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2010年7月

・「新カラテ地獄変」(5)~(10)(完結) 梶原一騎、中城健(2003、道出版)

最後まで通して読んだ。
子供の頃、父親の週刊誌を読んでたら載っていて、トラウマになったであろう人も大勢いる作品。
最初は主人公の空手家・大東徹源が、特攻崩れの絶望感の中から自分の人生を賭けるものとしての空手を見出し、世界をまたにかけてカラテを広めてゆく、という作品だったはずだが、回を重ねるごとに美女を拷問し続け、合間あいまにカラテシーンが入るという謎マンガに発展。
しかも団鬼六的なSM趣味と異なり、徹底して人間の浅ましさを冷徹に見つめるようなタイプのサディズムで、さすがに大量に読むとゲンナリしてくる。
ただし、巷間言われているように「インチキだから(事実とまったく違うから)」つまらないとは思わない。
やはり、本作には評価されるだけのものがあると言わざるを得ない。

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・「新カラテ地獄変」(1)~(4) 梶原一騎、中城健(2002、道出版)

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1978年から週刊サンケイに連載。
大東徹源の弟子・牙直人が主人公である「カラテ地獄変」の後、師の徹源が大東流空手をいかにして世界に広めたかを描く。

道出版版では全10巻だが、長編マンガは基本的に連載中に何度かの路線変更があるのが普通で、全編にわたっての感想を書くことが非常にむずかしい。
したがって、とりあえず4巻までの感想を書く。

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【映画】・「私の優しくない先輩」

公式ページ

監督:山本寛
脚本:大野敏哉

女子高生の西表耶麻子(川島海荷)は、心臓が弱いためにとある島に引っ越してきた。
島の人々との一歩引いた距離感に嬉しさを覚える耶麻子は、先輩の南愛治が大好き。そして、同じく先輩の不破風和(はんにゃ・金田)が大嫌いだった。不破は、暑苦しくて汗臭くて、耶麻子の考える距離感を平然と越えてくる熱血野郎だからだ。

ある日、出すつもりもなく書いてしまった愛治へのラブレターを不破に見られてしまった耶麻子は、不破の計画した「愛治とつきあうようになれる作戦」に乗っかることになるのだが……。

私にとって、本作は大変面白かった。

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・「カラテ地獄変」全7巻 梶原一騎、中城健(2002、道出版)

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週刊サンケイ、74~77年連載。
戦後の混乱期、生まれてすぐに公衆便所に捨てられ感化院で育った少年・牙直人。
彼は己を守れるのは己だけ、という荒廃しきった気持ちで周囲を傷つけ続ける。ある日、男子の入る感化院の隣にある女子の棟に、沖縄出身の美少女・火之原奈美が入ってくる。彼女は琉球空手で不良娘どもやサディストの教官を次々に叩きのめし、ついには牙直人にもケンカで勝ってしまう。

「女にケンカで負けた」ショック以上に、奈美を愛してしまったことに気づいた直人は、彼女から空手を習う。
いろいろあって奈美は死に、シャバに出てからも直人は虚無感のどん底に落ちるが、後に巨大空手組織「徹心会」をつくることになるケンカ空手の達人・大東徹源と出会い、その強さと人間的大きさに魅了される。
大東徹源から空手を学んだ直人はますます強くなっていくが、その心は永遠に満たされることがないのであった。

「ボディガード牙」(私は未読)という作品の主人公・牙直人の生い立ちから海外での戦いを経て、ボディガードになるまでを描いた作品。

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【雑記】・「『観客への悪意』とか、いらないから」

自分は映画がたぶん本質的には好きじゃないのかも、と思うのは、ネット上の映画マニアの人の、ある種の文章を読んだときだ。
マニアというのはどの世界でも「ぜんぶ観てる、ぜんぶ読んでる」人が頂点に立つし、「ぜんぶ観なければならない、ぜんぶ読まなければならない」という姿勢が重要となる、場合が多い。
だから、たぶんその人の嗜好とぜんぜん合わないであろう映画を観て感想が書かれているのを読むとき、「自分は映画マニアじゃないなあ」と思う。

