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【アニメ映画】・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」

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映像はすごかった。「どうせテレビシリーズの焼き直しなんだろ」とタカをくくっている人は、観るといい。
だまされたと思って。本当にすごいから。
内容に関しては、完結編まで私が語るべきことはほとんどありません。本作は前作「序」から「Q」への橋渡し的な物語であって(「Q」で完結かと勘違いしてた。もう絶望)、これだけ観ても私にはなんとも言えないですね(と言いつつ、ダラダラ書いてしまったのはいつものパターン)。
「エヴァ」について私が思うところは「序」のときに書いたテキストを参照してください。

【アニメ映画】・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」についての「序」

【アニメ映画】・「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」についての感想

ただ、このときと考え方の違う部分もあるのでそれについてちょっと。

「序」のときは、「変にとんがったことを考えずに、手堅いエンターテインメント作品として完成させて欲しい」と書いたけど、でもやっぱりそれだけじゃあ大傑作にはなり得ませんね。考えが変わりました。

ただ、実験作でもなく、比較的ウェルメイドな作品でもない、第三の道を歩もうという気は、たぶんスタッフにはないと思います。そこはもうあきらめてます。

「序」のときには、わりとテレビシリーズのキレイな焼き直しっぽかったので私もノスタルジックに冷静ぶって書いてますが、この「破」を観ながら終始感じていたのは、「リアリタイムのエヴァ論争って、本当に不毛だったよな」ということです。

それは、今書いてもいいでしょう。十数年我慢してきたんだから。

でも、それはだれのせいでもなくて、評論に意味がなくなったわけでも、もちろんない。絶対にない。死んでもない。
そこには90年代半ばに、エヴァだけでなく広義のサブカルチャーをめぐる言説は一段落する、歴史の必然があったように思います。

エヴァをめぐる議論を混乱させているのは、ガイナックスというアニメ会社が、いったいどこまで「作家性」を保持することにこだわりを持っているのかよくわからなかったからです。
これが押井守や宮崎駿ならば、作家性が全面に出ているのでよくも悪くも、旧来の方法論で語ることができたんですが。

で、私はここは再び、「エヴァ」も作家論、作品論に立ち返るべきだと思います。

「エヴァ」という作品が、送り手にとっても受け手にとっても、「オタクの屈託」を内包したということだけはほぼ間違いないです。そこが同じビッグネームでも押井や宮崎アニメとの最大の違い。
論者は、まず「エヴァ」にまといついた「オタクの屈託」を丁寧にときほぐし、斜にかまえた態度はほどほどにして作品に向かうべきだと思いますね。

「内容なんか、考えてつくってなかったよ、だまされてご苦労さん」って送り手から言われようが(なんか当初、そういう方針でつくられたという説を小耳にはさんだことがある。本当かどうかは知りませんが)、受け手が受け取る「物語」には必ず、絶対にそれなりの必然性があります。

前にも書きましたが、「エヴァ」は思春期アニメです。私の嫌いな言葉で言うと、中二病のアニメです。そこは、作品に向かう態度が、「上質の、大人の映画」であるとか「ファミリー向けのウェルメイドな佳作」などとは、鑑賞する側の取り組みがおのずと違うのです。
たとえすでに中年になっていても、鑑賞姿勢は「思春期的」であるはずですよね。

送り手がどんなに必死だろうが、あるいは適当だろうが、「思春期モノ」に関して受け手には受け手の切実さというものがある。
そこをときほぐしていかないと、いくら「エヴァ」を語っても、意味が希薄になってしまう気はしますね。

ま、そんなこんなで最後に本作「破」と今後の件について少し言及してみようと思うんですが。
「前向きに」ってことが、今のところテーマになっているみたいですけどね。

でも、果たして庵野監督が、「やっぱり前向きな方がいいよね」と描けるのかどうか。いや、そもそもそう描くのか、ってところが今後興味を引くところです。
「やっぱり前向きだよね」ってあらためて主張することは、たとえばヘキサゴンファミリーの歌う歌と同列に並び立つということで、「なら最初っからそう言っとけよ」というツッコミが入らないかどうか、が重要だと思うんですよ。
(いわゆる「夏エヴァ」も「自立せよ」ってメッセージがあったらしいけど、観ても陰惨な印象しかなく、映画館を出てもポジティブな気持ちにはまったくなれなかったし。)

それと大切なのは、そこにどこまでSF的な仕掛けが加味されうるのか。舞台設定だけ壮大な、「単なる人間ドラマ」で終わってしまうのか、それとも「SFでなければならない理由」を持っているのか。

社会全体の変化、変革を書こうとするのなら、SF的設定の決着は不可避でしょう。
単に「壮大な人間ドラマ」でいいのならば、それはただ単に、監督はじめスタッフたちが「オレらもなんだかんだ言って、丸くなったよ」って言っているにすぎなくなってしまう。

どうなるんでしょうね。

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