう、SF映画も観ているだろう、というふうにたやすく想像できるのだが、オタクはそうではなかった。
やっている本人たちも、「なぜ自分はそれらを好むのか」がわからないようなところがあったし、今でもある。
(とくに「萌え」や妄想上の性嗜好のヴァリエーションに関しては、下の世代でもわかるだろう。たとえばなぜ「ツンデレなのか?」なんて、自分の中で簡単には答えが出ないだろう。)

それがオタクの面白さであり、可能性だったのだと思う。

現在では、「オタクのなんとなくの共通性」に関して実感を持つ人は少ないかもしれない。「オタクであることの共通感覚」を得るのは、せいぜいコミケに行くときくらいではないだろうか。
とにかくかつて、オタク間で多少なりとも共通感覚があった。だから、今のオタクと比べてもちょっと比較のしようのないところがあるのである。

今は20年前と比べても、本当に多様化してしまったからなあ。

それも「だから何だ」という話だが、事実としてはそうである。

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