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【映画】・「ロストクライム -閃光-」

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監督:伊藤俊也
脚本:長坂秀佳、伊藤俊也

2002年。あるラーメン屋の主人が殺される。これがあの「三億円事件」と関係していると感じた老刑事は独自に捜査を開始。やがて警察の暗部をえぐり出すことに……。

必ずしも大傑作というわけではなく、なぜか少々タルい感じがするのは否めない。さらに、とにかく設定から展開から、この映画が「1978年製作」だと言われてもまったく疑問が浮かばない(もちろん演じている役者は現在の人だが)。
しかし、この作品の「古臭さ」はぜったいに買える。

たぶん若い人は観ないだろう。この映画を若い人が観る理由が、まったく思い浮かばない。出演している渡辺大か川村ゆきえのファンくらいか?
しかし、いつかテレビでやるかDVDが出てレンタルされたとき、若い人が観るかもしれない。
そのときに、この映画がテーマとしていることは、実は基本ラインとしては現代にも通じる難問であることに、だれか気づいてくれればいいが。

「ああ、特捜最前線だね」で終わったら、それこそつまんないんだよ。わかる? この気持ち。

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【映画】・「「アデル/ファラオと復活の秘薬」

公式ページ
監督・脚本:リュック・ベンソン

時は第一次大戦前。世界を飛び回るジャーナリストのアデルは、妹の命を救える医者は古代エジプトの王に仕える者しかいないと信じ、そのミイラをフランスに持ち帰る。
太古の生命を蘇らせる方法を発見した老科学者にミイラを復活させてもらおうとするが、その科学者は翼竜をよみがえらせてしまい、フランスは大騒動に……。

「良質の赤スーツのルパン」、「良質のタイムボカンシリーズ」といったノリで、大変に楽しい映画。すなわち基本的にコメディ調なので、「インディ・ジョーンズ」や「ハムナプトラ」を期待すると肩すかしをくらう。
原作はマンガだということで、おそらく原作を読んでいないとわからない人物も登場するがそれはご愛敬だろう。

あるいはまた、こういうタイプのおふざけの入れ方に違和感を持つ人もいるかもしれないが……それはまあしょうがないかなあ。
とにかく、私は好きな映画だった。いかにも続編がありそうな終わり方だったが、続きはできるのだろうか?

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【イベント】・「ぶっとびマンガ大作戦・出張版 第五回は911昼開催!!」

出演:新田五郎
ゲスト:渡辺僚一氏(ライター、ゲームつくってる人)
「半端マニアソフト」

ブックレビュー「週刊わたしのおいなりさん」

日時:平成22年9月11日(土)
Open13:50/Start14:10
内容はまだ未定なんですが、すでに開催日まで二カ月をきっているので告知しておきます!

開催日時:2010年09月11日(於:ムーブ町屋)
開催場所:東京都(Open13:50/Start14:10)

#昼イベントです
場所:ムーブ町屋 ハイビジョンルーム

荒川区荒川7-50-9センターまちや
地下鉄千代田線・町屋駅0番出口より徒歩1分
京成線・町屋駅より 徒歩1分
都電町屋駅より 徒歩1分
料金:¥2,000(当日券のみ)

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【映画】・「トイ・ストーリー3」

製作総指揮:ジョン・ラセター
監督:リー・アンクリッチ
脚本:マイケル・アーント

アンディは17歳になり、もうすぐ大学へと進学するために家を出る。アンディのお気に入りだったおもちゃたちは屋根裏に入ることになり、カウボーイ人形・ウッディだけがアンディとともに大学へ行くことになった。
ところが、ちょっとした手違いから屋根裏行きになるはずだったおもちゃたちはアンディに見捨てられたと思い込み、みずから保育園「サニーサイド」へ寄付されることになる。

子供たちが永遠にそこに存在し、おもちゃと遊んでくれる、そこは一見おもちゃにとっての天国のように思えた。しかし、そこはロッツォ・ハグベアというぬいぐるみの支配する、おそるべき「格差社会」だった……!!


