【映画】・「リダクテッド 真実の価値」
実際に起こったイラクでの、米兵による少女レイプ事件を題材に撮られたドキュメンタリー風フィクション。
映画監督志望の兵士による映像や、youtubeみたいなネット動画、さらに監視カメラの映像などを組み合わせて真実を浮かび上がらせる……みたいな内容だったけど、
正直、いろんな意味で辛かった。
いくらリアルにつくろうとしたからって、役者に演技させて、でも大半はインタビューなんだよ(刺激的なシーンもいくつかあるが)。
映画の冒頭。
ビデオを回す兵士が、兵舎の中で、妊婦を射殺した同僚に向かって「罪悪感はないのか?」って問い詰めるシーンがある。
まず、そこにリアリティがないだろ。
せまい兵舎の中で、毎日顔をつきあわせる同僚に、ビデオカメラを回して、そいつの殺人行為に関して問い詰める人間がいるか?
それとも、アメリカ人はそういうの平気なの?
根本的に「ドキュメンタリー風」なのも、問題だろうなあ。
この形式だと、ありもしない事件でもリアルに撮れちゃうし。
どっか、監督の傲慢さを感じるんだよな。
メッセージを伝えたいがゆえの強引さ、というか。
もう、こういう素人映像を組み合わせたテイの映画は、私は観なくていいな……。
ひたすらに「手法」を見せ付けられている気分になってくるし。
「ホームビデオ、youtube、監視カメラなどの映像を組み合わせて物語を構築してリアリティを出す」手法って、矛盾があると思う。
だって、それらのバラバラの映像がよどみなくつながったら、逆におかしいから。
そこでシラケてしまう。
この手法が生きるのは、「クローバーフィールド」や「ダイアリー・オブ・ザ・デッド」のような、フィクション性が極度に高い題材のときだけなのではないか。
「今、自分はフィクションを観てるんだ」って、観客に自覚のある題材じゃないと、 「バラバラの映像をつなげる」という手法のうそくささがきわだってしまうと思う。
それと、「告発のとき」を観ても思ったのだが、
「戦争の真実を伝えたい」っていう映画ほど、映画としては面白味がなくなると思う。
「戦場の極限状態の中で、兵士が異常なことをした」
っていうだけなら、太平洋戦争でいくらでもあったし、また映画やドキュメンタリーにもなった。
ひとことで片付けてはいけないんだろうけど、人間の「業」のようなところがある。
つまり、「戦場で異常なことになる」というのは、どんな戦争でも繰り返し起こってきたことだから、それを「イラク戦争で」と具体的に描けば描くほど、プロットは凡庸にならざるを得ない。
メッセージ性の強さと、作品の出来は別問題だと、反戦映画(その逆の戦争プロパガンダ映画でもたぶん同じ感想だろう)を観るたび、いつも思う。
そういう意味では、「社会派ミステリ」の手法というのは、ミステリの面白さにメッセージ性を付与しているだけに、強いなと思った。
「軍旗はためく下に」っていう反戦メッセージの強い邦画があるが(原作は結城昌治、監督は深作欣二)、あれはミステリ仕立てなんだよ。だからこそ時代性、「太平洋戦争ならでは」というのを超えて、今でもメッセージ性があるという面もある。
実は、イラク戦争がらみの反戦映画を観ていつも思い出すのは、この映画の面白さなんだよね。
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