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・「殺し屋カプセル」 古賀新一(1979、秋田書店)

Korosiya
週刊少年キング掲載。大きさ3~4センチくらいの小さい人間が、薬を入れる「カプセル」に入っている。それを飲んだ者は、体内で訓練を積んだその「小さい人間」によって殺される……。

最近はあまり使われなくなった表現に「こりゃマンガだね」というのがある。「マンガみたいにバカバカしい話」という意味だが、表現に幅が出てきた現在、「マンガイコールバカバカしい」ということはなくなった。
しかし、そんな「いい意味でのバカバカしさ」を残した面白さに満ちているのが本作である。

そもそもが、「小さい人間」をつくって人に飲ませるような技術があるならもっと他にいい暗殺方法があるはずだが、それを言ったらおしまいなのである。そう考えたらこのマンガは楽しめない。

「殺し屋カプセル」は、「IQ150以上の能力を持った人間」だけで新世界をつくろうとしている謎の組織が、そのためにいらない人間を片っ端から殺すためにつくった一種の人間兵器である。
すなわち、「殺し屋カプセル」とは「得体の知れないエリート意識を持った組織が普通の人間を抹殺する」という、80年代くらいまでの悪の組織によくあったパターンの象徴的存在なのだ。

さらにまた、特攻隊の記憶がまだ生々しかった時期でもあるだろうし(「殺し屋カプセル」は死を恐れない。また一度人間の体内に入ってしまえば当然生還の確率は低いだろう)、アメリカ映画における共産主義の描き方……みんな同じ服装をした人々が襲ってくるみたいな、そういうものも内包している、かもしれない。
作者は、「ミクロの決死圏」からヒントを得たと書いているので、映画の影響は少なからずあるだろう。

縮小されてカプセルに入った兵士たちは、みな厳しい訓練を受けている。小さくされる前は、巨大な人間の内臓の中で行動する訓練を受けるのだ。このあたり実にバカバカしく、現代のマンガのリアリティからは遠く離れているが、やはり奇妙に不気味な感覚は残るのである。

中篇連作で三作入っていて、最後に「赤ん坊王国」というまったく別の短編が入っている。
これはなぜか異常に知能の発達した赤ん坊たちが、自分たちの小ささや「赤ん坊であること」を逆手にとって銀行強盗をするという話。
こちらもユーモラスな設定ではあるが、「父、母、子供、といったそれまで当然の役割を担ってきた者が、ある日とつぜん牙をむき始める」という、楳図かずおの「ママがこわい」などと同質のモチーフを持っている。ネット情報だと初出は74年、少年キング。まあそういう時代だったんだよね。
それから「家族が解体した」と言われるのは5年後か、10年後くらいか。

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