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【雑記】・「ブルー・マンデーあれこれ」

・選挙
投票には行った。結果とかはぜんぜん観てないが、twitter観てると自分だけが政治をわかってなくて、他の人たちはみんなわかっているように思えて自己嫌悪におそわれる。
twitterの性質上、
「○○が当選。だれがあんなやつ入れたんだ」
「○○の議席が増えるなんて、世の中どうなってるんだ」
「○○が××なんて、日本はもう終わりだ」
といった、正直言って政治には疎い私には背景のまったくわからないつぶやき(もちろん中にはわかるものもあるが)が大量にTL上に流れることになり、困った困った、というところだ。


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【ポエム】・「ピキ」

ピキ……。
ピキキ……。
ピキ?

ピッキピッキー!!

ピキ!

ピッキキピッキキ

ピキャー

ピキ

ピ……キ……。

ピッキピッキ!!

ピキー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

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【雑記】・「う~ん、困っちゃうよねえ。」

もともと、私の感覚では1970年代の半ばくらいまで、「鑑賞の視点」ということに関し、非常に抑圧的な状況が続いていた、と考えている。
要するに「こうあらねばならない」というふうに、ある程度決まっていたんじゃないかと思う。

むろん、そうではない視点というのもあるにはあった。「パロディ」という点に関して言えば、ほとんどのもの(たとえばモンティ・パイソン的なものやコミケのアニパロ的なものも含めて)、60年代末までに出そろっていたはずだし(ちょっと根拠薄弱だが、G・K・チェスタトンの仕事を観たらまあだいたいそんな感じだったかな、と)。

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【映画】・「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」

公式ページ

監督:トッド・フィリップス
脚本:ジョン・ルーカス、スコット・ムーア

結婚式を2日後に控えたダグは、悪友たちおよびイカれた変態男である新婦の弟とともにラスベガスへ独身最後の旅行へ。
だが屋上で乾杯してから全員の記憶がふっとぶほどの二日酔いに。翌朝、友人たちが目を覚ますと、以下のようなとんでもないことが起こっていた!

・ダグは消えていた
・歯医者である一人は歯が欠けていた
・ホテルのトイレに虎がいた
・そしてクローゼットには赤ん坊?

なんで? どうして? ダグ以外の三人はダグを探しまわる……。

とっても面白かったが、本作について自分が感想を書くためには少々遠回りな説明が必要だろう。
以下に書くことは映画本編とはまったく関係がないので、読まないでいいです(「読まないでいいです」っつって書くんだよな、私も)。

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【ポエム】・「うちのとうちゃんポリカイン」

うちのとうちゃん ポリカイン
隣のかあちゃん 毒さそり

この大空に 翼を 広げ
とんかつ 食いたいよ

とんかつ ひれかつ ロースかつ
もひとつ おまけに シシケバブ

肉と 肉との ハーブティ

ズンダラおどりで 前祝い

ソレ

たび~ゆけ~ばァ~

するがの 国に~

八木さおり~

ワーッハハハ
ワッハハ

真夏に たき火だ~い!!!!!

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【ポエム】・「三度数えて二度数え」

ワッシャッシャー
ウッシャッシャー

エッシャー家が崩壊だ

だまし絵ハウスが ことのほか
わかりにくくて 大不評

「おいおい、出口はどこだ!?」

ドアを開ければそこは

風呂好きの カツオくんが 入っているお風呂だった

イヤ~ン ドラ美ちゃんのエッチィ~

頬を赤らめる カツオ 頭の毛がワッサワッサはえるサザエ

「バリウム飲んですぐ寝ると、牛になるよ!」
「もう、なってます!!」

料理番組ばりの用意周到さで
そう ぼくは牛になった

牛はいいねえ~
ただモッサモッサ草食ってればいいだけだもん

ワッサワッサ毛がはえるサザエ
モッサモッサと草食う牛くん

イヤ~ン、中島くんのドS~

石野~ 野球行こうぜ~

いしのようこは、志村けんのバカ殿興行に行っているのでいません

代わりに 石野うえにも三年、っていう人ならいるけど……。

ゲッ、殺人ウイルス!!

