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・「ぶらコン」(1)~(2) ながしま超助(2009、芳文社)

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天才肌で破天荒な下着デザイナー・加賀美純(男)は、スランプを克服するため兄で下着メーカー「スイート・イヴ」社長の剛に頼み、身分を偽って直営のショップで「神谷純」として働くことになる。

まあ1巻はいつもの「ながしま超助節」をわりとルーティンにやってるなあ、くらいの印象しかない。
しかし、2巻での幻の下着デザイナー、宇崎由蛇(うざき・ゆだ)の「イルザ」というメーカーが出てきたエピソードが面白かった。

下着を着る女性の良さを活かし、下着を身につけさせることによって「癒し」を体現する純の下着は「自然体でありつつ体型を補正する」ものだが、「イルザ」の下着は旧来のコルセットのようにギチギチに身体を締めつけ、下着を身につけるものを矯正することによって最大限の効果をもたらす。
その代わり、それに耐えられない者は身体を壊してしまいかねない。

人気報道番組のニュースキャスターの座を狙う女性同士が、どちらも「イルザ」の下着をつけて無理をすることによって張り合い続ける。一方は下着の矯正に耐えられず、自然体を目指して番組を降板。しかしもう一人は「イルザ」の下着で得た勝利を手放したくはなく、その後も無理を続けるのだ。

いやこの程度のエピソードは作者にとって朝飯前であり、別に他のエピソードと大差なく考えた、さりげない話ではあると思う。
だが、偶然、あくまで偶然、「デキる女の戦い」を「強く矯正する下着」が象徴していること、その製作者の宇崎由蛇が、まるでホラー映画の幽霊のように不気味に描かれていること、「世界的な不況や戦争で人々が不安になったとき、人々は絶対的な「美」を求めるようになるだろう、と由蛇が予言めいたことを言うことなどがあいまって、この物語はものすごい「深淵な何か」を象徴しているのではないか、と思えてくる。

マンガの感想を書いていると常に「深読み」のそしりをまぬがれないわけだが、「作品以上にこちらが感じてしまうこと」というのも実際にあるということである。

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