【映画】・「罪とか罰とか」
監督・脚本:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
売れないアイドル・円城寺アヤメ(成海璃子)は、ある警察署の一日署長を命ぜられる。
実は「一日署長」とは、数時間笑顔をふりまくだけでなく、本当に夜中の12時まで署長として勤めなければならないことを知ったアヤメは大いにとまどうが、そんなことはおかまいなしに物語は進行して行く……。
私は、芝居などをぜんぶを観たわけではないが、ケラの描く物語は基本的にそれほど反社会的なものだとは思わない。
それほどシュールだとも思わない。
もちろん、いい意味で。
最終的には、あくまで最終的にはケラはモラリストだと思う。
この話だって、誤解と混乱の果てに、アヤメは成長するし悪は裁かれるじゃないですか。
いろんなお話が錯綜しても、キチンと笑いを取るじゃないですか。たぶん三木聡は状況を混乱させることありきでつくってるけど、ケラはきちんとサービス精神、あるよね。
映画としての前作「グミ・チョコレート・パイン」(→感想)では、「モテなくて悶々とする少年」を描くのはケラにはむずかしいのでは、と書いた。しかし、本作のような、美少女を主人公にして周囲がめまぐるしく変わっていくスラップスティックは、ケラは得意だと思う。
主演の成海璃子にしても、登場する奥菜恵にしても、活き活きと、なおかつかわいく描かれていて、金子修介だとかタランティーノに観られるフェチっぽさがないままに、女の子をかわいく撮れる監督だと思う。
「一つひとつのシーンが長い」ってネットに感想書いている人がいた。これは確かにこの映画においてはネックだとは思う。
ケラの芝居は基本的に1シーンが長いが、舞台だと独特の緊迫感であっという間に過ぎ去ってしまうことが多い。
それを長く感じてしまう人がいるということは、どっか舞台と映画では「間」が違うんだろうなあ。細かいことはよくわかりませんけどね。
誤解があって、行き違いがあって、不条理なできごとがあって、反面、予期せぬ偶然があって。そういうギクシャクした世界の中で人間は生きてかねばならないし、決断しなければならない。
で、その決断の瞬間までも茶化す手つきに、自分は感動する(「グミチョコ」と同じ感想になっちゃった)。
しかし、「ギリギリのバランスから浮かび上がってくる、生の肯定」というのは、ものすごく重要なことだと思う。
ギリギリのバランスから虚無の、絶望の世界へ落ちていく物語の方が、つくるのはずっと簡単だろうからね。
あと、成海璃子がもうちょっと痩せろ、って思ってる人は死んでください。
今ぐらいがちょうどいいよ。
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