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【アニメ映画】・「くもりときどきミートボール」

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監督・脚本: クリス・ミラー、フィル・ロード

アメリカのアニメ映画。
映画館の予告編で、空から巨大なホットケーキが降ってきて学校を押しつぶし、子供たちが、
「学校がなくなったァ~!!」
って喜んでいるシーンを観て「こりゃちゃんと観るしかないな」と心に決めていたアニメ。

どこがつくっているかとかも知らないんだけどね(ピクサーでもドリームワークスでもないっぽい。調べてない)。

結論からいうと、かなり良かった!!!!!

何をやっても突飛で役に立たない発明しかできない青年・フリントが、ある日「水から食料をつくる機械」を発明。
それが人工衛星みたいに偶然打ち上がってしまい、青年は自由自在に食べ物を空から降らすことができるようになる。

フリントの住む島は、サーディンの漁とその加工・販売しか産業がなく、またサーディンも食いあきられて、島としては死に体になっている。
そこでこの島の市長は、フリントの「食べ物を降らす能力」を使って町を観光化することを提案。
今までずっと役立たずの発明家とバカにされてきた彼は、市長のアイディアに乗ることにするが……という話。

私、アニメのことはよくわからんがとにかく空から降ってくる食べ物の質感とかがすごい。
ゼリーのプルプル感とか、シロップのトロトロ感とか、とにかくすごいと思った。

お話は主人公のフリント、町にやってきた気象予報士の女の子、そして赤ちゃんの頃に町のサーディン産業の広告に使われていたことだけをアイデンティティにしてきたバカ青年の三人の自己実現に、主人公と漁師である父親のギクシャクした親子関係の修復がからむ。
ベタな話だが、けっこうよくできてるんだよなあ。

脚本や演出の出来としては、「モンスターVSエイリアン」の雑な感じとは比べものにならない。

ただし、あまりの食べ物を粗末にする感じは日本人にはちょっと受け入れにくいかも(後々、みんなしっぺ返しを食う展開とはいえ)。

と、ここまではmixiにも書いた話なのだが、以下にちょっと別の話をします(基本的に本作とはぜんぜん関係ない話です)。

・職業サベツと米英映画
このアニメ、もちろん中盤以降の「空からいろんな食べ物が降ってくる」ところがメインなのだが、それまでの、サーディンだけで生きてきた町のさびれた描写がものすごい。

もちろんカリカチュアライズされているのだろうが、ハンパないさびれ方なのである。

アメリカのエンターテインメント映画をここ数年、けっこう観てきたが、その中には、

・格差化した下流の街のひどさ
・ルーティンワークのつまらなさと社会的価値の低さ

このふたつがゴロリと提示させられることがあって、驚かされる。
むろん、十何年前だったが飛ぶ鳥を落とすいきおいのアメリカが経済的にダメになって、日本が経済大国とか呼ばれるようになって、そのときにニュースとして「アメリカのさびれる街」の情報は入ってきてはいた。

あるいはHIPHOPやデトロイト・テクノの成り立ちなどを雑誌で読むなどして。

しかし、逆に今は日本の経済状況がとことんダメになってきているので、初めてわが身を振り返って比較検討ができるといった印象だ(今頃気づいたのは私がマヌケなだけで、わかっている人はわかっているんだろうけどね)。

とにかく英米において「一度隆盛した街がさびれた描写」がベタ化していることがだんだん笑えなくなってくるのであった。

もうひとつは職業の問題。
英米のエンターテインメント映画における職業サベツ描写はひどいね。ひどいけど何回も見かけるというのはそれでいいとみんな思ってるのかな。

たとえば本作の主人公の父親はサーディンの釣り具店をやっていて、あとサーディンをすりつぶしている描写が出てくるからそれの缶詰なんかも売っているのかもしれない。

そして、その父親の仕事の描写が本気でつまらなさそうなのだ。

他の映画でも、主に販売関係の仕事は若者かボンクラな中年の仕事で、やっているやつはそこから脱出しないとかなりなダメ人間、みたいな描写がちょいちょい出てくるんだよね。

イギリスのテレビドラマで、会社員だと思い込んでいた父親が、実は駐車場の管理人だったことがわかってショックを受ける青年という描写があったし、その青年も電話セールスの仕事をしていて、なおかつ「人生の落伍者」というイメージだった。

たぶん、その手の職業では生活が非常に苦しいとか、求職の競争率が激しすぎるとかいった問題があるんだろうが、それにしてもあまりに何度も目にする描写なので書いてみた。

私も、少なくとも70年代以降の邦画はけっこう観たが、90年代から現在にかけての米英の映画のような職業描写(ルーティンワークでつまらなくて給料が少ない仕事をイヤイヤやる)は、あまり観たことがない。

たとえば「寅さん」では、どんなつまらない仕事でも軽蔑的に描いたりはしないだろうし。
深作欣二監督のやくざ映画などでは、仕事がつまらないからというより本人がボンクラだから、やくざの世界へ身を投じるという設定になっている。逆に言えば、つまらない仕事がまともに勤まっているというのはまともな人間なのだ。

俗論としては、日本では禅宗が広まったから職業差別意識が低いというのはどこかで読んだ。日頃の雑事が修行の一環なので、役割に大きな差別が生じないという。
(むろん、私とて日本に伝統的ともいえる根強い職業差別があることは知ってはいるが……。)

あるいは職人へのリスペクトもよく指摘されるし、第二次世界大戦でみんないったんチャラになったとか、まあその辺はいろいろあるんだろう。

今まで指摘されたことがなく、シャレにならない新しい職業差別が出てくるとしたらこれからだろう。
右肩上がりのときには、だれもが上に行ける望みがあった。大きいならより大きく、小さいなら小さいなりの「成長」が見込めたが、今後はそうではなくなる。

そうなったときに、今までなかった職業差別が出てくることになり、英米のエンターテインメントのように「ベタな描写」として描くことができるのは、日本ではもっとずっと先のことになるだろう。

今後、そういうのを暗澹たる気持ちで観ていかなければならないとすると、ウンザリするが。

なお、日本のエンターテインメントでも「工場労働はつまらない」という描写が底流に流れていることは事実である。
わりとポジティブにとらえていたのは「ツルモク独身寮」くらいのものだったんじゃないか?(それにしても、「インテリアデザイナーになりたい」とかなんとか言っていた記憶があるが)

何が言いたいかというと、アメリカ人はつまらない職業をつまらないと言われても、たとえ本当につまらなくてもあまり怒らないらしい。
日本人だったら、本当につまらない仕事をやっていても他人から「つまらない」と言われたらムッとすると思う。

一生、釣り具店や工場に勤めたりする人だっているし、そういう人がいないと世の中成り立たないわけでしょ?
アメリカ人はどうやらあーいう描写でいいらしいけど、日本人はそうはいかないからね。

マンガとかでも「三十過ぎてコンビニでアルバイトしているダメなオレ」とか、数年前からだんだん出始めてきているけど、バブル期の浮つきとはまったく別に、バイトとかルーティンワークに誇りを持っている人間が少しは出てきてもいいじゃん。
少なくとも日本人にはそういうDNAがあるはずなんだからさ。

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