・「でろでろ」(16)(完結) 押切蓮介(2009、講談社)
長期連載となったホラーギャグマンガも、ついに完結。
12巻から15巻あたりまでを読んだ感想では、それまでと多少作風が異なってきていることに違和感を表明したが、そうしたらこの巻で終わりということで、ちょうどキリがよかったのかもしれない、とは思う。
正直、1巻を読んだ頃には私個人としては時代の変化のせいか新人マンガ家の作風にほとんどついていけなくなっているような状態で、そんな中、素直に楽しめるいい作品だった。
作者自身も、社会に出よう、一人前になろうというあがきの中からできた作品ということで、そういう作者の境遇が(この表現、あんまり好きじゃないが流行りだから使っておくと)作品全体の「童貞感」とシンクロする部分があった。
が、それが「ドラマ」として読者側にまで敷衍できないのが現代という時代なのだろう。
(この後、ニート、ひきこもり、長期不況などのゴタクはすべて省いて)
それにしても、やっぱりこういうマンガがないと世の中終わりだと思うのである。その作風は、ちょっと藤子不二雄に通じるところがある。
心の底から楽しませてくれたマンガだよなあ、と思う。
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