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【映画ベストテン】・「2009年、私的映画ベストテン」

すっかり年も明けたけど、ま、お遊び的に(っていうかお遊び以外に何があるんだっつー話だが)やってみたい。
なお、私は決して誠実な映画ファンではない。私にとって、もっとも現実逃避感覚が高いのが映画。現実がイヤなとき、映画を観ている。
それと、あんまり業界の将来とか監督の将来とかも考えてません。

なお、繰り返し断っておくが当然私的なランキングですのでよろしく。

1位「グラントリノ」
自分が最も興味があるのは「フィクションの中でヒーローはどのように描かれていくのか?」ということ。
本作は、元「ダーティ・ハリー」だった男がどのように生きていくか、すなわち「古き良きアメリカの男」が、老いて時代の変化の中でどのようにおとしまえを付けるか、ということがテーマだったと思う。
しかも、たぶん現実の時代の変化とリンクしているので、鑑賞後の印象がブ厚い。

2位「ウォッチメン」
私にとっては「グラントリノ」と、「ヒーロー自身のおとしまえ」という点でこの映画とは共通している。
原作コミックありき、というような感じは否めないが、とにかくコミックより先に観てしまったのでその衝撃度はすごかった。
アメリカのスーパーヒーローの限界点を突きつけつつ、なおも前に進もうとする姿勢が見られたのが本当にすばらしい。しかもそれが、ただの開き直りになっていないところがいい。開き直るだけの作品も嫌いじゃないんだけどね。

3位「狼の死刑宣告」
家族を殺された男の復讐劇であり、ヒーローになろうとして結局犯罪者になってしまった男の末路を描いた作品とも言える。単なる復讐してザマーミロってんじゃなく、ラストにきっちり苦みを残している。

1位から3位、共通して言えるのは、現在ヒーローものを描こうとしたら懐古趣味か、懐古趣味にセルフツッコミを入れつつのパロディがいちばんやりやすいにも関わらず、そこを回避して新しい着地点を求めたところ。
ニヤニヤして「ヒーローなんて、いないんですよ」などときどったカフェで語るおしゃれめがねのやつをブッ飛ばす、苦いけど気持ちい作品たちだった。

4位「くもりときどきミートボール」
3Dで鑑賞。「空から巨大な食べ物が降ってくる」というやや悪趣味な設定とブラックなギャグ、そしてギーク礼賛という気持ちいいアニメ。アニメ映画の楽しさをじゅうぶんに堪能できる! 普通にオススメ。

5位「ボルト」
アニメ映画。私は本作を勝手に、「真剣に、でも頭でっかちに生きてきた者の信念は、社会に出たときに意味があるのか?」ということがテーマの作品だと受け取っている。もちろん「意味はある」。
そうでなきゃ、こんなこといちいちブログに書いてないよ!!

6位「虫皇帝」
アクリル製の箱に、虫を入れて戦わせるという残酷ドキュメンタリー。2000年代の「食人族」的なゲテモノ映画。
監督のサディズムがひたすらに恐く、観客は彼の残酷ショー……しかもスナッフフィルム鑑賞のような直接的な行為ではなく、「殺し合う虫」を見せつけらるという異空間に誘われる。もともとDVDでは出ていたようだが、この「強制的に大スクリーンで鑑賞させられる」ということにショックを受けた作品。

7位「レッドクリフ Pert II」
これも、個人的に自分は「ヒーローもの」としてとらえている。赤壁の戦いを、「未来につながる志の勝利」としてさわやかに描ききった点を評価。ひねこびた作品や、日本人が日本人のためにつくったものばかりでなく、こういう作品のテーマが普通の観客にインプリンティングするものは、けっこう大きいんだよ!!

8位「スペル」
文句なしに面白い、ややクラシックなホラー映画だが、「せち辛い現代社会をサヴァイブする」という観点からゼロ年代的な解釈の仕方も可能だなあと思ったので、順位を低くした(笑)。私の解釈では、ヒロインのキャラ立ちはテーマというよりは、観客への感情移入を可能にするためのテクニックだと思っているので。

9位「ファイナルデッドサーキット3D」
ホラー、スラッシャー映画としては大味なのだろうが、「重なった偶然を必死に解釈しようとする」という本作のプロットは、非常に今日的だと思って感慨深くなってしまったので。ノイローゼ的に知恵を絞らないと生き残れないというところには考えさせられるものがある。

10位「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説 THE MOVIE」
内山まもるの「ザ・ウルトラマン」を、かなりの努力で映像化している。ここではウルトラマンは神、ウルトラマンたちの戦いは神話なのだ。そういう意味では新しさはないが、いつかは必ず映画化されなければならなかったウルトラマン像、ウルトラマン世界の解釈だとは言える。

ワースト1
「仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」
「30分のコマーシャル」と、スーパーロボットアニメが揶揄されてから40年近い。自分たちは、「これはコマーシャルでもあるんだ」、「これは子供の観るものなんだ」、「技術がないんだ」、「予算がないんだ」、「スポンサーの意向があるんだ」……あらゆるエクスキューズを受け入れてきた。
その結果がこの映画だとしたら、あまりにもひどい。
高校生にカツアゲされることに我慢していたら、調子に乗ったオトナのチンピラがガチで財布をまるごと盗みにくる、そんなイヤ~なずうずうしさを感じてしまった。
「こっちが黙ってりゃつけ上がりやがって」以外の感想は……。

あ、そうそう、ヒーローものとしてもグジャグジャでした。主人公と妹とのエピソードもおかしいし、ライダーが勢ぞろいしたからってそうそうテンション上がるもんでもないよ!!

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