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【ポエム】・「顔面モンスターの商店街散歩あるいは等身大キン消し」

保険のオバチャンが置いて行った一枚のチラシ。
それは、保険の「なんとかかんとかプラン」をオススメするものだった。

そこには、その保険のCMのイメージガールをつとめる、ある若手女優の顔が印刷してあったのだが、
それは顔だけであった。

つまり、顔の部分だけを切り抜いて、
だれかが勝手に二頭身のカラダを描き加えてあった。

顔の左横にはフキダシがあって、中に、
「とっても安心!!」
と書いてあった。

それがこんなにも恐ろしいことになろうとは……。

ある日、空から宇宙線が降り注ぎ、

そのキャラクターが実体化したのだ。

二頭身(しかもカラダはイラスト)の女優が紙から飛び出してきて、

小学校の給食室に入り、なにかを貪り食っているところを、

地元の猟友会のみなさんに銃撃された。

それはそれとして、

キン肉マン消しゴムのニセモノ。

「等身大のキン肉マン消しゴムのニセモノに出会った」
という小学生が続出。

夕暮れの公園に現れるという。

東京都町田市の小学五年生、山田三郎君(12歳、仮名)は、
一人で留守番をしているとき、不審な電話を受け取った。

ひどい雑音の中、事務的な女性の声で、
「キン肉マン消しゴムのニセモノが、この町にやってくる」
という主旨のことが語られたのである。

塾通いに忙しい山田君は、気味が悪いと思いながらも次第にそのことを忘れていったが、

電話を受けてから二週間後、
塾に行く途中、いつも近道のためにつっきっている小さな公園で、

ブランコのそばに人工的な、肌色とオレンジ色の中間のようなものがぼんやり立っているところを観る。

目をこらしてよく観ると、それは人間大の「キン肉マン消しゴムのニセモノ」であった。

キン肉マン消しゴムのニセモノは、右手でブランコをつかんで、ゆっくりゆすっていたが、

山田君がよく観ようとそちらに近づいていくと、蜃気楼のようにだんだんと消えていってしまったという。

その後、行った先の塾である理由によりこっぴどく怒られた山田君は、その世知辛い現実を直後に体験したぶん、公園で観たものを信じられなくなっていたが、

「等身大のキン肉マン消しゴムのニセモノを観た」という都市伝説が広まっていくにつれ、思い出したのだと言う。

なお、「等身大のキン肉マン消しゴム」のうわさには奇妙な特徴がある。

きちんと「等身大のキン肉マン消しゴムのニセモノ」というふうに伝わっている場合は、実際の目撃例が多い。
実際に目撃して、「あれは、等身大のニセモノではあっても、決してキン肉マン消しゴムそのものではない」ということを、観た人が確かめたかのように情報が伝わっている。

一方で、「あれはテリーマンだった」、「バッファローマンだった」などの、特定の本物の超人として伝わっている場合は、
伝聞の度合いが強く、なおかつそのうわさを流通させる人も、おもしろおかしくネタとして伝える傾向が強い。

なお、この都市伝説の源流かもしくは発展形として、
「キン肉マン消しゴムにそっくりの、異次元からの使者ではないか」というヴァリアントが存在する。

この場合、話者は「小学生がキン肉マン消しゴムと形容した現象に説明を加えている」という図式になるわけで、
このパターンが出回っているのは主に大学生あたりである。

なお、「保険のチラシ」から飛び出してきた「女優顔面二頭身モンスター」の件は、
当のモデルとなった女優がショックで入院してしまい、

すでに決定していたドラマを降板した、ということは事実である(そのドラマも特定することができる)。

以上、架空都市伝説調査隊の報告でした。

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