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【映画】・「特命係長 只野仁 最後の劇場版」

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監督:植田尚
脚本:尾崎将也

柳沢きみおのマンガのテレビ化作品の、映画化。
大手広告代理店・電王堂の総務二課係長の只野仁は、ふだんは総務のダメ社員だが、実は会長の「特命」により会社に関係するトラブルを解決する特命係長である。
電王堂の大プロジェクトに起用されたグラビアアイドル・シルビア(秋山莉奈)が、何者かの脅迫を受ける。只野は会長からの指令で、シルビアの護衛と身辺調査をすることになる。
シルビアを脅迫しているのはだれなのか、目的は何か……。

私、今頃になってから言うのもなんだが、2003年以降に放送されているというテレビシリーズは「相棒」とともに、かなり重要作だと思っている。
が、残念ながら劇場版である本作は、テレビシリーズの映画化にありがちな「お祭り感」から脱することはできなかった。

最大の問題は、テレビシリーズでは軽くクリアされている問題点が、なぜか映画では残ってしまっていること。

具体的には、只野は会長からの指令で社外活動をする際、架空の電王堂の名刺を用いるか、まったく別人に変装するのだが、本作では「総務課の只野」としてシルビアに同行する。
いくらユルい設定だとは言え、総務課の人間がとつぜんアイドルのボディガードになるのがいかに不自然かは、サラリーマンならわかると思う。
おそらく、護衛をやっているときの只野に、彼の正体を知らない山吹さん(えびちゃん)などをからませるためにやむなくそうなったのだろう。しかし、そうなると只野が総務課を無断欠勤している説明もつかなくなり、まったくおかしくなってしまう。

第二にストーリー上の問題点をあげる。本作のメインゲストは山西裕一(赤井英和)とシルビア(秋山莉奈)だが、視聴者の共感の対象は電王堂で、出世のメインストリートにはいないが今回のプロジェクトのリーダーとしてがんばり、なおかつ社員として熱心であるがゆえに妻子に別居されてしまった赤井英和の方だろう。
ところが、赤井のキャラクター像はほとんどセリフのみで説明され、彼の人柄がまったく伝わってこない。これは「只野仁」というドラマシリーズの根幹に関わる大問題だと思う。

さらに、秋山莉奈サイドと赤井英和サイドの問題点が作品内でまったくつながってこないのも問題だろう。たとえば秋山が赤井と出会って会話をするシーンなどが一つでもあれば、説教臭くはなったかもしれないがつじつまは合うのだが。

それにしても、ここまで行くと「なぜこういう作品ができあがるのか?」は、制作サイドの事情がわからなければ理解できない。なにしろ、監督も脚本もテレビドラマ版と同じなのに、テレビの利点が活かされていないのである。
(素人なりに予想してみれば、いろんな思惑が入り込んでいるからだと思うが……。それこそ電王堂的な。)

よかった点をあげると、西川史子の出番が意外に多くてなおかつギリギリ物語にハマっていたこと(思ったほど大根ではなかったこと)と、えびちゃんが撮影用セットの巨大鏡餅を放り投げるシーンは、おそらく「うる星やつら」のしのぶへのオマージュであろうということである。

なお、これも偶然の産物なのであろうが、セレブ・えびちゃんから元アイドル・三浦理恵子、今回出ていたかどうかはわからないがAV女優、そしてある意味色モノである西川史子まで、いろんなタイプのきれいな女性を出演させていることは特筆に価すると思う。
世の中、ロリコンばかりじゃないですからな。

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