えんがちょ切って、ま ぬ が れ た~

ベンベン

(三味線の音)

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【雑記】・「普通日記」

ひさしぶりに普通日記を書いてみようと思ったけど、やめた。
日常に面白いことなんかないし、かといってウソをつくのもイヤだし。

同じことを何回も何回も何回も書くけど、以前ネット日記を書いていたときに、会うたびに「あの日記の内容はおかしい」「あのときの日記に書いてあったあなたの行動はおかしい」って言ってくるヤツがいて、私はそれを恨みに思っているんですよね。

とにかくセンスのない男で、みんなが空気を読んでだまっているところをペロッと言っちゃうようなタイプ。

あ、それと、これも何回も何回も何回も書いてますが、日記に書いたことに口頭で反論されても、こっちが損なだけでしょ。
そりゃー口でしゃべる方がよっぽどラクだもん。

あれがトラウマだね、自分にとっては。

だれでもそうだと思うけど「おれに興味ないのにブログをチェックだけしてる」ってのが、いちばん気持ち悪いんですよ。
いやしなくていーから、って。

いやーでもホントセンスないよなあ、あいつ。
よく「オタクはダサい」って言われるけど、それでも特定の何かに関してはセンスがあるわけでしょ。
それが何にもないわけだから。

何にも。

でも、ヤツにも何か光るものはあるんだろうね。何で食ってるか知らないけど、少なくとも仕事はあるみたいだし金にも困ってないみたいだから。

おれならぜったい、仕事頼まないけどね。

だって、どんなにいい仕事仕上げてきても、

ソイツがダサかったらいやだもん。会うのが。

今、私の考えるダサいもの思い浮かべていたんだけど、
そういうものじゃないんだよね。
そういうのは「それはダサいっすねー」みたいなことを言うんだよ。

でも違うんだよな……。

あいつ、早く結婚すればいいのにな。

そうすれば、ダサさがきわだってわかるから。
きっとそいつのかみさんもダサいだろう。

きっと、今さら結婚式でゴンドラに乗って登場すると思うんだよ。
最近、景気悪いから、ツギハギだらけのゴンドラで登場すると思うんだよね。

そんでもって、ヤツのセンスのない親戚が、
「三つの袋が大切です」
とかって言って、

新婦側の友人代表の女三人組が、
「私たちをー、さしおいてー、先にけっこんするなんてー、ズルいと思います―」
キャーキャー、とか言うんだよ。

これ読んでる萌えヲタの人に聞くけど、「キャッキャウフフ」ってそういうことでしょ?

なんか変なパーマかけた女が三人、ナフタリンのキツいよそゆきのワンピースを着て、
歯ぐきむきだして「てんとう虫のサンバ」かなんか歌うんでしょ!?

でもそんなことも長くは続かない。
結婚式場から火が出て、みんな逃げるんだよ。

逃げろ―

逃げろー

だけど外に出たら、巨大なカメムシが、地球よりもきょだいなかめむしがいてじんるいは めつぼうしましたとさ。

おしまい。

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【映画】・「サバイバル・オブ・ザ・デッド」

公式ページ

監督・脚本:ジョージ・A・ロメロ。

私はゾンビ映画のことはよくわからないので、すれっからしのゾンビ映画ファンが観たらどう思うかわからないけど、近年のロメロ監督の社会風刺は安定していて心地いい。

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・「湯けむりスナイパー」全16巻 原作:ひじかた憂峰、作画:松森正(1999~2004、実業之日本社)

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漫画サンデー連載。殺し屋を引退し、秘境の温泉宿・椿屋で働くことになった源さんの視点から描き出される人間模様。
その後も「湯けむりスナイパー2 花鳥風月編」として続いている(らしい。自分はまだ未読)。

2009年にテレビドラマ化され、DVD[amazon]も出ている。

しかし注目すべき(?)は、私が「ふぬけ共和国・マンガ」において、1999年の個人的マンガベストテンでまだ2巻しか出ていなかった本作を「ある意味過剰なマンガ」という文脈であげていること。

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【ポエム】・「だから消しゴムはかじるな」

バブル時代に 流行った巨大迷路

今じゃ入場料は たったの 10円

「迷路って、人生そのものですよね……」

だれかが言ったので、前から一人で練習していた左ジャブを

おみまいしようと思って 思いとどまった

おれ、紳士!
おれ、人間ができてる!

