【雑記】・「最も大事な部分をわかってない、大槻教授」
これから書くテキストは、あくまでも私の個人的見解であるということは強調しておきます。
「大槻教授は墓参りをするのか?」という、気になる人にとっては気になることが、彼のブログに書いてある。
で、やっぱり私は「この人は信用できないな」と思った。
日本では、「無神論者」の立ち居振る舞いは、キリスト教だとか、何かと悪口を言われてしまう某学会だとか、そういうものよりも異質にとらえられている。
というか、私も勉強不足で、欧米で「無神論者」がどう振舞っているのかを知らない。ただし、一神教の伝統が強いところでは、特別な覚悟がいるのだろうなという想像はできる。
日本人は、葬式や墓参り、とくに墓参りは大切にする方だと思う。
とくに墓参りは、ふだんは冷酷だと思われている人でも、それだけはするという人も少なくないだろう。
「盆暮れ」は、やっぱりいまだに特別な日なのである。
さて、大槻教授は葬式も墓参りもナンセンスだという。
それなりの文脈があり、覚悟があるならそれでもいい。
大槻教授的な立場なら、わざと過激に宗教的、伝統的ふるまいを無視して、無知蒙昧な一般人の目を開かせる、ということもあり得るだろう。
しかし、このエントリを読むかぎりでは、そのような文脈は読み取れない。
もちろんこれらは個人的な事柄ですし、好みの問題でもありますから、公にしても仕方がないと思ってお答えしませんでした。お答えしたとしても、ほとんどの読者の方々には興味をひかない、と思っておりました。
それでもこの種のご質問が結構多いので、この際お答えしておきます。
こういう書き出しからしておかしいのだ。
むしろ、このことこそ、一般人の興味の引くところではないか。たとえば、たまたま第一次大戦後のイタリアの本を読んでいたら、当時の共産主義者がファシスト党員にいたぶられる際、
「おまえらは反権力をうたっているんだから警察(国家権力)に頼るなよな? な?」的なことを言われていたらしい。しごくもっともな話。
ある人物が特別な主張をしていたら、その人の行動に一貫性があるのか、それとも例外があるのか、気になるのが普通である。
それがその人物の信用にもつながるのだから。
だから、本来なら大槻教授は、最も早く「自分が墓参りをするかどうか」を公式に発表するべきであったし、また常にその答えを用意しておく必要が、私はあったと思う。
こういううかつさが、私を苛立たせる。
さらに驚いたのは、ここのくだりである。
お葬式は極力出ません。亡くなってから、悲しむ遺族にお会いしてもご負担をお掛けするだけですから。それより、亡くなる前になるべくお会いするようにしております。
話が逆ではないか?
他人の葬式に出るというのは、もしかしたら宗教的には一種の妥協になるのかもしれないが、「私はキリスト教徒なので仏教徒のお葬式には出ません(もしくはその逆)」など、聞いたことのない話。
自分や自分の親族の葬式をやるかやらないかは当人の勝手だが、他人の冠婚葬祭は当然だが相手の都合なのだから、いちいち自分の主義主張で出る出ないを決めていいものでもないだろう。
おそらく、大槻教授の年齢になると恩師・先輩・知人の葬式も増えてくるだろう。そして、意地の悪い言い方をすればそういう人たちが死んだとき、遺族と付き合う可能性は少ない。
たとえば、若くして友人がなくなったとき、残された親は葬儀にたくさんの友人がかけつけてくれれば、それだけ自分の子供が愛されていたと認識してなぐさめになるだろう。「生前にじゅうぶん会っていたから」と言って、済むわけがないではないか。
人間は文化的な動物なので、いくら頭で考えていても「やらないと何となく気持ち悪い」ということが存在する。
それが各種の儀式であって、しかも、それは大槻教授の言うように「お歳暮という『モノ』」には還元しきれないし、実は人間関係や実際の利害とも密接なところがあって、簡単には切り離せない。
たとえば、ふだんいろいろなしがらみで休めない人でも、盆と正月は仕事相手が休みなので休めたりする。
主義主張に関係なく、そういうことは起こり得る。
「無神論者」として冷徹なふるまいをしている人は他にたくさんいるのだろうし、またそういう人はそういう人で「世の中で当たり前だと思っていることに疑問符を投げかける」存在として必要なのだが、大槻教授にはたぶん、その意義がまったくわかっていないのだろう。
そういうのは、科学的思考だとかなんだとか言う以前に、単なる鈍感、センスの無さである。
だからこの人に、オカルト批判は任せられないんだよ。葬式くらい出ろよ。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 無題(2018.10.31)
- ウッピピ太郎のだいぼうけん(2018.06.19)
- 【サブカル】・「鬼畜系とは何だったか」(2018.06.02)
- 【イベント】・「ネタ的なものは一切見せずに、オタクトークだけする会」第四回(2018.05.27)
「トンデモ」カテゴリの記事
- 『昭和・平成オカルト研究読本』著者がオカルトを語る! 本の裏話を語る!(2019.07.26)
- 【ドラマ】・「小野田さんと、雪男を探した男~鈴木紀夫の冒険と死~」(2018.03.31)
- 【同人誌】・「と学会史」(2017、と学会)(2017.11.25)
- 【新刊】・「タブーすぎるトンデモ本の世界」(2013.08.26)
- 【書籍・新刊】・「トンデモ本の新世界」(2012.11.22)
「社会全般」カテゴリの記事
- 【お笑い】・「ウーマン THE MANZAIでの漫才問題」(2017.12.23)
- 【騒音】・「園児の声問題」(2017.12.23)
- 【社会全般】・「生の果ての死をつくることは罪か」(2017.12.07)
- 【アイドル】・「アイドルが何かの代替物だったら、応援する必要ないだろうが」(2017.11.30)
- 【アイドル】・「まだまだ続くダイエット騒動の感想~こんな考えがひとつくらいあってもいいだろう」(2017.09.29)