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・「特命係長 只野仁ファイナル」(1)~(3) 柳沢きみお(2008、グリーンアロー出版社)

Tadano03
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週刊現代連載。表向きは大手広告代理店のさえない総務課社員・只野仁は、実は会長直属の「特命係長」として、社内外のトラブルを解決できるスゴイ男だったのだ!! という作品。

ドラマが面白いので、原作も読んでみた。ちなみに4巻まで出ているらしいが、コンビニコミックって入手しづらいんだよな。


で、いきなりファイナルから読み始めたのだが、一話完結の只野の「特命」とは別に、彼の上司・佐川課長(妻子と別居、負け組を自認)と、その親友・入江重役(出世コースを歩んだが、現在ED)の会話やそれぞれの女がらみのエピソードが定期的にはさまってくる。

はっきり言って佐川・入江(とくに自分の考えを言葉にできる入江)の社会観、「日本はどうなってしまうんだー」という述懐は、悪い意味で同じ作者の「大市民」的で読めたものじゃない。
が、この二人の個人個人の人生観はなかなか心にせまるものがある。

出世もできず金がないから虚しい佐川と、出世もしたし金があっても虚しい入江が、それぞれの境遇から「なぜ自分が幸福を感じられないのか?」を、えんえんと語るのである。

……とまあ、ここまでは他の柳沢きみお作品でもよくあることなのだろう。そこで佐川や入江の虚しさを、今年還暦となる柳沢きみお自身の問題として勝手に考えてみたい。

で、勝手に考えると「いつまでも走り続けていないと現役とは認められない、自分は走り続けられるはずだ」という、現在70代くらいまでの男たちの考え方を代弁しているのかなと。

そして、それはそのまま彼らが築き上げてきたシホンシュギそのものの性質なのだ。
だから、だれも止められない。

柳沢きみおが、マネーゲームやネットやパソコンを異様に憎むのは(そう、憎んでるんです)、それがリアル社会に何ももたらさない存在だととらえているからだろう、と思う。

だけど、「何ももたらさない」って、エコにはいいんだよな。だって数字いじったりお金回していくだけだから。
いや、もしかしてマネーゲームが巨大な環境破壊をする場合もあるのかもしれんけど、素朴な理念としてはそうだ。

むしろ、柳沢きみおが称揚するモノづくりの方が、際限ない成長を前提としているのだから、その限界はどこをどういじっても必然的にやってくる。

そういう「だれにも止められない」ことの前で、佐川と入江はなすすべもなくたたずんでいるように見える。

なお、柳沢きみお作品は携帯コミックとなって大人気だというウワサがある。
彼の「携帯電話感」を知らないが、携帯がネットとは切っても切れないのはあきらかなので、
携帯コミックの印税がガバガバ入っている自分についてどう思っているのか、ぜひマンガに描いてほしい。

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