インディアン、うそつかない!!

リア・ディゾン、ポイシナイデネ!!

ああ 地球は今日も美しい

勘だけど

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【映画】・「リアル鬼ごっこ2」

公式ページ

監督・脚本:柴田一成

今の日本とは別の、パラレルワールドの日本では「佐藤」姓の人々が「将軍」という独裁者によって奴隷化されていた。
レジスタンスの一人であった佐藤翼は、「救世主」と呼ばれる存在であり、妹の超能力によって今現在の日本に、鬼ごっこの「鬼」とともに飛ばされる。
彼は三人の「鬼」を倒し、無事に元の世界を救うことができるのだろうか?

前作もそうだったが、私は悪くないと感じたな。周囲で観ている人、ぜんぜんいないんだけど……。
アクションエンターテインメント映画の基本的な条件は、すべて兼ね備えていると思いますよ。

まあ果たして続きをつくる意味があったのか、という問題はあるにせよ、「佐藤姓の人々が人造人間に追いかけまわされる」というバカげた設定を、よくぞここまで持って行ったと思う。

また、主人公がヒーローとしての資質をきちんと持ち合わせているのも好感が持てます。

パート1の感想

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【ポエム】・「ココリコさんには手を触れないでください」

最初にお断りしておきます。
このポエムには「ココリコ」は出ません。
単に語呂がいいから使用しただけです。

でも、彼らを尊敬しています。

私は、虚郎。
「むなしい」「太郎の郎」と書いて、
虚郎です。

前髪を垂らして、自分の瞳が見えないようにし、
流行遅れのコートを、夏場でも着ています。

そして、マンガ単行本のたくさん置いてある、
古びた喫茶店に、ヒマなときは一日います。

そこのマスターは、
若い頃、さんざん学生運動をやって警官隊ともみ合ったと自慢する日もあれば、
やくざの舎弟になったことがある、と自慢することもあります。

ま、どっちにしろウソでしょうけどね。
彼が大学時代、テニスサークルに入って、
ポロシャツのえりを立てながらブサイクな女とブサイクなトレンディドラマを
演じたということくらい、

私は知っていますから。

ある日、この喫茶店に女が一人、入ってきました。
長い髪に顔は隠れ、やはり流行遅れのコートを着ていました。
手には包丁を握っていました。

包丁からは、血が流れていた。

「今、夫を殺してきたの……」

女の髪がパッと開き、顔が全開になりました。

私は思った。

なんだその「どや顔」は!!

ふざけんじゃねえなんだそのどや顔はその顔はなんだそのどや顔はなんだその顔は

私は怒鳴りつけようと思ったが、もちろんそんなことはしません。

彼女の顔に、速攻でピエロのメイクをしてあげました。

そして喫茶店のマスターに向かって、指をパチリ。

「おどるポンポコリン」が流れてきました。

私は立ちあがって、踊った。

なぜか奥の方から、観たこともない子供たちがわらわらと出てきて(中には白人や黒人の子供もいました)、

一緒に踊り出しました。

いつの間にか、女に殺されたらしき夫も、腹に刺さった包丁をぶらぶらさせながら踊っていました。
(夫に刺した包丁は、彼女が持っていたはずだが……。)

殺されたらしき夫の包丁が、勢いではずれ、飛んで行きました。

空高く、空高く……。

子供「ママー、飛行機!」
ママ「違うわ、あれはUFOよ」

両手に指輪をたくさん付けたラッパー
「どっちも間違いだ、YO!!」

(おしまい)

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