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・「平成羽衣伝説」全2巻 柳沢きみお(1998~1999、秋田書店)

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大学を出て入社したてのサラリーマン、小屋川良一は、平凡な青年。
ある日、住んでいるアパートの前でものすごい美人がひき逃げされる。その美しさにみとれた小屋川は、救急隊員に思わず「知り合いだ」と偽ってしまう。
美女は記憶喪失になってしまっていた。それをいいことに、小屋川は自分を「弟だ」と言って病院と美女本人をだまし、アパートで二人暮らしをすることになる。

記憶が戻れば、いずれすべてがバレてしまう。しかし、美女の魅力にはあらがえずどうしても偽りの「姉弟」としての生活を続けたいと思ってしまう……。

まあ、そんな話です。

10年前の作品。
小屋川が会社に行っているとき、美女がアパートで記憶を取り戻していないかばかりが気になり、帰って記憶が戻っていないと安心する、という無限ループになりそうになるが、絵はそれなりに丁寧に描いているし、展開も気を遣っていると思う。

ズーッと家に置きっぱなしになっていたのだが、読んでみたら面白かった。タイトルからしてSFおしかけ女房モノじゃないかと思っていた。そうしたら、SFではないけどそれに近い作品だった。

設定として違うのは、「勝手におしかけてきちゃった」わけではなく、「記憶喪失の美女を、主人公がウソをついて手元に置いておこうとする」という点。これって究極、というか「SFおしかけ女房モノ」観点から言うと終着駅なんですよ。

男が「SFおしかけ女房」を捏造する、ということだからね。

「SFおしかけ女房」には二つの終着駅があって、

ひとつは、「セックス奴隷そのものがおしかけてくる」というもの。究極の妄想。
もうひとつが、「同居すべき美女を捏造する」ということなんだよね。

だから映画「コレクター」なんかも、設定はぜんぜん違うというか「おしかけてくる」のとは逆だけどその延長線上にある。

きみお、このとき五十歳だって。この間読んだ「只野仁ファイナル」では、妻子と別居している佐川課長の安アパートに、二人の美女がおしかけてくるという話が本筋とは別にえんえんと続く。

「平成羽衣伝説」の小屋川は、美女と「(倫理的な理由で)セックスできない」って苦しむけど、佐川課長は「もう精力がとぼしくて美女たちの性欲に対応できない」ということで苦しむ。

……しみじみするよなァ。

ちなみに、「平成羽衣伝説」のラストはメチャクチャ暗い。「只野仁ファイナル」にも出てくるセリフなのだが、柳沢きみおは破滅願望があるらしい。どうもこういうところが苦手で、自分は避けて通ってきた感はあるな。

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