« 【イベント】・「面白漫画倶楽部6~漫画と食欲~」 | トップページ | 【イベント】・「最後のおねがいにまいりました」 »

【お笑い】・「テレビお笑い論における長年の錯誤を正す会」

「M-1」はお笑い芸人を本気で育てる気があるのか(日刊ゲンダイ)

「最近のテレビがつまらなくなったのは、芸人をたくさん集めてバカ騒ぎするようなバラエティーが増えたからです。これでは、テレビ受けする“使い捨て芸人 ”が増えるだけ。『M―1』がその片棒を担いでいるとなれば、本末転倒ですよ。かつては、『花王名人劇場』のような“芸”をしっかりと見せる番組がいくつかあって、そこから数多くの人気芸人が生まれました。しかし、せっかく漫才の実力があっても、お手軽なバラエティーしかない状況では本物の芸人は育ちません。テレビ局はきちんと芸を見せる漫才番組を作るところまで考えないと、自分たちの首を絞めるだけですよ」

出た! こういうベタな(なおかつ無意味な)こと言ってギャラもらえるなら、変わりたいよ。
(引用は私が恣意的に行った一部なので、興味のある方は文章全体を読んでください。)

「芸人をたくさん集めてバカ騒ぎするような番組」は、私の記憶からでも70年代からあります。
今に始まったことではない。
M-1グランプリが、芸人育成のためになっているかどうかを論議する場合、M-1自体が始まって数年しか経ってないのだから、「芸人を集めてバカ騒ぎする番組が増えている」ことは、まったく理由になっていない(たぶん、増えていないと思うし)。

・その1
同じことをまた書くが、「漫才」とか「コント」と「テレビ」は、向いている方向が同じではない。
そもそも、ぶっちゃけてしまえばテレビに芸人を育てる義務は、ない。

別の言い方をすれば、テレビが舞台俳優やマジシャンを育てる義務があるか?
「きちんとマジックを見せる番組がない」として(あるけどね。セロとか。)、それが果たしてテレビにおいてゆゆしき問題であるかどうか?

それと、好きな人には悪いけど、「いいお笑い番組がない」という嘆きに引き合いに出される例として「花王名人劇場」があるんだけど、「花王名人劇場」出身、と言えてなおかつテレビで活躍している芸人なんて、いるのか?
あれって、もともと実力のある芸人を呼んで来てつくってた番組でしょう?
(だってタイトルに「名人」って入ってるじゃん。)

「花王名人劇場」が育てたと言える芸人って、「ナポレオンズ」だけなんじゃないの?

本当に、この「バカ騒ぎするバラエティー害悪論」にはうんざりしてる。
だって、同じ議論をもう30年続けてるんですよ。

その典型は、ドリフだね。
「8時だよ!全員集合」なんて、リアルタイムで多くの人が「有害番組」だと思っていたわけですよ。
いわゆるPTA的なメンタリティの人だけじゃなくて、お笑いの好きな人(それこそ「花王名人劇場」の好きな人)の中にも、ドリフを認めない人は多かった。
(知人は、「小林信彦がドリフを認めなかったことが少なからず、後年に影響しているのではないか」と言っていたが、真相は知らん。)

それが、時間が経ってくると、「あれはすごかった」となる。
もちろん、「8時だよ……」を面白いと感じていた世代が、情報を発信できる立場になったことも大きいが、時間が経過したから「思い返せばなんだかすごいような気がする」という人も、決して少なくはないだろう。

そもそもが、テレビにおいて「歌手ブーム」とか「ドラマブーム」というものは存在しない。
しかし、「お笑いブーム」は存在する。
なぜかというと、テレビという媒体そのものが、「お笑い」を必要不可欠だと思っていないということ。
2000年以降の、なかなか終わらないお笑いブームが今までになく異常事態なんだけど、この異常事態にすら、言及して分析する人は、いない。
(私にも、なんで2000年代からブームが起こり、なおかつ今年いっぱいまで終わる気配を見せないのかは、よくわからない。)

M-1グランプリは、「4分間」という制限時間や1年間にわたって繰り広げる予選、
そして「コンビ結成10年以内」という出場者の「若さ」、
それらを「テレビで面白く見えるように」アレンジした「番組」なのだから、
「M-1が本気で漫才を育てる気があるのか」なんて問題提議は、
女子中学生が地球温暖化について書いたレポートよりも、はかない。

・その2
とくに、M-1が漫才日本一ではなく、「若手漫才の日本一」を競うイベントであることの意味は、ほとんど、まったく言及されていないと言っていいだろう。

なぜ「結成10年以内か」ということですよね。
たとえば「結成10年以上、20年未満」でもいいはずなのに。

芸事が、引退するまでみがかれ続けるということが本当ならば、理屈で言えばだよ、芸歴10年未満の芸人より芸歴10年以上、20年未満の芸人の方が面白くなければいけないはずじゃん。
でも、少なくとも、テレビシーンではそうではない。

まあ、単純に視聴者の年代のヴォリュームゾーンの問題かとも思うが、一方でやはり、
「テレビは新しいものを常に提示し、受け手もそれを承知で受け取っている」
と考えた方がいいだろうね。

私はさあ、
・中年以降の方が、広義の芸は熟成する
・若い方が、フレッシュですばらしい

……っていう、どっちの考えも嫌いなんだよ。

だって、そんなものはそのときそのときで変わるんだから。

でも、その、時と場合によっては成立しうるこの双方の立場を、アウフヘーベンして語ってる人って、ほとんどいないよね。

|

« 【イベント】・「面白漫画倶楽部6~漫画と食欲~」 | トップページ | 【イベント】・「最後のおねがいにまいりました」 »

お笑い」カテゴリの記事

テレビ」カテゴリの記事