・「サタニスター」(4)~(5)(完結) 三家本礼(2008、ぶんか社)
殺人鬼同士が闘技場みたいなところで戦うという設定なんだが、4巻の人肉料理人との戦いのオチがイマイチだったのと、あきらかに足手まといだったキャラが参戦しなくてはならくなり、自分をいじめ抜いたサイコパス的体育教師と対決する展開もいまひとつだったんですよね。
とくに「いじめられっ子がいじめっ子と対決して成長」っていうのは、もう結末までわかっちゃってるわけで、そうすると当たり前の展開の中でどこかをひねったりはしょったりということをしないと、個人的には読んでいてストレスが溜まるなあ、と思いました。
もっとも、こういうことは「正義の味方」(サタニスター)が登場するホラー、スラッシャーもののジレンマではある。ぶっちゃけると「どっちに転んでも惨劇は惨劇」ということになるので、読んでてどうでもよくなってきちゃう、ってのは前に書いたけど(映画の「片腕マシンガール」もそんな印象だった)。
作品全体を通して、もうちょっとサタニスターの圧倒的な強さを見せつける展開があってもよかったと思いました。
それと、これは私の印象でしかないけど、「先のことを考えて描いてない」って感じが悪いほうに転がったかなあ……。1、2巻の段階で、作品が長期化(5巻以上)してもいいような感じだった。そうすると、読者(私)はわがままなので、「ああ、これは続くこと前提に描いてるな」って印象がどうしてもしてしまうんですよ。
「聖闘士聖矢」が、あきらかに続かせるための設定を周到に用意しているぶん、「リンかけ」ほどの緊迫感がなくなったのと似てるんですが。
しかし、5巻はまさかの盛り上がり!
たぶん「あと何回」ってわかってから描いていると思うんで、そのぶん投げっぱなしに磨きがかかって非常にスリリングで面白い展開になってます。
4巻でイマイチだと思った人も、5巻までは必ず読もう!!
【参考】
・映画「片腕マシンガール」感想
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