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【雑記】・「ミドルエイジ・クライシスまっただ中ということを説明しよう」

……と、往年の自己啓発雑誌「ビッグ・トゥモロウ」風に初めてみた……と思って、今でも出てるのかと思ったら、

・賢い人たちがやっている 苦労しないで「お金を増やすテクニック」 ・ちょっとしたアイデアから 大金を手にした人たちの「賢いやり方」 ・サラリーマンのための週末起業講座 ラクに月50万円稼ぐ方法

などなど、かなり即物的な内容になってきた。不況ですなあ……。

とにかく、自分はミドルエイジ・クライシスを迎えている。そういうことは正直に書こう!
正直に書いて、支持を集めよう。

なんか、ちょっと前のラジオで「杉作J太郎さんが鬱らしい」ってだれかが言っていた。知り合いの年上の人たちも、四十を過ぎるとそれまで元気だった人がフッ、とたそがれてしまったりして、三十代前半くらいの頃はサッパリ意味がわからなかったのだが、身をもってわかりました。

鬱です! 私も。

それにはさまざまな理由がある。もう精神医学だか心理学だかで答えは出ています。

今回のエントリは、イキナリですが「マンガにおいてミドルエイジ・クライシスはどのように乗り越えられてきたのか?」について考えてみたいと思います。

・柳沢きみお
ミドルエイジ・クライシスと言えばこの人でしょう。最近、この人のマンガばかり読んでいます。
はっきり言って、十代や二十代前半のマンガファンが、この人の名作と思われている、中年以上を対象にしたマンガを読んでもアホにしか見えないでしょう。
私もそうでした。
ちょっと前の「特命係長 只野仁」をたまたま読んだら、只野仁の活躍よりも上司のボヤキの方がページ数が多いくらいでした。しかしこれが、本当に身にしみるのですな。
中年になるということは、ハッキリ言って「老いること」ですが、それを真摯に見つめ、エンターテインメントとして描こうとしたのは本当にこの人くらいなのではないかと思いますよ。

読んでいくうちにわかったんですが、彼は、他の人が同じテーマで描こうとする場合、とくに力を入れてしまいそうな「イヤなシーン」はけっこう流すんですよ。
妻とギクシャクしてしまうとか、離婚を申し入れられるとか。そういうところは、けっこう記号的に描く。
しかし、それを受け取る男の心情が、リアルなんですね。

・板垣恵介
彼はきみおとは正反対の存在です。
なぜなら、「人間は一生成長し続けられる」という確信を、マンガで描いているのが彼だからです。
「刃牙」も、当初は愚地独歩が「自分は55歳。ピークを維持できるのはこれが最後じゃろう」というようなことを言っていて、「格闘家の肉体的ピーク」にも言及していたのですが、独歩が「キャラ化」したことと、中国拳法で100歳以上の達人が出てきたことによって、そういう部分は払拭されました。
彼の描く人間には、「老い」はほとんどありません(ご老公の体調が心配ですが……)。
彼の方法論は、すべて「自己実現」「自己啓発」的な思想に依拠しています。だからこそ、たとえば三十代のサラリーマンなどが読めば確実に元気が出ます。
しかし、ミドルエイジ・クライシスをこじらせた者にとっては……うーん……と言ったところです。

・根本敬
「でも、やるんだよ」っていう言葉にみんな励まされてきました。
ちなみに、「特殊漫画家」として、一般的なマンガには(作者も読者も)距離を置いているように思えますが、永野のりこが確か、「妄想幻魔大戦」、「電波」という言葉を使ったりして、オタクへ「因果者」の概念を紹介したことは、特筆してしかるべきでしょう。
思えば「しおさいの里」のおっさんもおっさんでした。
自分もがんばろう(とか言って、「しおさいの里」のおやじが私より年下だったらどうしよう)。

とにかく、中年になってからの方が、この言葉はしみます。
あなたも、試しに中年になってごらんなさい。

なお、勝新の「無駄の中に宝がある」って言葉も、定期的に思い出して、そのときのことを考えてしみじみしてみる。

おわり。

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