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【お笑い】・「テレビお笑い論における長年の錯誤を正す会」その2

現役ディレクターが吼える「テレビバラエティは死んだか」(日刊サイゾー)

「てれびのスキマ」的2008年最優秀作品(てれびのスキマ)

このエントリの続き。たまたま、真逆の企画意図をもったネット上の記事を同時に読んだので併記しておく。
私としては、テレビに積極的に面白さを見出そうとする「てれびのスキマ」のエントリにシンパシーを感じますが。

前者は、インタビュアーが「テレビバラエティは死んだ」という前提のもとにマッコイ斉藤にインタビューしている。たぶんマッコイ斉藤本人は、「バラエティは死んだ」とは思っていないだろうが。

インタビュアーの質問内容にある「最近のバラエティはつまらない」という疑問は、私が知るかぎり30年くらい前からある。
また、「似たような番組が多い」という批判も、繰り返しなされているようだ。
「つくり込んだ笑いがない」というのも、よく聞かれる。
「家族そろって爆笑できる番組」についての言及も、よくあるなあ。

そういう意味では、典型的なインタビューの質問内容だと言える。

このインタビュー、見込みとは違ってマッコイの解答では「面白い番組」が多く上がっている。
よく読むと「つまらない」と思われているのはゴールデンの番組、「面白い」と思われているのは深夜番組だとわかるが、どうしてそうなるかはおそらく、番組制作のシステムを解明しないとわからない問題だろう。
この手のインタビューだとたいてい「視聴者のクレーム」と「製作者の心意気がどれほどか」という問題に集約されてしまうことが多い。
しかし、もうちょっと構造的に見ていかないと、いつまで経っても結論は出ないだろう。

だいたいにおいて、「最近の○○はつまらない」と、きわめて雑駁な問題提議をして許されるのはテレビだけじゃないのか。
感覚的には私も他ジャンルでそう感じることはあるから他の人もあるのだろうとは思うが、それでももうちょっと前提を詰めないと……。

一方の「テレビのスキマ」のランキングだが、こちらもやはり深夜番組が多いようだ。しかし、ゴールデンの番組もランキングしているから、実はテレビ自体がつまらないわけではないことがわかる。
いやむしろ、ランキング入りした番組(の中の、特定の回)がこれだけ多いということは、「テレビは面白い」と言ってしまっていいんじゃないかと思える。

ランキングされた番組について言えば、個人的には、「アメトーーク!」の中からは「家電芸人」がベストだった。
「アメトーーク!」は、ひんぱんにこの「○○芸人」という企画が登場して人気になっている。というか、この「○○芸人」はアメトーーク!最大の発明と言っていい。
で、「ガンダム芸人」あたりが端緒だったと記憶しているのだが、この「ガンダム芸人」で、オタク的に「ヌルい」っていう意見がネット上でありましたよ。
でも、それがいかに的はずれであったかというのを証明した、その帰結が「家電芸人」だと思う。

そりゃ、家電にくわしい人はいっぱいいるんだろうが、番組のキモが「知らない人に特定の何かをアピールする」ということだというのを最もよく表した企画だと思う(それと最初から支持者が少なそうな「自転車芸人」、テーマ自体が無意味で深夜番組的だった「油揚げ芸人」も記しておきたい)。

同時に、「家電芸人」は、この手の企画の問題点をも露呈させてしまったと感じる。なぜか年末ゴールデンでのこれはすごく面白くなかったんだよね。あっという間にダメになった。スポンサーが入ってきてるからじゃないかと思うけど。
そういう意味でも興味深い企画だった。

なお、マッコイ斉藤って「ピューと吹く! ジャガーTHE MOVIE」(→感想)の監督なんだね。
この映画、当初の感想ではオブラートにくるんだような書き方をしましたが、はっきり言って「映画」としては失敗作です。
バラエティ畑の人が映画に進出して、いい結果が残せない(中には傑作もあるでしょうが)というのも、実はテレビバラエティ軽視の傾向を強めているんですけどね。ということはつけくわえておきます。

ほら、マニアって排他的なところがあるから……。

さらに補足。マッコイ氏は最近のクイズバラエティの多さを「優等生」、自分たちを「不良」と規定して、つまらないクレーマーを「優等生」側の価値観を持つ者という図式をつくりたいみたいだけど(あるいはインタビュアーがそういうふうに記事を刈り込んだのかもしれないが)、そういう単純化にも異議を唱えたい。

テレビにおいて、視聴者の「知識欲」も、これまた30年くらい前からあるものだからだ。
これまたよくあるテレビ批判として、「年末年始はくだらない番組ばかり」と言うのがあるが、そのように言う人が求めているのは知識欲を満たしてくれる番組のことが多いのだ。ドキュメンタリーとか、いわゆるNHK的な教養番組とかね。
それも、潜在的にある視聴者の欲望ですからね。否定したって始まらない。

ひとつ言えるのは、教養/バカっていう二項対立じゃなくなって、「教養番組のエンターテインメント化」が洗練されてきているということ。
つまり、「優等生/不良」っていう二項対立は、製作者サイドの心意気としてはありうるが、現実問題としては当に無効化しているんじゃないかな、ってコトです。

補足

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